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サムスン電子副会長側、再上告を断念…「赦免の可能性を考慮したわけではない」

登録:2021-01-26 06:41 修正:2021-01-26 07:31
国政壟断事件破棄差し戻し審の判決が開かれた今月18日午後、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長がソウル瑞草区のソウル高等裁判所に向かっている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「国政壟断収賄事件」の破棄差し戻し審で実刑が言い渡されたサムスン電子のイ・ジェヨン副会長の有罪判決がそのまま確定した。イ副会長とパク・ヨンス特検チームが再上告をしなかったことによるものだ。

 イ副会長の法律代理人であるイ・インジェ弁護士は25日、「イ副会長は今回の判決を謙虚に受け止め、再上告をしないことにした」と述べた。これに先立ち、ソウル高裁刑事1部(チョン・ジュニョン裁判長)は18日、朴槿惠(パク・クネ)前大統領とチェ・ソウォン(改名前はチェ・スンシル)氏にサムスングループの経営権継承を後押ししてほしいという請託とともに、会社資金約86億ウォン(約8億円)の賄賂を渡した容疑で起訴されたイ副会長に懲役2年6月を言い渡し、法廷拘束した。国政壟断の賄賂事件に対する司法的判断が終わったことで、2017年2月の拘束後の控訴審にて執行猶予で釈放されたイ副会長は、今後約1年6月を服役しなければならない。

 イ副会長側は、破棄差し戻し審の判決が2019年8月の最高裁(大法院)全員合議体の有罪判断によるもので、最高裁に事件が再び上がっても判決が覆される可能性はないという現実的な判断をし、再上告を断念したものと見られる。パク・ヨンス特検チームも同日「懲役5年が求刑されたイ副会長に懲役2年6月が言い渡されたのは、認められた犯罪事実と量刑基準に照らして軽いが、上告理由にできる違法事由には該当しない」とし、「破棄差し戻し審で宣告した判決は最高裁全員合議体の判決趣旨によるものだと判断し、再上告しないことにした」と説明した。

 イ副会長が特赦と仮釈放などを念頭に置いて判決確定を急いだのではないかという見方もある。最近、政界の内外で李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵前大統領に対する赦免の論議が再燃した点などを考慮すれば、イ副会長も刑を言い渡され、赦免の要件を満たすのが得策だと判断した可能性がある。これに先立ち、CJグループのイ・ジェヒョン会長も脱税・横領などの容疑で2015年12月の破棄差し戻し審で懲役2年6月を言い渡されて再上告したが、特赦の方針が伝えられた2016年7月に再上告を取り下げ、同年の光復節特赦として釈放された。

 しかしサムスン側は、イ副会長が特赦や仮釈放などを念頭に置いて再上告を放棄したのではないと説明している。特赦は大統領の権限であり、仮釈放は刑法上刑期の3分の1以上を満たせば要件になるが、通常80%を超えなければならない。現在、刑期の40%程度を満たしているイ副会長は、今後1年はさらに服役しなければ仮釈放の検討対象にはならない。イ副会長は国政壟断事件とは別に、経営権違法継承疑惑で再び起訴された状況なので、仮釈放や特赦として出所するとしても、“司法リスク”が完全に解消されるわけではない。サムスン側の関係者は「再上告審は法律審なので実益がなく、確定を遅延させても数カ月先送りされることを除けば、これといった利益はないと判断した」とし、「仮釈放と赦免は全く考慮対象ではなかった」と説明した。

チョ・ユニョン、シン・ミンジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/980262.html韓国語原文入力:2021-01-2602:03
訳H.J

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