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「有事の際、日本が朝鮮半島に」…野党のユン候補の発言で波紋広がる

登録:2022-02-28 05:05 修正:2022-03-01 12:07
国家報勲処傘下団体「耳を疑わせる言動」 
共に民主党「日本の極右勢力のような妄言…国民に謝罪を」 
国民の力「有事の際の介入前提ではない、虚偽事実の公表」
国民の力のユン・ソクヨル大統領選候補が今月27日午後、ソウル汝矣島の党本部で国民の党のアン・チョルス候補との一本化交渉に関する記者会見を行っている//ハンギョレ新聞社

 国民の力のユン・ソクヨル大統領候補が今月25日、中央選挙管理委員会主催の第2回テレビ討論会で言及した「有事の際の日本による朝鮮半島への介入」発言に対する波紋が広がっている。共に民主党のイ・ジェミョン候補は「妄言」だとして謝罪を要求しており、国民の力は「自衛隊の朝鮮半島への進入を認めるというのは事実ではない」と収拾に乗り出した。

 ユン候補は25日の討論会で、正義党のシム・サンジョン候補が「三不政策」(3つのノー:THAAD追加配備、米国のミサイル防衛網への編入、韓米日軍事同盟を進めない)をめぐり攻防を繰り広げる過程で、「(韓米日軍事同盟を進めれば)有事の際、朝鮮半島への日本の介入を認めることになるが、それをするというのか」と尋ねると、「有事の際、(自衛隊が)入ってくることはあり得るかもしれないが、必ずしもそれを前提にしているわけではない」と答えた。「韓米日軍事同盟を検討しているのか」というシム候補の質問に対し、ユン候補は「(シム候補は)絶対にしないのか」と問い返す場面もあった。ユン候補のこうした発言は、日帝強占(日本の植民地支配)など韓日関係の歴史的特殊性を考慮し、有事の際に自衛隊の朝鮮半島への介入まで想定する「韓米日同盟」という用語ではなく、「韓米日安全保障協力」という用語を使う韓国政府の外交安保政策基調と衝突する発言だった。

 共に民主党と同党のイ・ジェミョン候補はこうした発言を「妄言」とし、謝罪を求めた。イ候補は討論の翌日の26日、特別声明を発表し、「ユン・ソクヨル候補が昨日の討論で、有事の際には日本の自衛隊が韓国に入ることもあり得るという妄言を吐いた」とし、「大韓民国の大統領候補の発言とは到底思えないユン候補の国家観と対日認識を表している。日本の極右勢力の発言と区別がつかないほど」だと批判した。さらに、「ユン候補は、三一節(独立運動記念日)を控えた時期に、自衛隊が朝鮮半島に進入することも可能だと発した妄言を撤回し、殉国先烈と国民に謝罪せよ」と要求した。

 国民の力は、イ候補がユン候補の発言を歪曲したとして、法的措置の可能性まで言及している。同党のクォン・ヨンセ選挙対策委員長は26日、記者会見を開き、「前日の討論会で、ユン候補が自衛隊の朝鮮半島への進入を認めたというイ候補の主張は事実ではない。シム候補の『韓日(軍事)同盟を進めれば、有事の際、日本への進入を認めることになるのでは』という質問に対し、必ずしもそれを前提にしたものではないという旨を明らかにした。たとえ韓日同盟を進めても、有事の際に日本が朝鮮半島に入ってはいけないという意味だった」と説明した。さらに、「虚偽事実の公表について直ちに謝罪しなければ、法的処罰を免れないだろう」と警告した。

 共に民主党のペク・ヘリョン選挙対策委員会首席報道担当は27日、これについて「ユン候補の自衛隊関連妄言に国民の力も驚いたようだ。波紋の広がりを食い止めたいのか、『法的措置』まで取り上げて脅している」とし、「国民を驚愕させる妄言を吐いたのに、このように姑息な手で責任逃れをしようとしても、逃れられるわけがない。ユン候補は発言をただちに撤回して、国民の前に謝罪せよ」と再び反論した。

 国家報勲処傘下の25の独立運動家宣揚団体で構成された抗日独立先烈宣揚団体連合も同日、声明を出して「三一節を目前に控えた2月25日に開催された大統領候補の第2回討論会で、耳を疑わせる発言が行われ、非常に遺憾であり、懸念と憤りを禁じ得ず、誤りを指摘せざるを得ない」としたうえで、「ユン・ソクヨル候補のこのような発言は、非常に衝撃的である」と明らかにした。同連合は「自衛隊が海外派遣の機会を狙っている現在の状況で、いかなる状況でも日本の軍隊が我が領土に一歩でも足を踏み入れることがあってはならない」とし、「東学農民革命の鎮圧を有事の名分に掲げ、日本がはじめて韓国に軍隊を送った歴史を振り返ると、たとえ但し書き条項でも、決して日本が自動的に介入する余地を残してはならない」と強調した。

 専門家たちもユン候補の認識に懸念を示した。平和ネットワークのチョン・ウクシク代表は「ユン候補が自衛隊の介入を明示的に主張したというわけではない」としながらも、「(自衛隊が介入するというような)そんなことがあってはならない。李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権でも国民感情を考慮し、(自衛隊の介入の可能性を)否定する方向だった」と指摘した。参与連帯のファン・スヨン平和構築センターチーム長は「ユン候補の発言はかなり危険であり、深刻に受け止めるべきだ」とし、「韓米日軍事同盟を通じて日本との協力を高めるという国民の力の外交方針も、安倍政権の自衛権の追求や平和憲法改正を支持するものとみられるという点で、批判的に考えなければならない」と述べた。

ソン・チェ・ギョンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1032743.html韓国語原文入力:2022-02-27 15:36
訳H.J

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