韓国政府は、1日の新型コロナウイルス新規感染者が3000人を超えている現在の状況が続いても、計画通り11月初めに「段階的な日常回復(ウィズコロナ)」を推進し、それに向けて接種完了者などの限られた人のみが大衆利用施設を利用できるようにするための「ワクチンパス」の導入を検討していると発表した。政府は、防疫・医療対応とともに経済、教育、文化、自治などの社会全般にわたる代表者の参加する「コロナ日常回復委員会」の設置作業にも着手した。
クォン・ドクチョル保健福祉部長官は28日に開かれた韓国放送記者クラブの討論会で、政府が10月末の達成を目標としている成人の接種完了率80%、高齢層90%が実現すれば、1日の感染者数が3000人台でも、「我々の医療対応体系は十分に対応できるので、その状況で(段階的な日常回復へと)転換できる」と述べた。英国は接種完了率が1.6%の時点で段階的な日常回復を始めたが、韓国は28日午前0時現在の接種完了率が46.6%なので、段階的な日常回復への転換は十分に可能との説明だ。
ただしクォン長官は「1日の感染者数が4000人または1万人となると医療システムは対応しきれなくなるため、屋内でのマスク着用や頻繁な換気などの基本的な防疫守則は順守する必要がある」とし「そのため、全面緩和というより業種ごとに実施するなど、段階的に緩和していく考え」と説明した。政府も、28日現在で確保している重症患者用病床976床、中等症用1万212床を基準とすると、1日に3500人の新規感染者までは韓国の医療システムで耐えられると説明した。
続いてクォン長官は、段階的な日常回復の初期段階では「接種完了者を中心とする私的会合の緩和」、「大衆利用施設の利用制限の段階的緩和」とともに、接種完了者などの限られた人々にのみ大衆利用施設の利用を認める「ワクチンパス」の導入を検討していることを明らかにした。クォン長官の説明によると、ドイツでは接種完了者、陰性判定を受けた人、完治した人であることを証明するワクチンパスを提示した人にのみ、屋内行事や病院・療養院、遊興・娯楽施設、映画館などの大衆利用施設の利用が認められている。クォン長官は「今も未接種者が感染し、危篤や死に至るケースが多いため、そのような人たちを保護するためにもこの方策を取ろうと考えている」とし「現行の食堂とカフェの利用時間は夜10時までだが、夜12時またはそれ以降へと緩和することとし、集合禁止になっている所(遊興施設など)は一定時間まで営業できるようにするなどのやり方で進めていく」と述べた。
前日にキム・ブギョム首相が文在寅(ムン・ジェイン)大統領に設置計画を報告した「コロナ日常回復委員会」の設置作業も本格化している。日常回復委員会は、10月末または11月初めからの段階的な日常回復を実践するロードマップを作成する役割を担う予定だ。中央事故収拾本部(中収本)のパク・ヒャン防疫総括班長はこの日のブリーフィングで「日常回復委員会は経済・民生、教育・文化、自治・安全、防疫・医療の4領域で構成し、専門家と利害当事者の意見を十分に反映させ、段階的日常回復の実施計画を立案する」と述べた。政府関係者は「生活防疫委員会は防疫と医療対応を中心に判断するところで、日常回復委員会は防疫と経済・民生、教育・文化などを同水準において検討するところだ。実際に可能なのかを地方自治体も判断しなければならない」とし「委員会の設置は来週中に可視化されるだろう」と述べた。
中収本は、ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)、翰林大学江南聖心病院のイ・ジェガプ教授(感染内科)、釜山大学医学部のユン・テホ教授(予防医学)らが参加する「段階的日常回復方策討論会」の来月1日の開催を皮切りに、10月に2回の討論会か公聴会を開き、段階的な日常回復に対する専門家と各界の意見を聴取する予定だ。