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韓国に襲いくるオミクロンの波…恐怖は縮小、無力感は増大

登録:2022-01-21 02:29 修正:2022-01-21 09:51
[コロナ2年、国民の認識の変化を分析] 
 
累計感染者70万、死者6400人 
コロナ初上陸時は極度の恐怖 
「ウィズコロナ」第一歩を踏み出すも… 
防疫による被害などで社会的対立深まる
コロナ感染者数が月曜日の時点で過去最多を記録した12月7日午前、ソウルの龍山駅前の駐車場に設けられた選別診療所で、市民が検査を受けるため並んでいる=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

称賛されたK防疫、国民生活への被害拡大で市民の信頼が後退

 恐怖、回復、そして無気力。

 2020年1月20日に韓国で新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されてからの2年間で、累計感染者数は70万5902人、累計死者数は6452人(19日0時現在)となった。その間の韓国社会における認識の変化は、上の3つの単語に要約される。韓国は最初の1年間、正体不明のウイルスを前にして極度の恐怖を感じ、市民が自ら個人の防疫レベルを引き上げた。市民の自発的な防疫参加と政府の防疫政策はあうんの呼吸を誇り、「K防疫」として世界的な注目を集めた。しかし2年後の2022年1月現在、相次ぐ訴訟によって防疫政策に支障をきたすなど、社会的対立が深まっている。

 19日、新規感染者は20日ぶりに5000人台(5805人)を記録した。感染力の強いオミクロン株が優勢になれば、3月ごろには1日に2万人を超える感染者が生じうるとの予測が示される中、コロナに対する認識の変化は防疫にどのような影響を及ぼすのだろうか。本紙は、このところの防疫政策の効果の低下、社会対立の増加の原因を把握するため、ソウル大学保健大学院のユ・ミョンスン教授の研究チームと共同で、コロナに対する国民の認識を尋ねた過去2年間のアンケート調査を分析した。ユ教授のチームが実施または参加した2020年1月の第1次から2021年11月の8次までの国民認識調査、Kスタットリサーチによる5回の定期調査、3次にわたるコロナと社会的健康に関する調査、2回にわたるコロナ対応体制の転換に関する国民認識調査の、計18回の調査を分析対象とした。

73%前後だった危険認識が第4波後には60%以下に

■恐怖が防疫の力に

 新型コロナウイルスが国内に広がり始めた2020年1月31日から2月4日にかけての国民の反応は「恐怖」そのものだった。感染者の規模は100人に満たなかったものの、感染の深刻さを問う質問(危険認識)では73.8%が「深刻だ」(「非常に深刻だ」を含む)と答え、過去2年間で最も高かった。その後、新天地イエス教証しの幕屋聖殿(新天地)の大邱(テグ)教会を震源地として、大邱・慶尚北道地域で感染者が大量発生した2020年2月(2月25~28日)には、むしろ危険認識が68.9%と当初より低下していた。しかし同年、ソウル城北区(ソンブクク)のサラン第一教会と光復節の光化門集会を起点として首都圏で第2波がはじまったことで、危険認識は73.2%(9月4~6日調査)に上昇した。同年11月中旬から翌年1月中旬までの、感染者が1000人を上回った第3波においても同様だった。2020年12月から2021年2月までの3カ月間に実施された調査における危険認識は、70.0%→72.4%→72.6%と高まった。

 第1波から第3波にかけての市民の高い危険認識は、政府が強力な防疫政策を実施し、拡散を遮断するのに役立った。ユ教授は「現在のように社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)や規制のなかった2020年2月の時点で、韓国においてマスク着用が社会的規範となったのは、感染の危険性を強く認識していたため」とし「個人と社会が感染の危険性をどれほど強く認識するかが感染予防行動の水準を決定し、ひいては感染症拡散にも影響を及ぼす」と説明した。

 主要諸国と比べても、韓国市民の危険認識の水準は高かった。米国の世論調査専門機関ピュー・リサーチ・センターが、2020年9月に世界14カ国、1万4276人に対して行った調査によると、韓国では89%が「コロナの拡散は国にとって重大な脅威」だと答えており、日本(88%)と共にコロナを国家的危険と認識する代表的な国に数えられた。米国、英国、カナダは当時の韓国とは比較にならないほど被害が大きかったが、国民の危険認識はそれぞれ78%、74%、67%だった。

 このような認識は韓国の防疫の成功の基礎となった。疾病管理庁が世界保健機関(WHO)と「アワー・ワールド・イン・データ」の集計を分析したところ、今月10日現在で、コロナに感染し命を失った人は、韓国が100万人当たり118人。日本146人、イスラエル955人、ドイツ1371人、フランス1887人、英国2210人、米国2509人に比べて顕著に少ない。

 しかし、韓国社会もこのように高い水準の危険認識と防疫水準は保てなかった。防疫守則の順守や感染症の予防には社会・経済的被害が伴い、それによるストレスと緊張、疲れが溜まっていったのだ。このことは、コロナ禍2年目に拡散規模がさらに大きくなる中で、危険認識の低下が始まるという影響を及ぼした。デルタ株が主導する昨年7月の第4波の開始後の8月、10月、11月の調査では、危険認識は59.4%→58.3%→57.7%と60%を下回った。一方、コロナ禍初期の2020年2月と比べると感染者数は10倍にふくれ上がっており、死者の数は1桁から3桁ほどにまで激増した。

