米国と中国の間の対立が続く場合、米国が「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への早期加盟を進める可能性があるという米専門家の見通しが示された。バイデン政権が2022年の中間選挙まではCPTPPへの加盟を推進しないだろうという一般的な見方と異なるもので注目される。
大韓商工会議所と金・張法律事務所(Kim & Chang)が28日、ソウル中区の大韓商工会議所会館で共同開催した「通商フォーラム」で発表を行った米ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のジェフリー・ショート先任研究委員は「中国の経済的、安保的挑発のため、米国は主要な同盟国と結んでいる関係をさらに強固にする必要性を感じるだろう」とし、「それに対する対応の一環としてCPTPPへの加盟の再交渉およびアジア太平洋地域協定の刷新(リブランディング)を進める可能性も考えられる」と述べた。
ショート委員は「域内包括的経済連携協定(RCEP)および二国間自由貿易協定のようなアジア太平洋地域の協定は米国の競争力に否定的に働くため、米国の改定されたCPTPPへの加盟は、米国の貿易と投資に“公平な競争の場”を形成するだろう」と予想した。また、「バイデン政権はCPTPPを拒否しなかっただけでなく、改善し、より強力な協定にしなければならないと考えている」と述べた。
CPTPPは2018年12月発効され、加盟国は日本やオーストラリア、カナダ、メキシコなど11カ国だ。同協定は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に基づいている。米国が2017年末にTPPから脱退した後、日本主導に変わり、TPPの名前もCPTPPに変更された。韓国はまだCPTPPに加盟していない。昨年11月に発足したRCEPには、ASEAN10カ国に韓国、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドを合わせて15カ国が加盟している。
ショート委員は韓国について「CPTPPに早く加入した方が有利で、これを通じて韓中日自由貿易協定(FTA)を締結する際も、優位を確保できるだろう」と分析した。さらに「協定内容が韓米FTAと類似しており、加入国多数とすでにFTAを締結しているため、CPTPP加盟をためらう必要がない」と助言した。
金・張法律事務所のシン・ジョンフン弁護士は「CPTPPでは文案協定が進められることなく、既存の加盟国が合意した協定文案をそのまま受け入れることになっている」とし、「事前に協定文案の意味を明確に把握しなければならない」と述べた。シン弁護士は特に「国営企業チャプター(分野)が公共機関の運営にどのような影響を与えるのかを綿密に検討しなければならない」と付け加えた。
製造業分野について発表行ったキム・バウ産業研究院専門研究員は「CPTPPはRCEPより早く、幅広い市場開放が求められるため、得失を計算してみなければならない」とし、「韓国がCPTPPに加盟した場合、日本に対する市場開放の効果に対する分析と検討が必要だ」と指摘した。会議を主催したウ・テヒ大韓商工会議所常勤副会頭は「CPTPPは貿易協定の中で最も高い水準の自由化の範囲とルールを求めている」とし、「細部の検討と事前対応が重要だ」と述べた。