韓米首脳会談で米国が支援を約束した軍将兵用新型コロナワクチンが、1回の接種で接種完了が可能なジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の製薬部門であるヤンセンファーマのワクチンであることが分かった。量も55万人分から100万人分へと、約2倍に増えた。韓国政府は同ワクチンを来月10日から、30歳以上の予備軍や民防衛隊員、軍関連従事者などに接種することにした。今月1日に導入されるモデルナ製ワクチン5万5千回分は30歳未満の病院級以上の医療機関従事者に接種を行う。
中央災害安全対策本部は30日、新型コロナ予防接種対応推進団から報告を受けた「6月の予防接種計画」の補完案を発表した。21日の韓米首脳会談で、軍将兵のために支援されるワクチンは当初55万人分だったが、両国間の実務協議を行う過程で101万2800人分に、2倍ほど増えた。ワクチンの種類もJ&Jのワクチンに確定した。政府は来月初め、軍用機で同ワクチンを国内に持ってくることにした。
接種対象は30歳以上(1992年1月1日以前生まれ)の予備軍(53万8000人)や民防衛隊員(304万人)、国防・外交関係者(13万7000人)のうち先着順予約者100万人だ。国防・外交関係者には30歳以上60歳未満の軍人の家族や外交部・国防部・兵務庁などの公務員と研究員などが含まれるが、政府は彼らの名簿を確定し、事前予約を申請できるようにする方針だ。来月1日から11日まで「新型コロナ予防接種事前予約システム」を通じて予約を受け付け、同月10日から20日まで病院や医院など委託医療機関で接種を行う。
この他にも1回接種というJ&J製ワクチンの特性を考慮し、必要不可欠な公務や重要経済活動などで緊急に海外訪問が必要な人に対する接種に、今回提供されたワクチンを一部使用することにした。政府はJ&J製ワクチンを接種してから2週間が経った人は接種完了者に分類する方針だ。
政府がこのように決定したのは、軍将兵のうち30歳以上の11万7千人はすでに接種を完了しており、30歳未満の41万4千人は6月中にファイザー製ワクチンで接種する計画がすでに立てられているためだ。J&J製ワクチンと関連し、先月27日と今月6日、28日に開かれた3回の専門家諮問会議と、29日に開かれた予防接種専門委員会は血小板減少を伴う稀な血栓症のような副作用が発生する可能性を理由に、30歳以上に対する接種を勧告した。J&J製ワクチンはアストラゼネカ製と同じウイルス・ベクター・ワクチンであり、30歳未満では、稀な血栓症が発生する可能性に比べて感染の重症予防効果がそれほど高くないため、このように決定したと防疫当局は明らかにした。米食品医薬品局(FDA)と疾病統制対策センター(CDC)では、先月23日から年齢制限を設けず、J&J製ワクチンを接種している。
J&J製ワクチンは今年4月7日、国内でも品目許可を受けたため、すぐに接種が可能だ。同ワクチンは臨床試験で予防効果が66%であると報告された。21日のカナダ保健省の調査の結果、南アフリカ共和国型変異株には64%、ブラジル型変異株には68.1%の予防効果があることが分かった。
一方、推進団は個別契約を通じて6月1日に到着するモデルナ製ワクチン5万5千回分は、30歳未満の病院級以上の医療機関従事者を対象に接種すると発表した。今回導入されるモデルナ製ワクチンはスペインで生産されたもので、食薬処の国家出荷承認手続きを経て、6月中旬に供給される予定だ。接種対象となる医療機関は大韓病院協会を通じて選ぶ予定だ。推進団は「これにより医療機関内での未接種従事者の接種を完了し、感染予防および患者保護に貢献するものと期待される」と述べた。
高麗大学安山病院のチェ・ウォンソク教授(感染内科)は「米国でワクチン提供条件を軍将兵用としたため、その条件に合わせ、現役の将兵よりは予備軍と民防衛隊員が対象になったようだ」とし、「モデルナ製ワクチン接種対象の病院級医療従事者は高齢者とともに優先接種対象者なのに、30歳未満で接種が留保された方々がいるため、そのような決定をしたのだろう」と述べた。元疾病管理本部長のチョン・ギソク翰林大学教授(呼吸器内科)は「軍将兵用という趣旨であれば、30歳未満の現役将兵に接種できるファイザーやモデルナ製ワクチンの方が良かったかもしれない」とし、「J&J製ワクチンは1回で接種を終える必要のある未登録外国人やホームレス、奥地居住者、遠洋漁船船員などに使う方が良かったが、米国側の提供の趣旨からして、それは難しかっただろう」と話した。