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韓国「40~50代の若い企業家時代」経営哲学の新しい波作れるか

登録:2021-02-20 08:27 修正:2021-02-20 10:23
[土曜版]来週の質問
左からカカオのキム・ボムス創業者、クラフトンのチャン・ビョンギュ議長、NCソフトのキム・テクジン代表//ハンギョレ新聞社

 2月末、大韓商工会議所や韓国貿易協会など経済団体の首脳部が新しく入れ替わっている。電気自動車や水素自動車、バッテリー、半導体、ソーラー、配便配達アプリなど新産業で、数兆ウォン台の投資や買収・合併・合弁、国内外の株式市場への上場などのニュースが連日のように流れてくる。ヒット作を生み出したスター俳優のように、主要企業の若手会長・議長(取締役会)の顔も紙面や放送で大きく取り上げられている。最近の産業・企業界のいたるところで、情報技術(IT)基盤のプラットフォーム企業創業者から伝統製造業の3~4世企業家まで、「40~50代の若い企業家時代」の到来を実感させられる。

 40代のキム・ボンジン(配達の民族創業者)、50代のキム・ボムス(カカオ創業者)による数千億~数兆ウォンの「財産社会還元」の行列は、貧しい青年時代を経験し、一代で財を築いた人たちの一回限りの新鮮なニュースにはとどまらず、新たな現象と風土を作り出すかもしれない。見慣れていた伝統的な製造業の財閥企業家たちの「富と企業相続への執念」とは、明らかな対比を成している。財界に出現しているこのような萌芽的引き金がもたらす波紋と将来の結果はまだおぼろげで、その実情を完璧に把握したり、下手に想像することも難しい。もし社会共同体に向けた企業家の哲学と信念が根本的に転換する時代が訪れるとしたら、その時に判明するのかもしれない。

 大韓商工会議所の会頭に選出されたチェ・テウォンSK会長は、カカオのキム・ボムス議長やNCソフトのキム・テクジン代表、クラフトンのチャン・ビョンギュ議長らIT・ゲーム・ベンチャー業界の40~50代の若い企業家7人をソウル商工会議所の副会頭団に新たに合流させた。表向きには「伝統的な製造業だけでなく、未来産業の責任を担う革新企業の声を経済団体の政策路線に反映させる」ためだが、「企業(家)の社会的価値と責任行動」の拡散を図るという意味が込められているという。すでに亡くなったか引退した1、2世代の企業家が先駆的執念で売上拡大による成長を実現し、「事業報国・企業報国」を成し遂げたとすれば、現在40~50代の企業家は、変化した時代と息を合わせながら、企業活動の座標と目的を新たに設定することを新たな使命と考えているのだろうか。いずれにせよ、韓国の企業界は様々な新産業が浮上する急激な変化とコロナ時代を経験しながら、全く別の道に入っている様相だ。

 彼らは大体二つの意味で「運に恵まれた」企業家世代に属する。デジタル・エコ時代の流れを受け、韓国国籍の企業が驚異的に跳躍している時期に企業を経営している。サムスン電子や現代自動車などは1960年代後半に設立され、50年ほどの短い歴史にもかかわらず、グローバル巨大企業にのし上がり、新たな段階に移行している。水素自動車やバッテリー、ソーラー、配達アプリは、「地球村で活躍する剣闘士」(アルビン・トフラー『パワーシフト―21世紀へと変容する知識と富と暴力』)のように世界1位を争いながら自信あふれる革新企業に成長している。IT企業がいずれも「時代の宝くじ」に当選したかのようにコロナ禍の非対面特需を享受し、昨年過去最大の実績を上げたのも幸運といえる。年間売上高が数十兆、数百兆ウォンに達するグローバル企業を率いるようになったことで、社会共同体と人類を意識する流れが底辺で次第に形成されつつあるという分析もある。

 「若いYouTuber会長」が象徴するように、気質において開放的で闊達なのも若い企業トップの典型的な特徴だ。威圧的で厳格な「隠遁の経済権力」世代ではない。時には悪徳として描写されることもあるが、職業として企業家は概して生産的であり、良い製品を作って人々を楽しませようとする情熱を持っている。このような活動的な面貌を発揮し、一部トップ同士の会合や経済団体の集まりで企業の目的と責務をめぐって軽く討論する場面も見られるという。

 技術が率いる産業世界が、より広く急速に広がるほど、雇用や所得、日常生活を支配する企業の影響力は広範囲に累積し、浸透する。21世紀の国内外の産業経済は、従来の景気循環法則や経済碩学たちの診断や処方よりも、強大な「見える手」で闊歩する法人企業の投資行動が指揮する。国家と政策制度だけでなく、企業家が信奉する行動理念と経営哲学も社会を変え、人々の運命を決定する。

 コメ屋から始めた故チョン・ジュヨン現代グループ会長は、生前「企業は人間のための人間の団体だ。企業が一度大きくなればそれは自然と公益性を帯びるようになり、帯びなければならない」とし、「企業は規模が小さい時は個人のものだが、大きくなれば従業員共通のものであり、社会・国家のものとなる」と述べた。さらに若い指導部で新しい陣容を整えた経済団体は、対政府圧力団体の機能だけにとどまらず、抱擁的で持続可能な利潤創出、公正な繁栄、社会・環境的責任と役割といった「多様な企業目的」を掲げながら、時代の要請に応えられるだろうか。新たな韓国「企業(家)文明」の波を作り出せるだろうか。

//ハンギョレ新聞社
チョ・ゲワン産業チーム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/983757.html韓国語原文入力:2021-02-2002:31
訳H.J

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