韓国の野党第一党の「国民の力」は先月31日、文在寅(ムン・ジェイン)政権が北朝鮮に原発建設を提案したとされる問題に関し、国政調査の実施と特別検事の導入を求めた。「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長が自ら「利敵行為」という強い表現を使って与党に対する攻勢を展開するのには、対北朝鮮問題を争点化し、4月の補欠選挙政局の主導権を握りたいとの意図があるとみられる。
キム・ジョンイン委員長はこの日、国会で「対北朝鮮原発疑惑緊急対策会議」を開き、「最近明らかになった具体的資料をもとに合理的に疑惑を提起し、実体的真実を明らかにせよという野党第一党の要求に対し、大統領府は非正常かつ非常識な反応を示している」とし「北朝鮮の原発推進は、それ自体が驚天動地の重大な事案だ。まず、誰の指示によって進められたのか、(政府は)直ちに明らかにしてほしい」と声を強めた。キム委員長は続いて「問題の北朝鮮原発推進文献に関する資料の原文を直ちに公開することを求める。政府が自ら明らかにしないのなら、国会レベルでの国政調査推進も不可避だ。我が党は速やかに真相究明委員会を発足させ、国民とともに実体的な真実の究明に党の力を結集する」と述べた。この日の緊急対策会議で国民の力は、党内機関として北朝鮮原発推進関連真相調査特委を設置することを決めた。
チュ・ホヨン院内代表もこの日、フェイスブックで「我々の核能力は完全に撤廃しつつ、北朝鮮の原発支援に乗り出すというのが利敵行為でなければ、何が利敵行為なのか。韓国の軽水炉に関する資料が北朝鮮に渡ったとすれば、北朝鮮が商業用軽水炉を確保する道を開いてあげたことになる。『北朝鮮に原発を建設することは不可能だ』と言って握りつぶすべきことではない」と述べた。
国民の力の指導部は「月城(ウォルソン)原発早期閉鎖問題」に「北朝鮮核」のフレームを当てはめ、選挙を前に対北朝鮮問題で戦線を拡大することに力を入れているようだ。特に「中道拡張」を標榜するキム委員長までもが「公安」のにおいのする「利敵行為」という表現を使ったのは、選挙が思い通りになっていないという焦りを反映しているのではないかという分析も出ている。国民の力非常対策委の関係者は「原発問題には北朝鮮問題まで絡んでいる」とし、「再・補欠選挙だけでなく、文政権が一気に没落する可能性もある事案」として興奮を隠さなかった。
国民の力所属のソウル市長予備候補たちも、キム委員長の援護射撃を行った。ナ・ギョンウォン前議員はこの日、大統領府噴水前で緊急記者会見を開き「核で脅している北朝鮮政権に原子力発電を提供するということが利敵行為でなければ、何が利敵行為なのか」とし「内では脱原発を行いながら、外(北朝鮮)に原発を上納したということを、国民は到底理解できない」と批判した。オ・セフン元ソウル市長も国会で緊急記者会見を開き、文大統領の釈明を求めた。