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韓国政府、経済打撃を恐れその場しのぎのコロナ対策…「第4波防ぐには不十分」

登録:2021-04-09 23:48 修正:2021-04-10 07:44
首都圏レベル2、非首都圏レベル1.5を維持 
専門家「流行を防ぐためには強化すべき」
韓国の全体の新型コロナ感染者に対する病院・療養施設での患者発生の割合(資料:疾病管理庁中央防疫対策本部)。赤い線はワクチン接種開始日(2月26日)//ハンギョレ新聞社

 新型コロナの第4波に対する懸念にもかかわらず、韓国政府が遊興施設の集合禁止を主要内容とする「ピンセット防疫」対策を打ち出したのに対し、専門家らは65歳以上の高齢者など高危険群に対する第2四半期の接種が始まったばかりで、第4波が現実化すれば、接種への支障と新型コロナによる死亡者の発生を避けられないと指摘する。

 中央災害安全対策本部(中対本)は9日のブリーフィングで「これまでの流行の経験を考えると、1~2週間で(1日の感染者数が2倍に増える)ダブリングが発生する恐れがある」とし、「第3波に比べ、3倍以上長い停滞期と4倍以上の患者規模を考慮すると、第3波よりも大規模のものになる可能性がある」と明らかにした。にもかかわらず、この日政府が全面的な社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)の強化に踏み切らなかった理由は、零細自営業者など地域経済への打撃が予想されると共に、療養病院・施設の予防接種で重症患者が大きく増えず、病床などに余力があると判断したためだ。同本部は「新型コロナの長期化に伴い、防疫疲労度は高いが、ソーシャル・ディスタンシングの段階をレベル2.5に引き上げた場合、広範囲な集合禁止や運営時間の制限などで地域経済への大きな打撃が予想される一方、第3波以降は病床確保など医療力量が着実に向上しているなど防疫力量を考慮したもの」だと説明した。中対本は1日1000人の感染者が発生しても対応できる病床を確保し、この医療力量を感染者2000人にも対応可能な水準に引き上げると発表した。

 新型コロナ予防接種対応推進団も同日、全国の病院や療養施設で予防接種を行う前(2月1~26日)には、患者の発生率が9.7%だったが、接種が約90%完了した最近(3月27日~4月4日)には、この数値が5分の1水準の2.0%に減ったと発表した。同日午前0時までに療養病院と療養施設の65歳未満の入所・入院者と関係者32万2871人のうち28万9515人が接種を完了し、接種率は89.7%となった。

 ソーシャル・ディスタンシングの段階が現行通りに維持され、全国の小中高校の学事運営も「登校縮小」をせず従来通りに進められる。現在、首都圏などレベル2の地域では学校密集度を最大3分の2まで認め、幼稚園と小学校1~2年生は毎日登校授業を原則としている。レベル2.5に引き上げられると、小学校低学年が毎日登校できず、学校密集度基準が3分の1に強化されるなど、「登校縮小」になり得る状況だった。

 専門家らは、政府の措置が消極的で、第4波を止めるには不十分だと指摘した。嘉泉大学吉病院のオム・ジュンシク教授(感染内科)は「このようなその場しのぎの処方では感染拡大を防げないことを何度も経験してきた」とし、「療養病院・施設だけでなく地域社会にも高危険群がいるのに、ワクチン接種率が2%台という状況で流行を防ぐ方法はソーシャル・ディスタンシングしかない。当然強化しなければならない」と述べた。政府生活防疫委員のイ・ジェガプ翰林大学江南聖心病院教授(感染内科)も「ソーシャル・ディスタンシングの段階を維持するのは、『これで大丈夫』という誤った印象を与えることになる」とし、「政府の防疫に対する国民の信頼が落ちている状況で、今回は強く対応する姿を見せるべきだったが、状況の深刻さに気付いていないようだ」と指摘した。

キム・ジフン、チェ・ウォンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/990440.html韓国語原文入力:2021-04-09 22:39
訳H.J

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