韓国政府は、遅くとも来週ごろにはオミクロン株の流行がピークを過ぎ、23日前後には感染確認数が減少に転じるとの分析を発表した。ピークには1日平均で感染確認数が37万人ほどになるとの見通しを示した。また重症患者数は今月末から来月初めにかけて最大で2120人にまで増加すると予測し、医療システムにかかる負担が重くなる可能性を示唆した。
防疫当局は14日、国内の複数の研究グループが9日に実施した今後の新型コロナウイルスの発生予測を総合した結果、16日には感染確認数が32万人以上となり(7つの予測機関のうち5つ)、23日前後に感染確認数が減少に転じると予測したと発表した。チョン・ウンギョン疾病管理庁長はこの日午後の定例ブリーフィングで、「流行のピークがいつになるかについては、16日から22日にかけてと予測に幅があり、流行の規模も30万人から37万人台までと様々な可能性が提示された」と述べた。中央事故収拾本部のソン・ヨンレ社会戦略班長もこの日のブリーフィングで「流行のピークはおそらく今週または遅くても来週ぐらいだろう」と述べた。
防対本の集計によると、14日午前0時現在の一日の新規感染確認数は30万9790人。今月8日からの1週間の感染確認数は、20万2711人→34万2433人→32万7541人→28万2978人→38万3659人→35万188人(35万190人から修正)→30万9790人で、防疫当局は現在の水準から10~20%ほど増加した後に減少に転ずるとの予測を示したことになる。
オミクロン株の流行がピークを過ぎても、1日の感染確認数の急激な減少にはつながらない可能性もある。大韓予防医学会のホン・ユンチョル理事長は「2週間以内に減少へと転ずるとみられる。外国に比べ、韓国はこれまで拡散抑制戦略を取ってきたため、転換は緩やかになるだろう」との予想を示した。
重症患者数のピークは今月末以降になるとみられる。防疫当局は、国内の研究陣の予測にもとづき、重症患者が23日ごろには1800人以上にまで増加し、今月末から来月初めにかけて1650人から2120人ほどになるとの見通しを示した。14日の重症患者数は1158人で過去最多だが、それが最大で2倍近くになる恐れがあるとの分析だ。
このため、今月末頃には重症患者用病床が不足するなど、医療システムに過負荷がかかることが予想される。病床稼働率は急激に上昇しつつある。先月第3週(2.13~2.19)には平均で31%だった全国の重症患者用病床の稼働率は、今月第2週目(3.6~3.12)には平均で61.9%に上昇している。この日の全国のコロナ重症患者用病床数は2751床で、そのうち1839床、66.8%が使用中。ソン班長は「重症患者は増え続け、今月末または来月初めごろにはおよそ2千人前後になると予想している。それに合わせて対応システムを準備している」と説明した。
また、重症患者の増加によってかかる医療システムへの負担を軽減するために、飲む治療薬(パクスロビド)の積極的な処方が必要だとする意見も出ている。慶北大学病院のキム・シヌ教授(感染内科)は、「現在、飲む治療薬を医療陣が患者に処方する際、副作用の懸念もあり、患者に様々なことを問わなければならないという厳格な面もあるせいか、思ったほどには使われていない。多く使われる病院もあり、そうでないところもある」とし「現場がもう少し積極的に飲む治療薬を使える状況を作るべき」と説明した。
いっぽう政府は、コロナ生活支援費の支給基準も一括調整した。これまでは世帯当たりの入院・隔離者数などに応じて支給されていた生活支援費を、2人以上の世帯は15万ウォン(約1万4300円)、1人世帯は10万ウォン(約9520円)に統一する。有給休暇費用の1日当たりの補助上限額は、既存の7万3000ウォン(約6950円)から4万5000ウォン(約4290円)へと約40%引き下げる。