産業通商資源部の幹部2人が、原発の早期閉鎖に対する監査院の監査を控え関連資料を削除した疑いで拘束され、韓国与党勢力の不満と危機感が高まっている。「政治的捜査」という与党側の反発にもかかわらず、検察が最小限の捜査の必要性を裁判所から認められたことになり、今後の捜査状況によって波紋はさらに広がるものとみられる。
今月4日、大田(テジョン)地裁のオ・セヨン令状担当判事は、公用電子記録の損傷や室内侵入、監査妨害の容疑で拘束令状が請求された産業部幹部3人のうち、「犯行を否認しており、証拠隠滅の恐れがある」として、M局長とK書記官の拘束を認めた。これに先立ち、産業部は昨年11月26日、監査院から月城(ウォルソン)原発1号機に関する内部報告および大統領府協議・報告資料の提出要請があったにもかかわらず、大統領府への報告文書をほとんど提出せず、M局長ら公務員3人は追加の資料提出要求前日(昨年12月1日)に444件の関連文書を削除した。資料削除を指示した「上層部」が誰なのかを捜査中の検察は、ペク・ウンギュ前産業部長官とチェ・ヒボン元大統領府産業政策秘書官を近く召喚し、取り調べる計画だ。
大田地検の原発捜査は、チュ・ミエ法務部長官のユン・ソクヨル検察総長懲戒請求とともに、与党とユン総長の間に形成されたもう一つの戦線だ。大田地検の捜査を事実上直接管轄しているユン総長は、今月1日に職務復帰後、まず同事件から拘束令状請求を承認した。懲戒を控えたユン総長が、大統領府に向けた反撃の切り札として原発捜査を活用していると疑われる状況で、与党内部では裁判所に対する不満の声もあがっている。共に民主党の次期党代表選挙への出馬を検討しているウ・ウォンシク議員は、裁判所の拘束令状発行後、フェイスブックに「政権を窮地に追い込もうとする監査院と検察の行動に裁判所まで後押ししており、誠に遺憾だ」とし、「大統領の公約まで司法的(判断の)対象にしようとするこの状況に、忍耐の限界を感じる」という書き込みを残した。
大統領府のある関係者は「裁判所が令状を発行したのは、(原発)政策そのものではなく、資料廃棄に関するもの」だと説明した。裁判所が令状請求を認めたのが脱原発政策全般に対する検察の捜査を後押しするためではないと念を押したのだ。しかし、検察の今後の捜査は、原発稼動中止決定の過程で派生した大統領府と産業部の職権乱用の疑いに拡大する可能性が高い。これについて検察が請求したC課長の拘束令状が「犯罪事実を概ね認めている」として棄却されたのは、注目すべき部分だ。国民の力が10月に検察に提出した告発状によると、C課長は当初、大統領府に報告する予定の早期閉鎖計画案報告書には「原子力安全委員会の永久停止決定前までは継続して稼働が可能だ」と記していたが、ペク長官の指示でこれを削除したとされている。関係者の調査を通じて大統領府と産業部の役割を把握した検察が、韓国水力原子力理事会が月城原発1号機の早期閉鎖を最終決定する過程において大統領府と産業部の職権乱用が成立するかどうかを集中的に追及する可能性が高い。