「ウィズコロナ」直前には感染の危険性65%、経済損失81%

■恐怖の克服、日常回復

 コロナに対する恐怖心の低下に支えられ、韓国も昨年11月には「段階的日常回復」の第一歩を踏み出すことができた。

 コロナ禍が長期化するにつれ、ウイルス感染だけでなく社会・経済的被害もより深刻になりうるという国民的コンセンサスが形成された。ユ教授の研究チームが2021年11月1日の段階的日常回復を前に、10月5日から8日にかけて実施したアンケート調査によると、市民は感染の危険性(64.6%)よりも、強力な防疫から派生するその他の被害をより深刻に受け止めはじめていた。国民経済の損失と被害(81.3%)、感染対応人材・機関の負担の増加(74.5%)、学習欠損とケアの孤立(74.1%)、うつ・無気力・ストレスなどの否定的心理(71.0%)などが社会問題として浮かび上がった。コロナは日常の一部に過ぎず、生活は続くべきだという認識が定着したのだ。市民の認識の変化とともに、デルタ株の登場は防疫政策の転換へとつながった。防疫当局は、ワクチン接種と集団免疫によってはコロナ禍を終息させることはできないと判断し、日常回復の必要性はさらに高まった。世界はコロナの終息に失敗し、韓国もウイルスとの「共存」を選んだわけだ。

 しかし、ウイルスとの共存をコロナ禍の「終息」と誤解した国民も多かった。昨年10月のアンケート調査によると、「国民の多くがワクチンを接種しても変異ウイルスの感染力のせいで集団免疫の形成は不可能であり、コロナ禍以前には戻れないと思うか」との問いに対して、31%が「そうは思わない」と答えた。防疫についての感受性とコロナに対する恐れが共に薄れた結果、日常回復の実施から1カ月で感染確認数は1日5000人を超え、再び危機を迎えた。

 コロナ禍の長期化で社会的信頼が低下したことも防疫の不安要素となった。コロナ対応の主体としての他人に対する一般的な信頼を問う2020年8月の調査(第1次)では、回答者の70.6%が「自分の知り合いは信頼するに足る」と答えた。同じ回答者集団に対して行った2021年8月の調査(第2次)では、回答者の74.8%が「信頼するに足る」と答え、小幅に増加していた。だが、この2回の調査と調査集団が異なるため直接の比較は難しいものの、日常回復開始後の2021年11月の調査(第3次)では、知り合いに対する信頼度は64.3%で、10ポイントほど下落していた。知らない人に対する信頼度は、1次調査20.6%→2次52.7%だったが、3次調査では45.7%だった。ユ教授は「長期化したパンデミックでは、フェイクニュースや無責任な批判などの信頼を傷つける行動を警戒しなければならない」とし「信頼を社会的資産として、協力して対応することが重要だ」と強調した。

防疫政策についての理解は59→35%、「政策、自分の意見とは無関係」26→36%

■防疫には効果があると感じる人の減少

 オミクロン株の拡散による第5波が予告される中、市民の参加は防疫の成否を分けると考えられる。政府は防疫パスなどの厳しい防疫政策を打ち出しているが、政府への不信が高まっていることで、政策に効果を感じる人は減りつつある。

 「自分がどのような防疫政策を支持しようが、何の違いも生じないと思うか」という問いに対し「そう思う」と答えた人の割合は、2020年8月にはわずか26.4%に過ぎなかったが、2021年2月の調査では28.9%→8月31.3%→10月36.7%と次第に高まっている。同じ期間に「防疫当局や専門家は、自分のような人間の認識や選好は気にかけない」との問いに対し「そう思う」と答えた人の割合も25.8%→33.7%→37%→36%と増加傾向を示している。一方、「韓国が直面している重要な防疫政策の懸案について、かなり理解している」との回答は59%→54.5%→47.6%→35.5%と大きく低下している。防疫政策の対象、かつ主体となるべき国民が、政府に保護されていると感じられず、その結果、無力感が徐々に増していると分析される。

 専門家は、1日に数万人のコロナ感染者が発生すると予想されるだけに、より幅広く市民の意見を聞き、防疫に対する関心と参加を引き出す必要があると指摘する。段階的日常回復の過程では、日常回復支援委員会が立ち上げられたが、同委員会についても依然として、政府が舵を取りつつ形式的に同意を得る手続きに過ぎないという批判の声があがっている。

 ソウル大学保健大学院のキム・チャンヨプ教授は「塾、読書室、スタディーカフェを利用する青少年に対する防疫パス適用を決定、執行する過程では、肝心の当事者である青少年と保護者の意見を聞き、参加を奨励するということをしなかった」とし、「共同体に影響を及ぼす防疫対策の策定に際しては、構成員が直に意見を出して共に決定するための様々な試みが必要だ」と述べた。

イム・ジェヒ、イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1028070.html韓国語原文入力:2022-01-20 04:59
訳D.K

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