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韓国大統領選、道徳性の検証よりも「嫌悪競争」が過熱…疲労感ばかり増す

登録:2021-12-20 09:52 修正:2021-12-20 11:49
ユン候補の妻の虚偽の経歴に対する検証が持ち上がると 
国民の力「イ候補、兄の妻罵倒事件」を持ち出し対抗 
民主党「野党が賭博問題を工作した」説を持ち出し 
国を率いるビジョン・政策競争は姿を消した
大統領選のイ・ジェミョン共に民主党候補(右)とユン・ソクヨル国民の力候補が今月19日午前、ソウル龍山区の孝昌公園にある三義士の墓で開かれた尹奉吉(ユン・ボンギル)義士殉国89周忌追悼式に出席し、互いに目を合わせずにいる=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 共に民主党のイ・ジェミョン大統領選候補と国民の力のユン・ソクヨル候補の家族関連疑惑が検証台に上がると、両政党が相手に対する敵対心と嫌悪を助長するネガティブ攻勢を浴びせ、大統領選が混濁している。大統領選候補の家族の違法・脱法行為に対する検証は必要だが、これを利用して反射利益を狙うのではなく、未来のビジョンを提示して点を得る「足し算」のキャンペーンを繰り広げるべきだという指摘が出ている。

 今回の大統領選が「かつてなく好感の持てない大統領選」と呼ばれるのには、両党の大統領選候補と家族をめぐる道徳性論争に対する失望がまず第一の理由に挙げられる。しかし、候補をめぐる疑惑そのものというよりは、疑惑を十分に説明するより相手に対する対立と憎悪を煽る両陣営のネガティブ対決の方が非好感度を高めているという分析が出ている。仁川大学のイ・ジュンハン教授(政治外交学)は「米国でもバイデンやトランプの子どもまで検証対象に含まれる。候補ではない家族は検証するなというような対応は正しくない」としながらも、「両候補が様々な疑惑についてすっきり釈明できない姿を見せていることに加え、相手の疑惑を選挙に活用するために両党が攻撃を極大化している行動によって、かつてなく好感の持てない大統領選となっている」と指摘した。

 ユン候補の配偶者であるキム・ゴンヒ氏が虚偽の履歴記載などの問題で危機に直面すると、国民の力がイ・ジェミョン候補の「兄の妻罵倒事件」を再び持ち出して対抗したのが代表的だ。国民の力の選対委広報団は18日、「イ・ジェミョンはやります!兄嫁罵倒」という見出しのカードニュースを作って配布した。同党は19日にも「イ・ジェミョンを正しく知らせるー国民の力!10・10・10キャンペーン」のポスターを公開し、「1日10分、1日10回、1日10個のコメントを書き込み、イ・ジェミョンの本当の顔を知らせよう」とし、国民の力支持者にネガティブ戦への参加を督励した。また、イ候補の長男の違法賭博疑惑をイ候補の前科履歴などと結びつけて「犯罪者一家」とする非難も繰り広げた。

 共に民主党の数人の議員もまた、キム・ゴンヒ氏関連疑惑と関係のない整形などの外見に対する言いがかりをつけ、「ホステス説」などを取り上げて攻撃した。また、キム氏の疑惑報道に対しユン候補と国民の力が「与党の工作だ」と主張した説を、根拠のない陰謀論と非難した民主党は、イ候補の息子の賭博・買春疑惑には「国民の力の工作」説で対抗し、陰謀論を拡散させる様相も見せた。

 巨大二党のこのような態度に対し、ソウル大学のパク・ウォンホ教授(政治外交学)は「今回の大統領選は、自分の支持する候補を好むことより、相手の候補を嫌うことの方が大きく作用している。有権者がこのように分裂している理由は、現在の政治陣営が2大政党に分極化しているため」だとし、「選挙で負けても(分裂で結集した)40%の支持はもっていくので、政界でも損することはないという認識があるようだ」と指摘した。2大政党が両陣営に分かれた支持層の結集のために、大きな問題意識なくネガティブキャンペーンを繰り広げ、政治嫌悪を煽っているということだ。

 しかし専門家らは、問題が起きたときに候補が見せる正直さなどの対応の「態度」も、有権者の「政治的信頼」に大きな影響を及ぼすと指摘した。朝鮮大学のチ・ビョングン教授(政治外交学)は「本人の過ちを認めないのは深刻な道徳性の欠陥であり、傲慢さを示す」とし、「本人の疑惑に対してどのように理解を求めるかも、重要な評価基準の一つ」だと述べた。ユン・ソクヨル候補が、キム・ゴンヒ氏の虚偽経歴問題が浮上してから3日後にようやく謝罪しながらも具体的な説明を出さなかったことが、配偶者の「虚偽の履歴」そのものよりも大きな危険要素になり得るという意味だ。「ザ・可能研究所」のソ・ボクキョン代表は「政治が信頼を与えるのは結局、責任の問題と関係がある。政治家は市民が疑わしく思う疑惑について十分に情報を提供し、説明する義務がある」と述べた。

 「好感の持てない大統領選」を正常な競争に戻すためには、候補らが新型コロナウイルス危機など当面の危機をどう克服するのか、韓国社会を今後どのような方向に導いていくのかなどを提示するビジョン競争を繰り広げなければならないと専門家たちは口をそろえて言う。ソ代表は「激変の時期であるほど、(道徳性よりは)リーダーの能力が問われる。共同体が生き残らなければならないからだ」とし「構成員の大多数が大きな不安を感じている時、共同体を安全にする人は誰なのかを探すようになる。大統領選候補たちはこれに対するそれぞれの政策代案を鮮明に打ち出して競争すべきだ」と助言した。

 チ教授も「有権者は候補の道徳性に対する部分も重視するが、結局は当選後に韓国社会をどのように変化させるかに対する成果に焦点を置いて評価し、投票することになる」と見通した。

ソン・チェ・ギョンファ、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1023935.html韓国語原文入力:2021-12-2007:11
訳C.M

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