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韓国で新規感染者7千人突破したが…オミクロン対応準備不足の「呼吸器クリニック」

登録:2022-01-24 09:03 修正:2022-01-24 11:59
2日連続で7000人台…防疫転換が急務 
検査機関が少なく、仕事の経験不足 
市民たちはどこに行けばいいのか分からない状態
オミクロン変異が急速に広がり、新型コロナの新規感染者数が7千人台半ばに達した23日、ソウル恩平区保健所の選別診療所で市民たちが検査を受けるために待っている/聯合ニュース

 韓国で新型コロナウイルスの新規感染者数が、政府の提示したオミクロン対応体系への転換基準である7000人を2日連続で上回った。オミクロンの大拡散で、旧正月の連休以降は1万人程の感染患者が発生すると予想されていた状況だが、これをカバーする呼吸器専門クリニックなど、地域の医療機関の準備は非常に不足している。

 中央防疫対策本部は23日、同日0時現在で新型コロナの新規感染確認は7630人(国内7343人、国外流入287人)と発表した。第4波でピークに達した昨年12月15日の7848人以来、39日ぶりの最多規模だ。前日の7008人に続き2日連続で7千人台にのぼった。これに先立ち、政府はオミクロン変異株検出率が50%を超え優勢種になる基準点として、1日の感染者7000人を提示したが、その基準点を超えた。感染者が7千人を超えれば、従来の「3T」(検査・追跡・治療)戦略は高危険群中心のオミクロン対応防疫・医療体系に転換される。政府はこれに先立ち、オミクロン検出率が高い光州(クァンジュ)・全羅南道・平沢(ピョンテク)・安城(アンソン)の4地域に対し、26日からオミクロン対応体系を適用すると明らかにした。

 政府が明らかにしたオミクロン対応転換体系の中心となるのは「呼吸器専門クリニック」だ。呼吸器専門クリニックは、新型コロナの流行状況で、呼吸器患者が動線分離を通じて安全に医療機関を利用できるよう、2020年から運営されてきた。オミクロン対応体系で、これらの機関に迅速抗原検査の遂行という追加の機能が与えられた。発熱や咳など新型コロナと疑われる症状がある人たちは、クリニックを訪問し、医師の診療を受け、専門家向け迅速抗原検査を受けることになる。陽性なら追加で遺伝子増幅検査(PCR)を受ける。新型コロナの感染が確認された患者を対面あるいは非対面でモニタリングするのもクリニックの役割だ。現在、過負荷のかかっている検査と治療機能を、呼吸器専門クリニックが分担して減らすということだ。今月20日を基準に、呼吸器専門クリニックは579の機関に設置され、654カ所で運営されている。開放型(保健所)は148カ所、医療機関型は431カ所(医院級115カ所、病院級150カ所、総合病院166カ所)だ。

 問題は、呼吸器専門クリニックが指定されてはいるが、具体的な役割を果たした経験が少ないということだ。クリニックと政府の意思疎通も十分に行われていない。今月26日からオミクロンに対応しなければならない呼吸器専門医クリニックを運営するある医療機関の関係者は、「防疫当局から公文書を受けただけで、事前協議はなかった」と述べた。

 このような状況のため、参加する機関の備えも足りない状態だと評価されている。翰林大学聖心病院のチョン・ギソク教授(呼吸器内科)は、「クリニックはこれまで指定だけされて、役割が与えられたことがない。再び役割を与え、地域ごとの配置も適切かどうかを考えなければならない」とし「全国に約600カ所と言っても、地方自治体で見れば2つ程度しかない。政府の予測通り感染者が2万~3万人も出れば持ちこたえられないだろう」と述べた。

 カトリック医大のペク・スニョン名誉教授(微生物学教室)は「動線分離がきちんとできていないところも多い。また、指定を受けるとしても、当の医師たちは新型コロナ患者を看たことがなく、どのような治療をしなければならないのか勉強しなければならない部分がある。地域社会などで定期的に教育ができるようにすべきだ」と述べた。

 また、スペースの不足などの理由で患者の検体採取をしないところもあり、補完が必要だという分析も出ている。本紙が今月21日、健康保険審査評価院に公開された呼吸器専門クリニックの運営状況を分析したところ、検体採取を行っていないクリニックは116カ所にのぼった。クリニック全体の5カ所のうち1カ所は、新型コロナの検体採取をしていないという意味だ。クリニックで抗原検査によって陽性と判断された患者が検体を採取できない場合、患者は再びPCR検査のために検査機関を訪ねなければならない。飲み薬の投薬が必要な人には時間の遅延が懸念され、また患者が検査を受けに行くことによってさらなる感染拡散の懸念もある。ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)は「医院級の場合には空間に制約があり、検体採取が容易でない場合もある」とし「病院級も広範囲に呼吸器クリニックに参加させるのが現実的だ」と述べた。

 防疫当局は、今後は症状が現れたら呼吸器専門クリニックに行かなければならないと説明しているが、実際には市民はどこに行けばいいのかも分からない状況だ。呼吸器専門クリニックの位置や運営時間などに関する情報は、保健福祉部や健康保険審査評価院のホームページには掲載されているが、このような内容を知っている市民はほとんどいない。防疫当局はネイバー、カカオのマップなどポータルサイト検索を通じて位置を確認できると説明しているが、正確性は著しく落ちる。実際、京畿道安城市は、京畿道医療院安城病院、安城聖母病院、プルン耳鼻咽喉科医院が呼吸器専門クリニックだと発表しているが、呼吸器専門クリニックを地図で検索すると誤った機関が検索されるという状況だ。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は、「患者が大規模に発生する状況で、今のように(呼吸器クリニックではなく)選別診療所や救急室を訪れると、非常に危険な状況が発生する可能性がある」と述べた。チョン・ギソク教授も「市郡区から専門クリニックを知らせるメッセージを送るなど、方法が必要だ」と指摘した。

 また、一日の新規感染者が7千人を超えた状況で、オミクロン対応体制への転換を先送りしてはならないという指摘も出ている。オム・ジュンシク教授は「感染者が増えるのはほぼ100%確実であるため、対応体系をいま変え始めなければならない」とし「そうしてこそ実際に感染者が急増した時に試行錯誤なく問題を克服して、時間を稼ぐことができる」と述べた。

パク・ジュニョン、イム・ジェヒ、キム・ギソン記者juneyong@hani.co.kr(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/1028469.html韓国語原文入力:2022-01-24 02:32
訳C.M

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