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[社説]韓国与党代表の新年最初のメッセージで「李明博・朴槿恵赦免論」は不適切だ

登録:2021-01-04 05:23 修正:2021-01-04 06:58
共に民主党のイ・ナギョン代表が聯合ニュースと新年を迎えてのインタビューを行っている/聯合ニュース

 共に民主党のイ・ナギョン代表は1日、李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の放免論を提起した。イ代表は聯合ニュースのインタビューで「適切な時期に前・元大統領の二人の赦免を文在寅(ム・ジェイン)大統領に建議する」とし、「今年は文大統領が仕事ができる事実上最後の年で、この問題を適切な時に解決しなければならないのではという気がした」と述べた。これまで「李明博・朴槿恵赦免論」を取りあげた人はいなくはないが、政権与党の代表が国民に向けた新年最初のメッセージとしては不適切だと思われる。新型コロナの克服や経済回復など難題が山積しているにも関わらず、新年の冒頭から国民の生活とは特に関係のない放免論を取り出し、政治的な議論を引き起こす理由は理解しがたい。

 イ代表は「支持層の賛否は別にして、建議しようと思う」とし、「今後、党がもう少し積極的な役割を果たさなければならないだろう」ともした。赦免は大統領の権限だが、与党代表として声を出すという意味だ。大統領府高官は「イ代表が今は話を切り出した状況だ。建議が実際になされてから論議できる問題」だとし、慎重な態度を示した。イ代表の放免論は民主党内でも公式な議論を経ていないという。イ代表の単独の決心だとみられる。党内では、「国民のコンセンサスが形成されていない」「時期的に適切ではない」など否定的な反応が多いという。

 イ代表は前・元大統領の二人の赦免が「国民の統合のための大きな鍵となりうるだろう」と述べた。赦免の理由として「国民の統合」を挙げたのだ。同意しがたい。前・元大統領の二人は、重大な犯罪を犯し罰を受けているところだ。赦免を受けるとしたら、最小限の痛恨の反省と率直な謝罪が前提にならなければならない。しかし、彼らはこれまで、一度も過ちを悔やむ姿を見せたことはない。10月の最高裁で賄賂と横領などの容疑により懲役17年を宣告されたイ元大統領は、「法治が崩れた。国の未来が心配になる」とし、強く反発した。今月14日に「国政壟断事件」に対する最高裁の判決が予定されている朴前大統領は、昨年4月15日の総選挙を控え、「巨大野党を中心に、太極旗を持つ皆が一つに力を合わせてくださるよう訴える」とし、監獄から現実政治に介入した。元・前大統領を監獄から釈放すれば国民の統合につながるという論理は、時代の変化についていけない考えだ。国民の常識と法感情からも外れる。国民の統合ではなく国論の分裂を呼ぶことがありうる。今、国民の統合が切実な分野は他にある。新型コロナによる所得の不平等と貧富の格差が社会の対立を大きくしている。政権与党の代表であれば、新年最初のメッセージでこうした問題を解決する構想と計画を明らかにしなければならなかった。

 正義党はもちろん保守野党も否定的な反応を示した。正義党のキム・ジョンチョル代表は「全く正しくないだけでなく、不正義なこと」だとし、撤回を促した。12月15日に前・元大統領の二人の拘束と弾劾について“強度の高い”国民に対する謝罪を行った「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長は、「前回(12月30日)に(イ代表と)会った際にも、そのような話は聞いてはいない。初めて聞く話」だと一蹴した。先月20日にソウル市長選への出馬を宣言した「国民の党」のアン・チョルス代表も、「前職の大統領の赦免を選挙に利用しようとする試みであれば、それは容認できないこと」だと述べた。太極旗部隊を代表するウリ共和党だけが「遅かったが遅迎する」とし、「不法弾劾の誤りを認め、今からでもただちに朴槿恵大統領を釈放しなければならない」と主張した。

 イ代表は最近、自身と党の支持率が落ち、突破口を探さねばという気持ちが強まっていることがありうる。しかし、政権与党の有力な大統領候補であるならば、このような時こそ事を急がずに広い目で見て、賢明な判断を下さなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/976921.html韓国語原文入力:2021-01-03 22:56
訳M.S

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