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英国「心筋炎のリスク…12~15歳の接種は1回だけ」青少年の接種控えた韓国は?

登録:2021-09-15 03:35 修正:2021-09-15 08:19
防疫当局「健康な児童・青少年、接種のメリットは感染リスクより大きくない」
冬季のインフルエンザ流行を遮断するため、子どもや妊婦などの高危険群に対するインフルエンザワクチン接種が始まった14日午後、ソウル松坡区のキム・ハグォン小児青少年科医院で接種対象の子どもがワクチン接種を受けている/聯合ニュース

 英国は12~15歳の児童・青少年にもファイザーの新型コロナウイルスワクチンを接種するが、心筋炎などの異常反応が懸念されるため、16~17歳と同様に接種は1回のみとすることを決めた。ヤンセンファーマ(ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門)のワクチンを除き12歳以上の全員が2回の接種を受ける米国とは異なる選択で、第4四半期に12~17歳の児童・青少年に対する接種を控えている韓国でも、接種回数やワクチンの安全性などをめぐって論争が再燃している。政府は、成人とは異なり健康な児童・青少年にとっては「接種のメリットは感染リスクより遥かに大きいわけではない」とし「強制ではなく機会を提供するという観点」から接種を進めるものと明らかにした。

 コロナ予防接種対応推進団のホン・ジョンイク予防接種管理チーム長は14日、「基礎疾患のある12~17歳の児童・青少年は感染時にリスクが大きいため接種が必要だが、健康な児童・青少年にとっても接種のメリットの方が感染リスクよりはるかに大きいとは考えていない」とし「12~17歳には接種を強要したり誘導したりせず、接種の機会を提供するという観点からアプローチしている。両親や接種者が合理的に判断して決定できるよう、科学的で正確な情報を提供することなどによって支援する役割を果たす」と述べた。

 コロナ予防接種対応推進団は先月30日、12~17歳の児童・青少年を予防接種の対象に含めることを決定し、具体的な日程などを含めた第4四半期予防接種計画を今月中に発表することを明らかにしている。イスラエルは6月から12~17歳に対する接種を始めており、基礎疾患を患っている5~11歳の子どもにも接種を勧めている。米国、カナダ、日本、シンガポールも12歳以上のすべての児童・青少年に接種している。ただし、世界保健機関(WHO)は、16歳以上はすべて接種できるが、12~15歳は基礎疾患のある高危険群に限って接種を考慮するよう勧告している。

 こうした中、ロイター通信などは13日(現地時間)、英国政府がイングランドなどの4地域を担当する最高医療責任者の勧告を受け入れ、ワクチン接種の対象を12~15歳にまで拡大することを決めたと報じた。サジド・ジャヴィド保健相は「学校での感染を減らし、生徒たちが登校を続けられるようにするために、こうした決定を下した」と述べた。

 英国は12~15歳の生徒に対し、16~17歳と同様にファイザーのワクチンを1回だけ接種する。ただし、脳性マヒやダウン症候群、がんや遺伝的問題があるなどの高危険群である場合や、エイズ患者(HIV感染者)などと同居している場合などは、2回の接種が受けられる。接種を1回だけとしたのは、心筋炎などの異常反応が主に2回目の接種後に現れるからだ。

 BBCの報道によると、イングランドは来週から学校ごとに保護者の同意を得て接種を実施する。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドは、これとは別の接種計画を作成する予定だ。これに先立ち、保健省の諮問機構である予防接種・免疫合同委員会(JCVI)も韓国政府と同様、健康な青少年はコロナ感染リスクが高くなく、ワクチン接種のメリットは少ないと評価している。ただし、最終決定に向けては他の諸要素も共に検討することを勧めている。

 韓国の専門家は、韓国が今後英国の方針に続くとしても、12~17歳には1回のみ接種という方針にはまだ根拠が足りないと指摘する。高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「どんなやり方が正しいのか断定することはできないが、1回のみの接種は2回の接種より根拠が少ない」とし「英国は接種間隔を先制的に広げるなど、様々な面で根拠がない中で多くを試みている」と述べた。嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学)は「1回のみ接種する国は英国しかないため、英国の接種の結果が出なければ評価できない」とし「国内では来月から12~17歳の接種を開始するといっても、2回目の接種までには3~4週間ほど時間があるため、英国などの様々な資料を収集する余裕がある」と述べた。

 ただ、英国が心筋炎などの異常反応を懸念して接種を1回に制限したことは、かえって12~17歳に対する接種の効用をめぐる論争を再燃させているようだ。児童・青少年はコロナに感染しても重症化する確率が低く、韓国では0~19歳の死者はまだ出ていないが、それに対して心筋炎などのファイザーのワクチンの異常反応は少ないとは言えないからだ。

 「ガーディアン」の11日の報道によると、米カリフォルニア大学の研究チームは、男性の青少年がワクチンを2回接種して心筋炎になるリスクは、コロナに感染して入院するリスクより高いという研究結果を発表している。同研究チームが今年上半期に米国でファイザーのワクチンを2回接種した12~17歳の青少年の異常反応についての報告資料を分析した結果、12~15歳の男性が心筋炎にかかる確率は100万人当たり162.2件、16~17歳は94件だった。女性の場合は、100万人当たり13件程度だった。男性青少年の心筋炎リスクは、健康な米国の青少年が今後120日以内にコロナに感染し、病院に入院する確率(100万人当たり44件)より高かった。ただし、この研究は査読を経ていないとガーディアンは報じている。

 児童・青少年に対する接種が全体的な流行の沈静化に及ぼす影響は微々たるものだとする分析も出ている。国家数理科学研究所のソン・ウシク感染症研究チーム長が先月27日に発表した数理モデリング研究では、13~17歳のワクチン接種で予測される効果は「累計重症患者が2人、死者が1人減少」程度で、「彼らに対する接種の有無が感染拡散と重症患者および死者の規模に及ぼす影響は非常に小さい」と分析している。

 ソウル聖母病院小児青少年科のカン・ジンハン教授は「集団免疫の形成のために児童・青少年に対する接種を行おうということであれば、すでに高危険群は接種が完了しているので、児童・青少年への接種は流行状況には特に役立たない」とし「心筋炎などの副反応が現れる確率の方がコロナによる入院リスクよりも高いという米国の臨床結果が出ているだけに、彼らに対する接種は専門家の全般的な合意がなされた後に、慎重に判断してもよいはず」と述べた。一方、チェ・ウォンソク教授は「これから対面授業が増えるにつれ、児童・青少年のコロナ発生率は我々が経験してきたものより高まる可能性があり、(学校の正常化などの)社会的メリットも考慮すれば、私の意見は接種を実施する方に近い」とし「接種が可能だという許可が出れば、接種のリスクとメリットについての説明を十分に行ったうえで、接種を可能にしておくことが望ましい」と述べた。

キム・ジフン、シン・ギソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1011707.html韓国語原文入力:2021-09-14 16:59
訳D.K

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