(1のつづき)
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候補交替は可能?ここはダイナミックコリア
このような世論調査の結果について、イ・ジェミョン候補と与党「共に民主党」は、ひとまず差し迫った危機からは脱したとみなしている雰囲気です。年明け前に同程度にまで追いつけたことで、大統領選で競い合うことができるようになったという見通しだからです。安心する雰囲気とまではいきません。イ・ジェミョン候補がうまくやったのではなく、ユン・ソクヨル候補と野党「国民の力」の失態で得た反射利益だということです。イ・ジェミョン候補の支持率は30%台のボックス圏から動かない状況で、さらに上昇する余力がなく不安だというのが共に民主党の自己分析です。
国民の力の方はまったく異なる解釈をしています。まず、全国指標調査の数値自体を信じていません。電話面接方式であるため、野党がかなり低く出るという理由からです。国民の力の関係者は「自動応答方式で独自の世論調査をしてみると、ユン・ソクヨル候補がリードしていると出ている」と明らかにしました。さらに、「ユン・ソクヨル候補の支持層が無応答層になったり、アン・チョルス候補に少し移ったりはしたが、うまく説得すればいくらでも戻せる」と自信を示しました。
このような分析をもとに、3月9日の選挙に決定的な影響を及ぼす可能性のある主な変化要因はどのようなものかを取り上げてみます。
一つ目に、20~30代の有権者の選択です。
先に述べた通り、20~30代の投票者の心理は流動的です。彼らがどちらか一方に傾けば、今回の大統領選の勝負を決定づける可能性もあります。イ・ジェミョン候補は、最近の選挙運動の焦点を20~30代に合わせています。ユン・ソクヨル候補と国民の力も20~30代の重要性を知らないわけではありません。しかし、20~30代を引き寄せられるノウハウは、イ・ジュンソク代表とホン・ジュンピョ議員が持っています。ユン・ソクヨル候補がイ・ジュンソク代表やホン・ジュンピョ議員と和解できなければ、大統領選の勝利は難しいだろうという診断の根拠は、まさにそこにあります。
二つ目に、ユン・ソクヨル候補とアン・チョルス候補の一本化です。
ユン・ソクヨル候補がアン・チョルス候補と連帯すれば、大統領選の勝利の可能性はかなり高くなります。昨年4月7日のソウル市長補欠選挙では、オ・セフン候補がそのようにして勝利しました。少し昔のことですが、1997年の金大中(キム・デジュン)元大統領とキム・ジョンピル元首相のDJP連帯の事例があります。新政治国民会議と自由民主連合の合意文にはこのような内容が含まれていました。
「単一化された候補が大統領選で当選した場合、共同政府の首相は自由民主連合が担当することとする。共同政府で大統領は、現行憲法の内閣制的な要素を守り、首相に実質的な閣僚の任命提案権を与え、首相の解任建議権を尊重する」
「閣僚の任命は両党が同等な割合として、両党以外の勢力の招聘は両党の合意がなければならなず、必要な場合は両党が同じ割合でそれに対する持分を割くこととする」
ユン・ソクヨル候補とアン・チョルス候補がこのような合意をできない理由はありません。二人の連帯は、ユン・ソクヨル候補から離脱した支持層を再び集める効果もあるはずです。
1997年の大統領選挙を前にして、新韓国党のイ・フェチャン総裁と民主党のチョ・スン総裁が手を結んだ「イ・チョ連帯」の事例が参考になります。当時、二つの政党が合併しハンナラ党が誕生しました。息子の兵役不正疑惑により支持率が下落したイ・フェチャン候補は、イ・チョ連帯を機に上昇の勢いに乗り、実際の選挙ではわずか1.53ポイントの差で敗北しました。選挙がほんの一週間先だったとすれば、イ・フェチャン候補が当選したかもしれなかったわけです。保守派の有権者には、イ・フェチャン候補を再び支持する名分がそれほど切実だったのです。
三つ目に、候補交代論です。
今は可能性がほとんどないように思えますが、もしユン・ソクヨル候補の支持率が今よりさらに下がり、誰が見ても大統領選の敗北が確実になるとすれば、どうなるのでしょうか。国民の力の党員たち、いや保守勢力全体が立ち上がり、ユン・ソクヨル候補を交代させようとするでしょう。そんなはずはないですって?ここはダイナミックコリアです。常に想像以上の事件が起こる所です。
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最後まで終わりは見えない
振りかえってみると、1997年のイ・インジェ候補、2002年のチョン・モンジュン候補、2012年のアン・チョルス候補の突風の出発地点が、まさに候補交代論でした。イ・インジェ候補はイ・フェチャン候補の代案として、チョン・モンジュン候補は盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補の代案として、アン・チョルス候補は文在寅候補の代案として浮上したのです。
現行の公職選挙法は、「選挙戦で候補者として選出されていない者は、当該選挙の同じ選挙区に候補者として登録できない。ただし、候補者に選出された者が辞退、死亡、被選挙権の喪失または党籍の離脱・変更などにより、その資格を喪失した場合は当てはまらない」と規定しています。
ユン・ソクヨル候補が辞退したり党から追いだされるとすれば、ホン・ジュンピョ氏やユ・スンミン氏、ウォン・ヒリョン氏など他の人に出馬の道が開かれることになるのです。今こそ政治の季節です。