本文に移動

韓国の心筋炎の中学生、ファイザーのワクチン接種と因果関係ありの可能性

登録:2021-12-27 01:09 修正:2021-12-27 08:08
専門家「コロナ感染後の重症化の方が多い」 
疾病庁「補償申請が確認されれば速やかに補償」
21日午前、京畿道のある学校で、学校単位のワクチン接種が行われている=共同取材団//ハンギョレ新聞社

 先月ファイザーのワクチンを接種した中学1年生の女子生徒が心筋炎で重態に陥っているが、これはワクチンによる異常反応である可能性があるという。保健医療の専門家は、ワクチン接種後にごく稀に急性心筋炎に発展することがあるが、ワクチン接種のメリットの方が依然として大きいため、小児・青少年に対する接種は続ける必要があると強調している。

 26日の本紙の取材内容を総合すると、仁川(インチョン)市内に住む中学生のAさん(14)は先月22日、1回目の接種をファイザーのワクチンで受けた後、頭痛を訴え、処方された薬を服用。その時は症状が好転したが、12日後の今月4日、運動中に失神し、近くの総合病院に搬送された。心筋炎との診断を受けて4週間にわたり治療を受けており、その間に心停止などの数回の危機に直面したほか、肺と肝臓が損傷しており、今月22日からソウルサムスン病院でECMO(エクモ。体外式膜型人工肺)による治療を受けている。

 病院で精密検査を行った結果、Aさんにはワクチン接種以外に心筋炎を誘発するほどの要因はなかったことが分かった。匿名のある関係者は「ワクチン接種後に心筋炎が発生しており、心不全へと発展する過程で影響を与えたその他の要因は今のところ確認されていない。心筋炎を誘発する他のウイルスや細菌への感染、免疫の問題などはなかったため、ワクチン接種による心筋炎である可能性が高いとみられる」と述べた。一般に、小児・青少年の急性心筋炎の有病率は5万人に1人程度と極めて稀だ。大半はウイルス感染が原因のケースで、Aさんを診療した医療陣はこのような感染を発見できていないということだ。

 現在までのところ、国内でファイザーのワクチンの接種後に重症の心筋炎へと発展し、因果関係が認められた事例は1件(死亡)。死亡したのは、今年6月にファイザーのワクチンで1回目の接種を受けた20代の男性。韓国政府は、12~17歳の予防接種(ファイザーのみ接種)ではAさん以前に心筋炎・心膜炎の発症報告が5件(12月初め現在)あったが、死亡例はないと発表している。

 米国などの国外のケースを見ると、mRNAワクチン接種後の異常反応としての心筋炎は主に若い男性で発見されている。フィラデルフィア小児病院小児青少年科のポール・オフィット教授は、16日にユーチューブにあげたインタビュー動画で、「小児・青少年の心筋炎有病率は5万人に1人で極めて稀だが、2次接種を受けた18~19歳の男性では1万人に1人にまで高まりうる」としつつも、「ワクチンの異常反応としての心筋炎は大半が軽症で、重症には発展していない」と述べている。ポール教授は「しかし新型コロナウイルスに感染した若いスポーツ選手たちを精密調査した結果を見ると、45人に1人に心筋炎が見られた」と付け加えた。ワクチン接種後の異常反応としても心筋炎になりうるが、コロナ感染後の心筋炎の方がはるかに多い、との説明だ。

 韓国国内の専門家も、同じ理由から小児・青少年に対するワクチン接種は続けるべきだと指摘した。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「Aさんのケースは非常に珍しいが、感染者が増えるにつれて、コロナ感染で苦しむ児童・青少年も急速に増えている」とし「ワクチン接種が続くようにするためには、政府が予防接種被害補償専門委員会を通じて速やかに因果関係を判断し、補償すべきだろう」と述べた。疾病管理庁の資料によると、7月から10月にかけて発生した12~17歳のコロナ感染による重症患者は9人だが、段階的日常回復の開始後に急増した11月の青少年感染者に重症患者は含まれていない。

 Aさんの母親は24日、大統領府の国民請願掲示板に「青少年ワクチンを勧告事項としておきながら誰も責任を取らないなら、誰が国を信じて子どもを預けるのか」とし「負担が困難な病院費だけでも3000万ウォン(約289万円)。助けてほしい」と書き込んでいる。疾病庁の関係者は「Aさんのケースについては、まだ補償申請がなされていないと把握される」とし「申請が確認されれば速やかに補償する」と述べた。

イ・ジェホ、イ・ジョンハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1024811.html韓国語原文入力:2021-12-26 16:58
訳D.K

関連記事