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裁判所「刑執行中は経営不可」…サムスン電子副会長も「獄中経営」は困難に

登録:2021-02-25 02:23 修正:2021-02-25 07:13
錦湖石油化学のパク・チャング会長に対する判決 
イ副会長にも同じ論理が適用される見込み
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が今年1月、ソウル市瑞草区のソウル高等裁判所で行われる国政壟断事件破棄差し戻し審の判決公判に出席するため裁判所に向かっている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 5億ウォン(約4780万円)以上の横領・背任で有罪判決を受けた企業のトップは、刑が確定すれば直ちには経営活動に復帰できない。このような裁判所の判決が出た。服役中および執行猶予期間にも経営活動はできないとの趣旨だ。先日、法務部から「就業制限」通知を受けたサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の「獄中経営」はもちろん、就業制限期間中にイ副会長が法務部の承認を得て業務に復帰することも容易ではないという見通しが出ている。

 24日の本紙の取材を総合すると、ソウル行政裁判所行政7部(キム・グクヒョン裁判長)は18日、錦湖石油化学のパク・チャング会長が就業制限を通知した法務部を相手取って起こした処分取消訴訟で、原告敗訴の判決を言い渡した。パク会長は130億ウォン(約12億4000万円)あまりの背任などで2018年11月に懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受け、確定した。パク会長は翌年、錦湖石油化学の代表取締役への復帰を狙ったが、特定経済犯罪加重処罰などに関する法律(特経加法)の就業制限条項によって就業が制限されたことから、「執行猶予期間は就業制限期間に含まれない」として提訴した。就業制限は執行猶予期間が終わった後から適用されるとの論理だ。

錦湖石油化学のパク・チャング会長=資料写真//ハンギョレ新聞社

 裁判所は「就業制限は、有罪判決を受けた時点から開始しなければ、(就業)制限の趣旨を生かしその実効性を確保することはできない」とし、パク会長の主張を退けた。就業制限条項を設けたのは、「犯罪行為者が一定期間、影響力を行使できないようにすることで関連企業を保護し、健全な経済秩序を確立することが目的」であるため、執行猶予期間だからといって変更するわけにはいかないという判断だ。

 これまで財界の一部からは、法の曖昧さを利用して「獄中経営は可能」との主張が絶えず提起されてきた。特経加法には、就業をいつ制限するのかについて「懲役刑は刑執行終了後5年、執行猶予は終了後2年」とあるだけで、刑の執行中にも制限されるかどうかは明確でなかったためだ。しかし今回の裁判所の判断で、このような主張は力を失うことになった。

 イ・ジェヨン副会長も「獄中経営」は難しいとみられる。イ副会長は朴槿恵(パク・クネ)前大統領とチェ・スンシル(改名後チェ・ソウォン)受刑者にサムスン電子の金で86億ウォン(約8億2200万円)あまりを渡した贈賄で、懲役2年6月の実刑判決を受けて服役中だが、15日に法務部から就業制限通知を受けた。漢陽大学のイ・チャンミン教授(経営学部)は、「サムスンに実質的な影響を及ぼしているイ副会長は、未登記役員としてであれ無報酬役員としてであれ、就業制限のため復帰は難しいだろう」との予想を示した。

 イ副会長は、法務部の特定経済事犯管理委員会の審議と法務部長官の承認を受けて経営に復帰する可能性も残されているものの、今回の判決趣旨に照らすと容易ではない見通しだ。パク会長に対する判決文によると、「(原告の)業務を余人が代替することは不可能であるとの証明」が必要だからだ。イ・チャンミン教授は「イ副会長の不在は何度かあったが、サムスン電子は大きな問題なく運営されている」とし「グローバル企業であるサムスン電子がイ副会長を『代替不可能な存在』と述べた瞬間、(トップ)リスクを認めたことになる。むしろ市場においては不安要素として働きうる」と指摘した。

シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/984381.html韓国語原文入力:2021-02-24 19:59
訳D.K

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