韓国の野党第一党「国民の力」が「北朝鮮への原発極秘建設推進」説を提起し、政治的攻勢を浴びせていることについて、文在寅(ムン・ジェイン)大統領など大統領府が非常に激昂した雰囲気だという。文大統領は、「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長がこれについて「利敵行為」と発言したことについて「数々のマタドール(根拠のない事を捏造した政治的宣伝戦のこと。ブラック・プロパガンダ)を受けてきたが、これは度が過ぎるのではないか」と述べ、不満を示したことが31日に分かった。
大統領府の関係者の話を総合すると、文大統領は29日の非公開会議でキム委員長の発言を聞き、発言の水位が度を越したという趣旨で言及したという。大統領府民情首席室は現在、キム委員長に対する法的措置を検討している。
大統領府がこのように野党代表の政治的発言に対して法的措置を言及するなど強硬対応に出たのは、4月の補欠選挙を控え無分別な中傷宣伝が溢れ、政局はもとより南北関係にまで悪影響を及ぼす可能性を事前に遮断するという意図がある。大統領府の関係者は「野党はこれが“包容政治”なのかと反発しているが、新年のあいさつで文大統領が言及した包容は旧態政治まで包容するという意味ではない」と話した。
大統領府の強硬対応は、北朝鮮問題に敏感な周辺国との関係も考慮したものとみられる。大統領府の関係者は「周辺国もある問題なのに(野党の主張を)あのようにそのまま放置してはならない」とし「政治の時計を巻き戻す北風工作と同じだ」と述べた。
一方、チョ・ハンギ元大統領府儀典秘書官も、2018年に「板門店徒歩橋会談」で、文大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に発電所の内容が盛り込まれたUSBメモリーを渡したという朝鮮日報の報道について、「悪意の歪曲」として否定した。チョ元秘書官はこの日、フェイスブックを通じて「朝鮮日報の記事はもちろん嘘であり、両首脳が水面下で取引をしたとそれとなく連想させる悪意の歪曲」だとし「当時儀典秘書官だった私は、北朝鮮のキム・チャンソン部長と一緒に現場にいた。全世界に生中継された場面をこのように歪曲することができるとは、あきれるばかりだ」と批判した。