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[記者手帳]次期韓国大統領候補、イ・ナギョン代表は巻き返せるだろうか 

登録:2021-01-23 07:14 修正:2021-01-23 07:54
[土曜版]来週の質問
イ・ナギョン共に民主党代表が今月22日午前にソウル汝矣島の国会で開かれた小確幸委員会「金融コスト削減共存協約式」でチャン・ギョンテ(左)、ミン・ビョンドク(右)議員と挨拶を交わしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 「赦免を提案したことで、政治的に失点したのではないですか?」(司会者)

 「ええ、ずいぶん叱られました。大統領のお言葉で一段落がついたらと思います。そうすべきだと思います」(共に民主党のイ・ナギョン代表)

 19日、イ代表はMBC(文化放送)の『ニュースデスク』に出演し、身を縮めた。李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)元大統領の赦免を提案したことに対する謝罪だった。1日、新年最初の話題として思い切って持ち出したメッセージを1カ月も経たずに撤回したわけだ。

 12~14日に韓国ギャラップが実施した次期政治指導者好感度調査(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)で、イ代表は前月より6ポイント下がった10%を記録した。昨年8月14日に発表されたギャラップの世論調査(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)でイ・ジェミョン京畿道知事に初めて逆転を許して以来、好感度が下がり続けている。イ知事(23%)とはダブルスコア以上の差がついた。特に「赦免提案」以降、下落幅が大きい。

 「赦免提案で支持率が砂の城のように崩れてしまった。『文在寅(ムン・ジェイン)の継承者』という位置が確実だったのに、そのメリットがなくなった。『イ・ナギョンは本当に文在寅を継承できるのか』というのが支持者の疑念だ。これが危機の本質だ」(党関係者)。

 「赦免提案」でふらついていたイ代表は「新型コロナによる二極化の解消」に専念しながら、戦列を整えている。今月11日、イ代表は「新型コロナによる二極化が進んでいる。高所得層の所得はさらに増え、低所得層の所得はさらに減るK字型の二極化」だとし、政府・与党の失政を皮肉る用語まで取り上げながら、二極化の深刻さを強調した。「利益共有」という新しい提案も出した。

 それからは、どこへ行っても「二極化の解消」メッセージを発信している。輸出現況を視察するため仁川(インチョン)新港を訪れた時(「新型コロナによる二極化を克服するためには、一定程度の成長が必要で、成長のために輸出の貢献が欠かせない」)も、4月の再・補欠選挙候補公認のための公認管理委員会の初会議(「新型コロナがもたらした不平等をどう緩和し、克服するかについて、候補たちが答えを持っていなければならない」)でも、すべてのメッセージを「二極化の解消」に集中させた。「赦免提案は忘れてほしい。私は文在寅政権を継承する、民主党のアイデンティティに合う候補だ」と言わんばかりに。

 熱血党員たちは、まだイ・ジェミョン知事よりはイ・ナギョン代表側に立っているものと見られる。6日から民主党ホームページ権利党員掲示板では、「イ・ナギョン代表退陣」と「イ・ジェミョン京畿道知事の離党」に対する賛否投票が行われた。21日現在、「イ・ナギョン退陣」は賛成3466人、反対6851人、「イ・ジェミョン離党」は賛成6703人、反対377人だ。少なくとも党員掲示板の世論は「それでもイ・ナギョン」という意味だ。

 「熱血党員たちは『それでもイ・ジェミョンは嫌いだ』ということだ。『イ・ナギョン、あなたを支持する名分をくれ』というのだ。新型コロナによる二極化への対処という民主党らしい改革課題に集中すれば、支持率は回復する。無理する必要はない」(イ代表側関係者)

 代表就任から昨年末までの時間は、政治家のイ・ナギョンにとって「宿題の時間」だった。文在寅政権の初代首相であり、180議席に迫る巨大与党の代表として文在寅政権の改革課題を立法化することは避けられない運命だった。ただ、これが「宿題」というのが問題だった。うまく行っても当たり前とされ、うまく行かなければ叩かれる。得点は不可能で、失点のリスクだけが高い。

 実際、あまりうまく行かなかった。公正経済3法や重大災害企業処罰法などは、処理過程で“有名無実”に転落したと批判された。他の敏感な法案の駆け引きの過程でも、イ代表が存在感を示せなかったという指摘も多かった。「宿題の期間」にイ代表の支持率は下がり続けた.

 「宿題の時間」は終わり、「政治家イ・ナギョンの時間」が始まった。来月2日、イ代表は就任後2回目の交渉団体代表演説を行う。昨年9月の演説が「党代表者イ・ナギョン」のデビュー戦だったとすれば、今回の演説は「次期大統領選候補イ・ナギョン」のデビュー戦となる。イ代表は本人が長い間練り上げてきた「新福祉制度」を中心に、新型コロナがもたらした二極化を克服するためのビジョンを説くものとみられる。赦免提案→利益共有制の提案に続く「イ・ナギョン流政治」の第3弾というわけだ。演説から1カ月後、イ代表は短い党代表の任期を終える。さらに1カ月後にはソウルと釜山(プサン)の市長補欠選挙が、続いて民主党大統領選候補予備選挙が行われる。本番が迫っている。イ代表は巻き返せるだろうか。時間はたっぷりある。しかし、時間が経つのは、いつも早いものだ。

//ハンギョレ新聞社
キム・ウォンチョル政治チーム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/980020.html韓国語原文入力:2021-01-2222:27
訳H.J

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