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文大統領「韓日間の懸案、外交的解決の接点を見出せず残念」

登録:2022-02-11 09:24 修正:2022-02-11 12:27
聯合ニュース・世界7大通信社との合同書面インタビュー 
ジェンダー対立に「政府と政界の責任と役割が非常に重要」 
「綾羅島演説」を任期中最高の場面、「ハノイ・ノーディール」を残念なこととして挙げ 
終戦宣言「韓米間では文案まで意見が一致…中国も支持」 
南北首脳会談「選挙の時期・結果によっては不適切な状況になりうる」 
日本の佐渡金山のユネスコ世界遺産登録推進は「遺憾」
文在寅大統領が今月10日、大統領府で開かれた自立準備青年を招請した昼食懇談会に出席し、挨拶の言葉を述べている=聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、「不動産価格を安定させることができなかった点が(任期中)最も悔いの残る部分となった」と明らかにした。

 文大統領は同日、任期終了を3カ月後に控え、聯合ニュースおよび世界7大通信社と合同で行った書面インタビューで、任期中最も残念な部分は何かという質問に対してこのように答えた。今回の大統領選を控え、「政権交代」の世論が高まっている主な原因として不動産問題が指摘される中、文大統領が不動産市場を鎮静化することができなかったことを改めて認めたかたちだ。文大統領は「不動産問題が任期中に最も重荷だった」と述べた。文大統領は住宅価格の高騰など不動産問題が大きくなった原因として「低金利基調が長期で維持されたため、流動性が大きく拡大し、金が不動産に急激に集中した」状況で、「歴代のどの政府よりも多くの住宅を供給したが、首都圏集中化が続き、1人世帯が急増したことで、住宅供給が需要に追いつけなかった」という点を挙げた。文大統領は「住宅供給の大規模な拡大をもっと早くから急ぐべきだったという点が残念だ」と明らかにした。ただし「政府は不動産問題を最優先の民生問題と認識し、投機抑制、実需要者の保護、供給拡大政策を一貫して推進した。その努力により不動産価格は最近確実な下落傾向に入り、住宅の供給が急速に進み、(住宅購入の)事前申し込みも増えている」とし「住居安定のために最後まで努力し、不動産問題が次期政府の負担にならないようにする」と強調した。

 同日のインタビューでは「政権を握っている進歩陣営の与党と保守陣営の野党が、大統領選を控えて男性たちの票を得ようと努めながら『アンチフェミニスト』の声に迎合する姿を見せている」という指摘も出た。文大統領はこのような状況になった原因と解決策を問う質問に「韓国社会でジェンダー対立が若者層の間でより顕著に現われるのは深刻なこと」だとし、「政府と政界の責任と役割が非常に重要だと考える。時には、政治的目的で対立を利用して膨らませてはいないか、冷静に振り返るべきだ」と述べた。また「若者世代の生きづらさは、より多くの機会と公正の信頼を与えられなかった既成世代の責任であって、『男性のせい』や『女性のせい』ではない。お互い考えは違っても、健康な討論で一緒に解決策を探していければと願う」と付け加えた。

 文大統領は同日のインタビューで、任期中最高の場面としては2018年9月19日の平壌(ピョンヤン)での南北首脳会談当時に行われた「綾羅島(ヌンラド)演説」を、残念なことの一つとして2019年の第2回朝米首脳会談の「ハノイ・ノーディール」を挙げた。「5年間の任期中、戦争危機状況を克服し平和へと進む道を模索し、軍事的対決ではなく対話と外交に方向転換させたことが、最も大きなやりがい」として感じるという思いが反映されたものと読み取れる。

 文大統領は特に「ハノイ・ノーディールは、それまで良い流れに乗っていた朝米対話と南北対話を中断させ、長期の膠着局面を招くことになり、つくづく残念だ」と述べた。文大統領は「少なくとも『対話の継続』が担保されるべきだったが、『ノーディール』で終わったことが非常に残念。その経験を教訓とし、今からでもシンガポール宣言に即してお互い受け入れ可能で現実的な案について膝を突き合わせて話し合えば、解決策を十分に見出せると信じている」と述べた。

