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韓国の20~30代、最大の不安は不動産…「公正」の基準は異なる

登録:2021-12-02 10:04 修正:2022-01-28 10:17
男女28人に対し深層面接 
 
浮動層が最も多い最大の勝負どころ 
懸案では公正の意味が異なる 
定時選抜の拡大を…「学総も大切」 
 
青年をひとまとめにする政策は 
彼らの多様性を捉え切れていない
11月28日午後、ソウル広場において民主労総主催で開かれた青年労働者大会を終えた配達労働者たちが、配達オートバイ共済組合の設立予算の反映や安全で良質な青年雇用の保障などを求め、プラカードを掲げている/聯合ニュース

 MZ世代(1980年代から2000年代初め生まれ)が今回の大統領選挙の最大の勝負どころとして浮かび上がったことで、政界は若者の票の獲得にしのぎを削っている。しかし、彼らの多くは「政権審判論」に同意しつつも、野党に完全に心を許しているわけではなく、各種世論調査で最も厚い浮動層を形成している。これまでの選挙で最も若いスイングボートが誕生したわけだ。

 本紙は11月23日から25日にかけて、世論調査の数値では捉えられないMZ世代の票の行方を調べるため、世論調査会社ヒューマン・アンド・データに委託し、「集団面接法(FGI)」にもとづく深層面接を実施した。20代初め~30代初めの男女28人を7人ずつの4つのグループに分け、大統領選挙を3カ月後に控えた有権者としての本音を聞いた。

 彼らは今回の大統領選挙の争点にもなっている「公正」に対しても様々な考えを示しており、大学入試から始まって軍入隊、就職、結婚、マイホーム購入まで、これから生きていく未来に対する不安を噴出させた。特に不動産問題は、彼らの内面世界を捕らえて離さないほどの最大の不安要因に見えた。参加者の大多数は最も主な関心事として「公正」を挙げた。しかし、入試や兵役制度、女性家族部廃止を巡る問題、チョ・グク事態などのさまざまな懸案について語る時、彼らの主張する公正の意味は、性別や年齢、出身地域などの各自の立場によって様々に表出された。韓国社会において公正の最初の関門である入試制度について、ある出席者は「すべての地域で良い大学に入るのは良いが、公正性という面から見て、できる人が入るのも正しいため、学総(学生簿(通信簿)総合選考)を通じた随時選抜よりも(大学修学能力試験による)定時選抜の方を拡大する必要がある」と述べた一方で、別の参加者は「監視システムがきちんとしていれば、学総も誰かにとっては本当に大切な機会になる」と反論した。「公正」の重要性には共感を示しながらも、「能力主義」など、公正の基準は各自で異なるのだ。

 共に民主党と国民の力の大統領選党内予備選挙の過程で持ち上がった女性家族部の廃止問題をめぐっても賛否が分かれたが、出席者のほとんどは、省庁廃止とは関係なしに、性平等と社会的弱者の保護という女性家族部固有の機能は維持すべきだということには同意した。性平等の公約が単なる「女性家族部廃止の賛否」にとどまらず、様々な議題へと分化していく必要性を示すものだ。これは、自分たちを他の世代と分けたり性別で分けたりするのではなく、合理的な政策調整を通じて納得しうる結果を出してほしいという政界への注文へとつながった。

 今回の座談会の結果を見た「ザ・可能研究所」のソ・ボクキョン代表は「20~30代は自身の基盤としている現実がどのようなものかを生々しく表現することで、関心事は実に多様だということを示した。対立的な社会イシューに対してもかなり合理的に判断していた。まだどの大統領候補も彼らの多様性と深さについて行けていない。各選挙対策委は考えをもっと深める必要があると思う」と述べた。青年を一つのカテゴリーにまとめてしまう単純な政策では、青年の票を得ることはできないというのだ。

 本紙は、20~30代の代表的価値である公正と、彼らの主要関心事である不動産問題を2回に分けて掲載する。

ソン・チェ・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1021667.html韓国語原文入力:2021-12-02 04:59
訳D.K

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