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「人権」中心のバイデン外交…北朝鮮核問題とのツートラック戦略展開するか

登録:2021-03-22 05:34 修正:2021-03-23 17:38
ジョー・バイデン政権初の韓中日外交戦の主な内容//ハンギョレ新聞社

 米国のジョー・バイデン政権初の“外交戦”の目的は明らかだった。韓国や日本など同盟と陣地を構築し、民主主義と人権の“価値観外交”を掲げることで、唯一の「戦略的競争相手」である中国に狙いを定めた。今回の歴訪で、米国の対中国強硬路線が具体的な政策の姿を現し始めたのだ。米中関係の絶対的影響圏内に位置した文在寅(ムン・ジェイン)政権の朝鮮半島平和プロセスも、両国関係の悪化による影響を受けかねないという懸念が高まっている。

 16日に日本から始まったバイデン政権初の閣僚級歴訪を貫くメッセージは、同盟の強化と民主主義、人権、法治など「共有された価値」を基盤にする自由で開かれたインド太平洋地域を構築するというものだった。世界が民主主義と権威主義という岐路に立っており、未来に対する「根本的な論争が到来している」と強調するバイデン政権の認識に基づいた対応策とみられる。米国の動きは、今月初めに公開されたホワイトハウスの「国家安全保障戦略(NSS)」指針と、アントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官の「ワシントンポスト」共同寄稿で予告されていた。中国の国家体制そのものを否定し、政治理念攻勢に執着した任期末のドナルド・トランプ政権ほどではないが、バイデン政権も価値対決的な対中国外交に重きを置いており、しかも予想されていたよりも強く展開しているというのが、大方の見解だ。

 米国は香港や台湾、新疆ウイグル、チベットなど中国が「核心利益」に挙げる領域で、人権の価値を前面に押し出して中国を追い詰めた。これは、北朝鮮も同じ原則に基づきアプローチする可能性が高いことを示唆する。実際、ブリンケン長官は今月18日、SBSとのインタビューで、「北朝鮮と中国政府との関係のため人権侵害問題に消極的な韓国政府の政策が変わるべきだと思うか」という趣旨の質問に対し、「バイデン大統領は米国が外交政策の中心に人権と民主主義を置くことを非常に重要視している」とし、「選別的に行っているわけではない。いかなる国であれ、人権を蹂躙している状況があれば、声を上げるだろうし、そうしている。それが大統領が我々の外交政策の焦点を合わせるよう指示したものであり、我々はそれを実行している」と答えた。

 国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員は「トランプ政権時代は、北朝鮮が非核化に同意したことで北朝鮮核問題に集中していたが、バイデン政権は北朝鮮核問題ではなく「北朝鮮問題」に移り、北朝鮮核問題をめぐる交渉を進める一方、人権問題では圧力をかける方針を示している」と分析した。

 ひとまず韓米は18日、外交・国防長官会合(2プラス2)の共同声明で「北朝鮮の核・弾道ミサイル問題が同盟の優先関心事」だとしたうえで、「完全に調整された北朝鮮戦略」を進めることで合意した。この内容は韓国側の説得で盛り込まれたという。明らかに米国と協議の空間は開かれているわけだ。

 しかし、米国が対中国政策の一環として、政治理念と価値の問題を掲げ続けるなら、残り少ない文在寅(ムン・ジェイン)政権としては、朝鮮半島平和プロセスの再稼働が動力を早期に得ることは難しいものと見られる。ある政府消息筋は「米国がなぜ北朝鮮人権問題を前面に掲げたのか、よく分からない」とし、「(北朝鮮核・北朝鮮問題で)成果を出しにくい状況で、人権問題を前面に出して北朝鮮関連問題を管理しようという考えかもしれない」と説明した。最悪の場合、オバマ政権時代の北朝鮮政策だった「戦略的忍耐」政策が現れる可能性もあるということだ。3月末~4月初めに国連人権理事会対北朝鮮決議案の採択を控えた北朝鮮側の反応も注目される。

 ブリンケン長官の韓日歴訪と、米中高官級戦略対話で明らかになった米中の“対決的構図”で、任期末の文在寅政権は対外戦略において身動きが非常に取りづらくなったという指摘もある。世宗研究所のムン・ジョンイン理事長は20日、朝日新聞のインタビューで、「米中対立が激しくなるほど、韓国が動ける空間は狭まり、選択肢は極度に制限される」とし、米中対立が「新冷戦」へと悪化しないよう、関連国との協力を強化しながら、戦略的バランスを失ってはならないと助言した。

キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/987663.html韓国語原文入力:2021-03-22 02:43
訳H.J

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