 「対話」を強調した文大統領は同日のインタビューで、朝鮮半島の平和定着のための終戦宣言の締結や、南北首脳会談と朝米会談の成功に対する期待をあきらめていない姿勢を見せた。文大統領は終戦宣言構想に関し、「韓米間では北朝鮮に提示する文案まで意見を一致させた状態だ。中国も終戦宣言を支持している」とし、「金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長とも、会えない間も必要な意思疎通をしてきた」と言及した。ただし「現政権の任期内に終戦宣言を成し遂げるというのは欲張りかもしれない」と述べた。大統領選挙がわずか1カ月後に迫っている上、政府の任期も3カ月しか残っていない現実的な環境を考慮したものと思われる。文大統領は「少なくとも終戦宣言ができる環境をさらに成熟させ、次期政府に渡したい」と強調した。

 南北首脳会談についても「対話への意志があるなら、対面にせよテレビ電話にせよ、形式は重要ではない。対話に先決条件を出すのは望ましくない」とし、その必要性を強調したが、「ただ、私に与えられた時間があまり残っていない」という点も認めた。特に文大統領は「差し迫った選挙期間と選挙の結果が、南北首脳会談を開くには不適切な状況になりうる」と述べた。大統領選で勝利する側が文在寅政権の北朝鮮政策をしっかり受け継ぐという立場を示すなら、文大統領が任期内に南北首脳会談を行える可能性が高くなるが、反対の場合には南北首脳会談も難しくなる可能性があるという意味に解釈できる。

 朝米首脳会談の可能性については、「バイデン政権はいつでも、どこでも前提条件なしに北朝鮮と会う準備ができているという点を持続的に強調し、実質的な北朝鮮との接触の努力を傾けている」とし「バイデン大統領と金委員長の会談は時間の問題に過ぎず、最終的には実現するだろう」と予想した。文大統領は「ハノイ・ノーディール経験を教訓にし、北朝鮮と米国が再び対話と交渉に乗り出せば、進展した結果を生み出せるだろう」と明らかにした。

 ただし、ここのところ北朝鮮の武力挑発が相次いでいることについては、「もし北朝鮮の相次ぐミサイル発射が、(核実験・大陸間弾道ミサイル再開)モラトリアム宣言を破棄するところまで進めば、朝鮮半島は一瞬にして5年前の戦争危機状況に戻る可能性がある」と述べた。文大統領は「粘り強い対話と外交を通じてこうした危機を防ぐことこそ、関係国の政治指導者が必ず一緒に成し遂げなければならない役割」と述べた。

 中国と日本など、対立が表出している隣国との外交問題についても立場を明らかにした。中国については「最近、国内で若者を中心に中国に対する反感が高まっている状況で、未来志向的な韓中関係のための対策は何か」という質問に対し、「経済協力を強化し、両国民に実質的な恩恵が届くよう努力し、特に両国の未来世代である若者同士の理解を高め、友好ムードを広げていく必要がある」と答えた。文大統領は「パンデミック状況のため制約を受けたが、必要なときに様々なかたちでコミュニケーションを図ってきており、今後もそうする」と述べ、中国の習近平国家主席との首脳会談の可能性を残した。また、米中間の対立が高まる状況でバランス外交の解決策を問う質問に対しても、「韓国政府は堅固な韓米同盟を基盤に、韓中関係もバランスよく発展させていくという立場を堅持し、米中両国と緊密に協力した」と答えた。

 日本に関しては、慰安婦被害者問題や強制労働被害者賠償のための方策をめぐり日本との対話が進展していない状況について、「韓日間で解決しなければならない懸案を外交的に解決しようと努力したが、まだ接点を見出せず残念だ」と語った。特にこのような状況で、日本政府が日帝強制占領期(日本による植民地時代)の朝鮮人の徴用現場である佐渡金山のユネスコ世界遺産登録を推進していることについて、「歴史問題の解決と未来志向的な関係発展を模索しなければならない時点で憂慮されること」だとし、「遺憾なこと」だと述べた。

 文大統領は同日のインタビューで「退任後は政治に関与しないという考えに変わりはない。前職大統領として社会的な活動も構想していない」と述べた。2020年1月の年頭記者会見の時に述べた「忘れられた人に戻りたい」という立場を、再び確認したものだ。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1030625.html韓国語原文入力:2022-02-11 02:35
訳C.M

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