日本の福島第一原発事故による汚染水の海洋放出に向けた東京電力の実施計画の変更認可申請が、海洋放出による放射線影響評価の最終報告書も提出されていない状態で行われたことが、21日明らかになった。
共同通信などによると、東京電力は21日、日本の原子力規制委員会に福島第一原発の汚染水の海洋放出に向けた実施計画変更案を提出し、審査を要請した。実施計画案には、原発汚染水を放出するのに必要な設備の設置と運営方法、汚染水の濃度分析、汚染水希釈のための取水と放出方法などが書かれている。
東京電力はこれに先立ち、先月17日に「多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出に係る放射線影響評価報告書(設計段階)」を公開し、今月18日までに報告書に対する外部意見を募集して最終報告書に反映すると明らかにした。設計段階の報告書を検討した国際環境団体グリーンピースは16日、「放射線影響評価が国際原子力機関(IAEA)の指針を都合よく借用し、韓国をはじめとする隣国市民が受ける被害影響を考慮していない」という内容の意見書を提出した。このような外部の意見を取りまとめ、補完した最終報告書はまだ出ていない。実施計画の変更認可申請は汚染水の放出による影響評価の最終報告書も出ていない状態で行われたものだ。
日本が2023年春の放出日程に合わせて関連手続きを急いで進めていることをめぐり、韓国の原子力安全委員会(原安委)も21日、日本の原子力規制委に書簡を送り、懸念を示した。ユ・グクヒ原案委員長は同日の緊急ブリーフィングで、「日本原子力規制委が11月のIAEA福島原発事故10周年カンファレンスで4.5カ月の審査期限を示したことについて、独立的な規制機関が期限を事前に定めて審査するのは審査結果の方向性があらかじめ決まっているという誤解を招く恐れがあり、期限を設けず科学的かつ技術的観点から十分な検討を行うことを要求した」と明らかにした。
グリーンピースの脱原発キャンペーナーのチャン・マリ氏は「日本が福島第一原発事故の処理で関連手続きを覆したことはあまりにも多い」とし、「放射線影響評価報告書は160ページ以上の技術文書だが、これに対する意見の公募期間を1カ月としたことも非常に形式的だった」と述べた。
東京電力は今年4月、福島第一原発事故の汚染水を希釈して海に放出するという日本政府の決定を受け、早ければ2023年春から放出を実行するための手続きを進めている。福島第一原発敷地のタンクに保管中の汚染水の量は増え続け、16日現在128万6493万トンに達する。