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「北朝鮮、新型ICBMの性能試験」…政権交代期の朝鮮半島に緊張走る

登録:2022-03-12 10:51 修正:2023-02-20 06:39
韓米「最近2回のミサイル発射は 
火星17型エンジン等の試験」と評価 
北朝鮮の挑発中止・対話復帰を求める 
 
金正恩、東倉里発射場を現地指導 
豊渓里核実験場の復元の兆しも 
 
ウクライナ事態など内外の悪材料が重なり 
「尹次期大統領、情勢管理課題に直面」
北朝鮮の金正恩国務委員長が大陸間弾道ミサイル(ICBM)に転用可能な長距離ロケットを発射できる西海衛星発射場を現地指導したと、朝鮮中央通信が11日付で報じた/聯合ニュース

 韓国と米国の11日午前の共同発表によると、北朝鮮が今年2月27日と3月5日に発射した弾道ミサイルは、2020年10月10日の朝鮮労働党創建75周年軍事パレードを機に初めて公開された新型大陸間弾道弾(ICBM)システム(火星17型)と関連したものと評価された。韓米は、最近の2回にわたる北朝鮮のミサイル発射実験が、大陸間弾道弾の射程には達ていないものの、北朝鮮がロケットを装った今後の大陸間弾道弾ミサイルの最大射程距離発射実験を前に、関連性能を試そうという意図があったと判断した。

 北朝鮮は最近の2回の発射実験を「偵察開発衛星のための重要な試験」と主張したが、この日、韓米は大陸間弾道ミサイルの性能試験だと評価し、北朝鮮が2018年4月に宣言した「核・大陸間弾道ミサイル試験の一時中断」(モラトリアム)の廃棄に近づいたとみている。ウクライナ戦争と韓国の政権交代期を迎え、国内外の情勢が不安になっているところへ再燃した北朝鮮の核。ミサイル問題が再び浮上すれば、朝鮮半島で険悪な対決局面が再び繰り広げられるだろうと憂慮されている。

 軍関係者は「北朝鮮が最近2回発射した弾道ミサイルは、弾体(推進胴体)が2020年に公開されたもの同じだと評価した」と語った。当初、軍当局はこれらの弾道ミサイルを高度と射程距離などをもとに準中距離弾道ミサイル(MRBM)と評価していた。その後、様々な出処から確保した情報を収集し、韓米当局が精密分析した結果、北朝鮮が火星17型の胴体を利用して発射軌跡を調整し、試験発射をしたと判断した。米国の高位当局者もメディアブリーフィングで、北朝鮮の最近2回の発射について「大陸間弾道弾が可能なプラットフォーム」だと述べた。

 北朝鮮の動きも激しくなっている。前日、国家宇宙開発局を現地指導した金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長は「西海(ソヘ)衛星発射場を現地指導」し、「開建拡張」を指示したと、労働新聞が同日1面全面に報じた。「西海衛星発射場」は平安北道鉄山郡東倉里(チョルサングン・トンチャンリ)にあるが、金正恩総書記がいわゆる「対米先制的信頼措置」の一つとして「(暫定)閉鎖」した場所だ。韓国や米国などではよく「東倉里(ミサイル)発射場」と呼ばれている。金総書記が国家宇宙開発局と長距離ロケット発射の核心基盤である西海衛星発射場の「開建拡張」を指示したという事実は、北朝鮮が2018年4月に明らかにした「核・ミサイルモラトリアム(発射の一時中断)」の解除に急速に近づいていることを意味する。北朝鮮が2018年の朝米首脳会談を前に一部爆破した咸鏡北道吉州郡豊渓里(キルチュグン・プンゲリ)の核実験場を復元しようとする動きも見える。北朝鮮の動きは、ウクライナ戦争に注がれた米国の関心を北朝鮮にも向け、米国に対する交渉力を高めるためのものとみられる。

 北朝鮮の新型大陸間弾道弾は火星17型で、最大射程距離は米本土全域を打撃できる1万3千キロメートル以上。この日、韓米は異例にも北朝鮮のミサイルに対する精密分析結果を公開し、北朝鮮に挑発中止・対話復帰を求めた。韓米の高位当局者はこの日のメディアブリーフィングで、細部分析内容を公開した理由について「国際社会が北朝鮮のさらなる武器開発に反対するために、単一の声をあげなければならないと固く信じたから」だと説明した。北朝鮮が米国の設定したレッドライン(禁止線)である核実験・大陸間弾道ミサイル発射を再開する動きがますます濃くなったため、警告したのだ。

 北朝鮮の核問題やミサイル問題が再び拡大すれば、米国はウクライナ戦争とともにこの問題を扱わなければならない。米国の危機管理負担がますます増える。米国は北朝鮮に対する追加制裁を予告したが、以前のように国連安全保障理事会を通じた国際社会の一致した対応は難しい。安保理常任理事国である中国とロシアの同意が必要だが、両国は米国と激しく対立している。米国も、北朝鮮が全く応じない「条件のない対話」の提案を1年以上繰り返すだけではなく、北朝鮮を交渉の場に引きずり出す策を考えなければならないという指摘が出ている。

 北朝鮮は、韓国の大統領選挙と新政府発足前後の政権の態度を把握して対南交渉力を高めるために、強力な武力示威を繰り広げてきた。2012年12月の大統領選挙の1週間前には大陸間弾道弾を発射しており、2013年2月の朴槿恵(パク・クネ)大統領就任直前には3度目の核実験を実施している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任後の2017年7月と11月にも大陸間弾道弾を発射している。

 政権交代期の北朝鮮の強力な武力示威は、対北朝鮮強硬策を公言した尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領の対応とあいまって、新政府発足初期から南北関係を対決ムードに陥れる恐れがある。専門家らは、不安が増した朝鮮半島情勢の安定のため、北朝鮮はさらなる軍事行動を止めるべきだと指摘する。世宗研究所北朝鮮研究センター長のチョン・ソンジャン氏は「尹尹錫悦氏は、任期初期に朝鮮半島情勢が急激に冷却する可能性が高いため、朝鮮半島情勢を管理・緩和するという課題に直面することになる」とし「新政府は南北および韓中関係管理に失敗した李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵政権の轍を踏んではならない」と主張した。

クォン・ヒョクチョル記者、イ・ジェフン先任記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1034553.html韓国語原文入力:2022-03-1200:07
訳C.M

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