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新大統領就任前に荒波に飲まれた朝鮮半島…「尹錫悦流」北朝鮮政策の方向性は

登録:2022-03-25 06:26 修正:2022-03-25 09:17
合同参謀本部は24日、北朝鮮のICBM発射に対応し、東海上で合同地・海・空ミサイルを発射したと発表した。写真は2017年7月5日、東海岸で行われた韓米合同弾道ミサイル打撃演習で、「玄武2A」(左)と「ATACMS」が同時発射されている様子=合同参謀本部提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が24日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したことで、尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の北朝鮮政策基調に関心が集まっている。前日まで政権引き継ぎ委員会は「新政権の北朝鮮政策の基調は強硬政策ではない」と強調してきたが、北朝鮮が同日、大陸間弾道ミサイル発射で「レッドライン」を越えたことを受け、北朝鮮に対する圧力に重点が置かれるものと見られている。

 政権引継ぎ委員会は同日、北朝鮮がICBMを発射したことを受け、これを「挑発」と規定する声明を発表した。引き継ぎ委は同日、北朝鮮のICBM発射事実が伝えられると、直ちに立場表明文を出し「今回の弾道ミサイル発射は北朝鮮が2018年に約束したモラトリアム(核実験およびICBM発射中止の約束)を破ったものであり、国連安保理決議を違反することで、韓国の安保を脅かす重大な挑発」だとしたうえで、「強く糾弾する」と明らかにした。さらに「韓米間の徹底した協力を基に国際社会と協力し、北朝鮮の挑発に強力に対応していかなければならない」とし、「国連安保理は速やかに緊急会議を招集し、北朝鮮の挑発を厳重な糾弾するとともに、対応措置を取るべきだ」と述べた。また「文在寅(ムン・ジェイン)政権はこうした北朝鮮の脅威に対し、政治・外交・軍事的に断固たる対策を講じ、国民の安全を守っていかなければならない」と付け加えた。

 これまで北朝鮮の挑発に対する強力な対応を強調してきた尹氏が、改めて立場を表明することはないものとみられる。文在寅大統領が軍の統帥権を行使している状況で、次期大統領が北朝鮮にメッセージを出すことは適切でないと判断したためだ。引き継ぎ委の関係者は、本紙の電話取材に対し、「現職の大統領がいる状況で(北朝鮮に)メッセージを出せば、誤解や混乱が生じかねない」と述べた。

 しかし尹氏側は「強対強」の対峙は避けられないと判断している。特に引き継ぎ委が北朝鮮の同日の発射を「挑発」と規定したのは、文在寅政権との差別化を図るためとみられる。韓国政府は昨年9月、北朝鮮のキム・ヨジョン労働党副部長が自分たちのミサイル発射だけを「挑発」と規定したのは「ダブルスタンダード」だと強く反発して以来、「挑発」という言葉を避けてきた。文大統領が同日開いた緊急国家安全保障会議の結果にも、「挑発」という表現は含まれなかった。

 今後の北朝鮮政策も、文在寅政権とは明確に異なる動きをみせる可能性が高い。尹氏の公約集には北朝鮮に対する「原則と一貫性のある非核化交渉」を公言している。特に北朝鮮政策で「原則」を強調するキム・テヒョ元大統領府対外戦略企画官が外交安保分科委員として活動しており、こうした基調が変わる可能性は低いとみられる。キム元企画官は李明博(イ・ミョンバク)政権の北朝鮮政策「非核・開放・3000」(北朝鮮が非核化と開放の道を歩めば、北朝鮮の一人当たり国民所得を3000ドルに高める経済支援を約束)構想を設計し、北朝鮮政策を主導した。

ソ・ヨンジ、オ・ヨンソ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1036207.html韓国語原文入力:2022-03-24 23:18
訳H.J

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