「先月は景気が少し良くなり、テナント料を払える程度になったのに、今月はレベル4の社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)で売り上げが半減してしまいました。距離措置が延長されれば、もう商売なんて無理かもしれません」
ソウル麻浦区(マポグ)の弘大入口駅近くでホルモン専門店を経営するYさん(57)は、レベル4の距離措置が延長されるというニュースにため息をついた。「従業員を減らし、家族だけで店を切り盛りして、先月は店の賃貸料を稼ぐのもやっとだったのに、どうすればいいのか」と言いながらうなだれていた。
韓国政府が今月23日、首都圏にレベル4の社会的距離措置を来月8日まで2週間延長すると発表したことを受け、自営業者たちは茫然自失している。夕方6時以降は3人以上の集まりが禁止されるなどの措置が施行された7月12日以後、ソウルと首都圏における自営業の売り上げの減少が顕在化しているからだ。自営業者らはコロナ禍で売り上げの低下が続いている中、レベル4の措置で売り上げが再び「半減した」とし、「終わりのえない距離措置のもと、どうやって暮らしていけばいいのか」と悲鳴を上げている。
韓国信用データが25日に小商工人・自営業者のクレジットカードの売り上げ80万件を分析した結果によると、首都圏で距離措置がレベル4に引き上げられた後の7月第2週(12~18日)、ソウルの自営業の売り上げは、コロナ禍以前の2019年同期に比べて、21%減少した。京畿道と仁川(インチョン)でもそれぞれ14%、13%減少した。
特に、3人以上の集まりが禁止された夕方6時以降の売り上げへの影響が大きい。7月第2週、ソウルの自営業者の夕方6時以降の平均売り上げは、2019年同期に比べて31%減少したことが集計の結果分かった。7月第1週(5~11日)の夜間売り上げは2019年同期間と比べて84%(-16%)水準だったが、3人以上の集まり禁止で減少幅がさらに大きくなったのだ。7月第2週の京畿道や仁川の自営業者の夜間平均売り上げも同様に、2019年同期よりそれぞれ34%と36%下がったことが集計で確認された。ソウル市の区ごとに夜間売り上げを見ると、会社員の多い中区(チュング、54%)や鍾路区(チョンノグ、53%)の自営業の売り上げが2019年同期より半分になっており、食堂、飲み屋などが密集する麻浦区(52%)も大幅に売り上げが落ちた。3人以上集まり禁止のショックが数値に表れたのだ。
全国のによると、焼肉店の場合、6月第5週(6月28日~7月4日)の夜間売り上げは2019年同期間売り上げの83%だったが、7月第1週は78%、7月第2週は62%に減少した。ビアホールも87%→79%→62%と減少傾向を示している。韓国信用データは「カラオケやネットカフェ、遊興業種などが属する業種群は7月初めまでは2019年同期比76%水準を維持していたが、7月第2週の売り上げは2019年の58%に落ち込んだ」と明らかにした。一方、夜間の野外活動を控えるようになり、町内のスーパーマーケットの7月第2週の夜間売り上げは2019年より15%増加した。
ソウル麻浦区弘大入口駅周辺でチキン店を経営するCさん(46)は「6月の1日の売り上げは50万ウォン(約4万8千円)程度だったが、レベル4の距離措置が施行されたこの2週間は1日の売り上げが20~30万ウォン(約1万9千円~2万9千円)程度だ」とし、「夏休み期間は弘大通りの書き入れ時だったが、今は昼も夜も閑散としている。距離措置が延長されれば、売り上げの回復も難しいだろうし、大変だ」と語った。ソウル市江南区(カンナムグ)で15席を置いて餃子専門店を経営するAさんは「今やお客さんがいるのはお昼時だけ」だと言いながら顔をしかめた。「コロナ以前は1日平均の売り上げが200万ウォン(約19万2千円)でしたが、コロナ以降は100万ウォン(約9万6千円)に減り、レベル4の施行以降は1日平均50万ウォン(約4万8千円)がやっとです。レベル2~3で売り上げが半分になりましたが、レベル4でさらに半減したと言っていいでしょう」
一部の自営業者らは、距離措置を強化しても、新規感染者数が増える状況に苛立ちを露わにし、距離措置の延長発表に憤りを隠せなかった。ソウル市江南区のある居酒屋で働くYさん(24)は「午後6時以降には、2人以下に人数を制限すると、酒場は営業するのが本当に難しい状況」だとし、「距離措置をレベル4に強化しても新規感染者が増え続けるのに、なぜこんなに営業を制限するのか理解できない」と語った。ソウル市永登浦区(ヨンドゥンポグ)でジムを運営するPさん(43)は「この暑さでシャワー室が利用できないとなると、会員たちも当然減るだろう」とし、「距離措置のレベルを引き上げたのに新規感染者が増えている。防疫もきちんとできず商売もできない状況だ。政府はより細かく防疫対策を講じてほしい」と述べた。
政府のレベル4の距離措置の延長発表に対し、全国自営業者団体協議会は23日、「終わりの見えない距離措置、自営業者の生存対策はどこに?」という意見を発表し、実効性のある生存対策作りを要求した。協議会は「やっと成立した損失補償立法により、7月7日から受けた営業損失に対する補償が行われなければならないのに、まだ損失補償の内容と規模を決定するための損失補償審議委員会さえ設置されていない」とし、「自営業者の損失に対する何の対策もない今回の距離措置延長の発表は、限界状況の自営業者にもう一度挫折させ、致命的な被害を与えている」と主張した。さらに「テナント料や融資金の延滞などで廃業もできない自営業者のために、国と地方自治体が積極的に乗り出して賃貸人や自営業者、国、地方自治体など社会全体が一緒に(苦痛を)分担する生存方法を考えなければならない」と訴えた。
参与連帯も論評を出し「自営業者や中小商人にとって最大の負担と苦痛となるテナント料など固定費の支援や、そのための緊急ローンなど政府と国会の総合的な対策作りが求められる」と明らかにした