韓国の食品医薬品安全処(食薬処)は10日、SKバイオサイエンスの新型コロナウイルスワクチン「GBP510」の第3相臨床試験計画を承認した。韓国メーカーが開発したコロナワクチンが開発の最終段階の第3相臨床試験に突入することになったのは今回が初めて。
第3相臨床試験は高麗大学九老病院などの国内の14機関と東南アジア、東欧諸国などの複数の国で同時に進められる予定だ。試験対象者の総数は3990人で、試験ワクチンは3000人に、対照ワクチンは990人に、0.5ミリリットルずつ4週の間隔を置いて2回接種し、安全性と免疫原性を評価する。SKバイオサイエンスでは、来年第1四半期に第3相試験の中間分析結果が出ると見ている。許可申請はその後になるとみられる。
SKバイオサイエンスは1月26日に食薬処からGBP510に対する第1相、第2相試験の承認を受けている。第1相は成人80人を対象として行われ、続いて第2相は240人を対象として進められている。第1相の中間分析によると、有効性の面ではすべてのワクチン接種者にウイルスを中和する中和抗体が生成され、完治者の血清である国際標準血清パネルの5倍以上の数値を示した。安全性の面では、ワクチン接種時に一般的に現れる注射部位の痛みや筋肉痛、頭痛のほかに特別な副作用は報告されていない。これを受け、今月9日に開かれたコロナワクチン外部臨床専門家諮問会議は、第3相比較臨床の開始は可能だとの結論を下した。キム・ガンニプ食薬処長はこの日のブリーフィングで、「一般的には、第2相が完了してから第3相を承認するのが正しい。しかしコロナ禍があまりにも深刻だという面があり、第1相の結果で十分に安全性と効果を認知したため、第1相の結果によっても第3相は可能だと専門家検討会議で判断した」と述べた。
GBP510は、遺伝子組み換え技術を用いて作られたコロナウイルスの表面抗原タンパク質を注入して免疫反応を誘導する「組み換えワクチン」だ。表面抗原タンパク質は、体内で免疫細胞を刺激して中和抗体の生成を誘導し、人体にコロナウイルスが侵入した時には抗体がウイルスを中和して除去する。
GBP510の第3相試験は比較臨床方式で進められる。免疫原性の比較臨床は、安全性と有効性が立証されている対照ワクチンの免疫原性と、試験するワクチンの効果とを比較し、対照ワクチンより優れているか、または劣っていないことを示す方法だ。食薬処は、世界保健機関(WHO)や感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)などとの会議を通じ、世界的にワクチン接種率が高まっている状況においては、従来の偽薬との対照方式で第3相を進めるのは現実的に困難なため、比較臨床が必要だとのコンセンサスを国際社会に広げている。今年4月には、フランスのバルネバ社が開発したコロナワクチンが、アストラゼネカのワクチンを対照群とする第3相比較臨床の承認を受け、英国で臨床を開始しており、これが世界で初めて行われるコロナワクチンの比較臨床だ。
比較臨床方式は、試験ワクチンと最も類似した方式(プラットフォーム)のワクチンを対照ワクチンとすることが最も望ましいが、今のところすでに許可されている組み換え方式のコロナワクチンはない。ノババックスのワクチンが最も有力だが、米国での許可申請は第4四半期に延期されている状況だ。そこで、方式は違ってもワクチンの中和抗体価を比較することでワクチンの防御効果を推定することはできるため、食薬処はアストラゼネカのワクチンを対照ワクチンと認めた。キム食薬処長は「伝統的な偽薬対照方式は、大規模な流行の中ワクチン接種が急がれる状況で偽薬が投与された場合、感染症の危険にさらされるという倫理的問題があり、一度も予防接種を受けていない臨床試験の参加者を大規模に確保することも現実的に難しい。次善策として、少数の臨床参加者に接種して免疫原性を確認するという方式で、ワクチンの効果を測定する比較臨床を行うもの」と述べた。
またGBP510は最初に発生した新型コロナウイルスに対するワクチンであるため、デルタ株やベータ株などの変異株に対する中和能を確認するため、ワクチン接種者の血清を使った分析も行う計画だ。
前日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、大統領府で開かれた首席補佐官会議で「世界的にワクチン生産不足と供給の不確実性が依然として大きな問題となっている。海外企業に振り回されないよう国産ワクチンの開発をさらに急ぎ、グローバルハブ戦略を力強く推進することに国の力量を集中する」と述べている。食薬処は「今回の臨床試験承認は、国内でのワクチン自給化に向けた第一歩を踏み出したということに意義がある」とし「コロナ変異株の対応のために必要不可欠とみられる比較臨床方式を先制的に導入したことで、今後の国際標準を主導できるものと期待される」と述べた。