本文に移動

「人員をすり減らすやり方はやめるべき」韓国の保健医療労組が涙の全面スト予告

登録:2021-08-19 04:04 修正:2021-08-19 08:14
コロナ病室の看護師「私たちは忘れられている」 
保健医療労組、公共医療と人員の拡充などを要求 
受け入れられなければ9月に全面スト…「人員すり減らすのは限界」
保健医療産業労組・全羅北道地域本部が18日、全羅北道庁前で記者会見を行っている/聯合ニュース

 「体調が悪くても人手が足りないので病欠できず、働きに出ます。多くの人々が医療スタッフを増やそうというキャンペーンをしばらくしていましたが、(今は)みんな私たちのことを忘れてしまっています。私たちは昨年と同じように働いているのに、多くの人が私たちを忘れています。それがとても悲しい」(感染隔離病棟の看護師Aさん)

 「(人手不足で)勤務時間が過ぎても重症患者の世話をしていると、靴からぴちゃぴちゃ音がするほど汗が出ます。病状が悪化する重症患者を見るのも本当に大変です」(コロナ専門病院の看護師Bさん)

 18日、ソウル永登浦区(ヨンドゥンポグ)の保健医療労組生命ホールには、看護師たちの切迫した声があふれた。看護師たちは目を赤くして、ストに立ち上がらざるを得ない理由を説明した。彼らは「10%にも満たない公共病院が80%を超える新型コロナウイルス感染症患者を担当しているが、改善対策は止まっている」と訴えた。

 全国民主労働組合総連盟(民主労総)全国保健医療産業労働組合(保健医療労組)はこの日の記者会見で、「公共医療・医療人材の拡充、処遇改善」という要求が受け入れられなければ、全面ストライキを行うと発表した。記者会見は全国11の地域本部で同時に行われた。

 保健医療労組は「15日間の争議調停期間内に妥結しなければ、来月2日に保健医療労組の8万人の組合員は全面ストライキ闘争と共同行動に突入する」と発表した。今月17日、保健医療労組の124の支部(136医療機関)の5万6000人は、労働委員会に同時に争議調停を申し立てた。保健医療労組は、124の支部が同時に争議調停を申し立てたのは、2004年の全面ストライキ以降、最大規模だと説明した。

 保健医療労組のナ・スンジャ委員長は「コロナ禍になぜストなんだと懸念されると予想する」とし「しかし、いつ終わるとも知れないコロナ対応は、人員をすり減らすやり方ではこれ以上立ち行かない。『ウィズコロナ』時代には保健医療人材、公共医療人材の拡充なしに社会が持ちこたえることは困難」と訴えた。

 保健医療労組は、問題を解決すべき政府と使用者が、自分たちの要求について責任を押しつけ合っていると指摘した。同労組は5月末から最近まで対政府・使用者交渉を進めてきたが、合意には至っていない。同労組は「正当な補償と処遇改善の要求に使用者側は『費用が多くかかる』という言い訳をして時間稼ぎをしてばかりいる」とし「保健福祉部は『趣旨には共感する』としつつも、検討すると言って留保するような態度で一貫しており、この2カ月半というもの、労政交渉には実質的な進展がない」と批判した。記者会見に参加した看護師11年目のCさんは、「後輩たちが去っていく。今のような状況で去る人をどのような言葉で説得すればよいのか、政府は答えてほしい」と涙ぐんだ。

 同労組は、コロナ長期戦の準備、防疫対策の転換に向けた8大要求を明らかにした。公共医療の拡充・強化に向けては、速やかな感染症専門病院の設立▽全国70の中診療圏ごとに1カ所ずつの公共医療機関の拡充▽公共病院の施設・装備・人材インフラの構築、公益的な赤字の解消を要求した。また、保健医療人材の拡充・処遇改善に向けては、各職種の適正人員基準の整備および看護師1人当たりの患者数の法制化▽教育専門看護師の支援制度の全面拡大▽5大違法医療(代理処方、同意書、処置・施術、手術、調剤)の根絶▽良質の医療サービスのための医療機関の評価基準の強化▽医師人員の拡充と公共医大の設立を求めた。

 ただし同労組は「全面ストが現実化する前に、保健福祉部との労政交渉を粘り強く進める」と述べた。

 一方、中央事故収拾本部(中収本)のパク・ヒャン防疫総括班長はこの日のブリーフィングで「政府は今、コロナを診療するにあたっての人員基準をまとめている。公共医療拡充の件についても前向きに労組との交渉に臨んでいる」と述べた。続けて「様々なルートを通じて人材を供給しているが、困難があることは了解してほしい」とし「ストが行われないよう労組とともに最善を尽くして協議を進めている」と述べた。

イ・ジュビン、キム・ジフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1008168.html韓国語原文入力:2021-08-18 17:10
訳D.K

関連記事