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朝鮮半島の平和時計、「5年前」に戻るか…政権交代期に危機指数が上昇

登録:2022-03-25 09:50 修正:2022-03-25 13:31
北朝鮮が東海上に大陸間弾道ミサイル(ICBM)と推定される長距離弾道ミサイル1発を発射した24日、高空偵察機U‐2Sが京畿道平澤市の在韓米軍烏山基地に着陸している/聯合ニュース

 朝鮮半島の平和時計が、2017年7~9月の熱く危機的な状況だった「朝鮮半島戦争危機」の時へと急速に逆回転している。

 北朝鮮は24日午後、平壌の順安(スナン)一帯から大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、大統領府は直ちに「北朝鮮が国際社会に自ら約束した大陸間弾道ミサイル発射猶予(モラトリアム)を破棄した」と規定した「政府声明」を発表した。北朝鮮のICBM発射は、2017年11月29日の「火星‐15型」試験発射とともに「国家核兵器完成」を宣言して以来、1577日(4年3カ月23日)ぶりだ。

 北朝鮮のICBM発射と韓米政府の「北朝鮮のモラトリアム破棄」(24日、韓米北朝鮮核問題首席代表協議)の規定で、2018年の4・27板門店宣言と6・12朝米共同声明を両軸に朝鮮半島の平和を支えてきた「2018年朝鮮半島暫定平和体制」が崩壊局面に入った。これに先立ち、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長は、2018年4月20日の労働党中央委第7期第3次全員会議で「核実験と大陸間弾道ロケット発射の中止」を明らかにし、続く南北、朝米首脳会談で「朝鮮半島の完全な非核化」と「新たな朝米関係の樹立」「恒久的で強固な平和体制の構築」に向けて共に努力することを約束した。この日のICBM発射と「モラトリアムの破棄」で、この合意の重要な基盤が深刻に損なわれた。

 北朝鮮は最近の弾道ミサイル発射を「偵察衛星開発のための重要な試験」としているが、衛星発射用長距離ロケットも弾道ミサイル技術を活用するという点で、「弾道ミサイル技術を利用したいかなる発射」も禁止した国連安全保障理事会決議第1874号(2009年6月12日)違反というところに問題の深刻性がある。さらに国連安保理は決議2087号(2013年1月22日)で、北朝鮮が核実験・ICBM発射をした際には自動的に会議を召集し、追加制裁に乗り出すことができる「トリガー条項」を導入した。韓米北朝鮮核問題首席代表が24日、北のICBM発射直後に電話協議を通じて「国連安保理次元の措置を含む国際社会の団結した対応」を約束した背景だ。

 さらに4月中旬には韓米合同軍事演習が予定されている。韓米政府当局と専門家らは、北朝鮮が金日成(キム・イルソン)主席生誕110周年記念日(太陽節)の4月15日頃、「偵察衛星」の発射形式を借りてICBMを発射する可能性が非常に高いと予想していた。韓国の政権交代期である3~5月、北朝鮮の戦略的軍事行動と韓米などの軍事演習などがかみ合い、「朝鮮半島危機指数」が急激に高まる危険性が高い。

 統一外交安保分野の要人関係者は「朝鮮半島情勢が2017年の夏に戻るムードだ」とし「もしかしたらその時より状況がより悪くなるかも知れない」と懸念した。2017年夏、北朝鮮は火星‐14型(7月4日、7月28日)と火星‐12型(8月29日、9月15日)を相次いで発射し、6回目の核実験(9月3日)まで行った。国連安保理は北の石炭・繊維・衣類製品の輸出を全面禁止し、原油・精製油の輸出総量制限制を導入した。同年8月8日、ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスでの会見で「世界が見られなかった炎と怒りに北朝鮮が直面する」と述べると、翌日、北朝鮮の戦略軍報道担当が「グアム島周辺の包囲射撃を検討」との声明を発表し、金正恩総書記は2018年1月1日の新年の辞で「核のボタンは私の事務室の机の上に常に置かれている」と述べた。このようなエピソードのため、2017年の夏は朝鮮戦争後、朝鮮半島が戦争に最も近づいた時期と呼ばれる。

 北朝鮮が1577日ぶりにICBM発射という戦略的軍事行動に再び乗り出したのは、「これ以上待てない」という金正恩総書記の戦略的判断が背景にあるという分析が多い。金正恩総書記は1月19日、労働党中央委政治局第8期第6次会議で「米国の敵視政策と軍事的脅威が、これ以上見過ごせない危険限界線に達した」とし「(対米)信頼構築措置を全面的に見直し、暫定中止していたすべての活動を再稼働する問題を迅速に検討する指示を該当部門に指示した」と述べた。モラトリアム破棄を予告したわけだ。しかし、米国のバイデン大統領は1日、議会で行った一般教書演説で、「北朝鮮」については一度も触れなかった。バイデン大統領はアフガニスタン撤収とその後の影響、ロシアのウクライナ侵攻、イラン核協定復元などに外交資源を注ぎ込み、北朝鮮に向けて「対話の扉は開かれている」という外交的レトリックを超える「行動」には出ていない。北朝鮮は「優先的な関心事」ではないということだ。

 元政府高位関係者は「金正恩委員長はすでに行動に突入したが、韓米両国政府とも自分の問題で効果的な外交的解決策を見い出せない立場」だとし、「韓米が状況を安定させる外交的解決策を見出せなければ、北朝鮮がさらにICBMを発射するのはもちろん、核実験に乗り出す可能性も排除できない」と懸念を示した。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1036212.html韓国語原文入力:2022-03-25 07:03
訳C.M

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