チョン・ウィヨン外交部長官は、17日に訪韓した米国のジョン・ケリー気候変動問題担当大統領特使に、日本政府による福島第一原発汚染水の放出決定に対する「深刻な憂慮」を伝え、米国側の関心と協力を要請した。
外交部はこの日夜、報道資料を発表し「チョン・ウィヨン外交部長官は、17日から訪韓中のジョン・ケリー気候変動問題大統領特使を長官の公館に招き、晩餐を共にした」と明らかにした。ケリー特使は14~17日の中国訪問を終え、17日に1泊2日の日程で訪韓した。
チョン長官はこの席でケリー特使に対し、今月13日に日本が福島第一原発の汚染水の放出を決定したことについて、「(韓国)政府と国民の深刻な憂慮」を伝えたと外交部は発表した。また「今後、日本が国際社会に対していっそう透明で迅速な情報を提供できるよう、米国側に関心を持って協力してくれるよう要請した」と付け加えた。米国務省は日本政府の汚染水放出決定発表の直後、「国際的に容認された原子力安全基準に則ったアプローチを選んだとみられる」と発表している。アントニー・ブリンケン米国務長官も同日、「日本の努力の透明性」に「感謝」を表明していることから、米国が事実上の支持の意思を明らかにしたのではないかとの解釈がなされた。これについて外交部は、米国側の発表では「日本政府には、国際原子力機関(IAEA)との調整を続けていくことを期待する」というところに重点を置いているとし、米国など国際社会に対し外交的努力を尽くすとの立場を明らかにしている。
また、チョン長官はこの日、ケリー特使に対し、韓国が新型コロナウイルス感染症の第4波の岐路に立たされている状況などを説明し、韓国政府が早期にワクチンを確保できるよう米国の協力を要請したという。
外交部は「チョン長官とケリー特使は、2050年の炭素中立(カーボンニュートラル)目標の実現に向けた国際社会の連帯と協力を結集するうえで、両国の先導的役割が必要だということで認識を共有し、韓米で気候対応に向けた意思疎通と協力を強化し続けていくことを決めた」と述べた。今回のケリー特使の訪韓の中心には、今月22日から23日にかけて米国が主催する気候サミットと、韓国政府が5月30日から31日に主催する「2021 P4Gソウル首脳会議」の開催成功をめぐる協議があるといわれる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はすでに、米国側に気候サミットへの出席の意思を明らかにしているが、ジョー・バイデン米大統領はソウル首脳会議に出席するかどうか確約していないという。両国は、両会議が11月初めに英国のグラスゴーで開かれる第26回国連気候変動枠組条約第15回締約国会議で成果を出すことに貢献するため、協力することを決めた。
同日の晩餐には、韓国側からはチェ・ジョンムン外交部第2次官とユ・ヨンチョル気候変動大使らが、米国側からはロバート・ラプソン駐韓米国大使代理と2人の特使主任補佐官らが出席した。