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[社説]韓国検察の原発早期閉鎖課程に対する捜査、「脱原発政策」への狙い撃ちか

登録:2020-11-07 06:05 修正:2020-11-10 15:48
検察が月城1号機原発の早期閉鎖に関して産業通商資源部の強制捜索に乗り出した今月5日、政府世宗庁舎の産資部で関係者らが慌ただしく動いている/聯合ニュース

 2018年の月城(ウォルソン)1号機原発の早期閉鎖に関連し、検察が5日、大々的な強制捜索を行い、本格的な捜査に乗り出した。非常に電撃的なうえ、その対象も当時原発政策ラインにいた関係者たち全員を対象にしている。脱原発政策に関する判断の適正性を調べるための捜査と解釈される余地が大きい。事実なら、検察の職務範囲を大きく外れている。

 検察の捜査対象は、昨年10月に監査院の監査が始まって以来、産業通商資源部で行われた“文書削除”とみるべきだ。監査院が検察に渡した「捜査参考資料」もこの部分が主な内容である。しかし、捜査方向と強度を推測できる強制捜索の対象を見ると、月城1号機の早期閉鎖を決定した政策的部分にまで及んでいるといっても過言ではない。大統領の脱原発公約による政策決定は監査対象ではないと考えた監査院の判断すら大きく超えたものだ。

 大田(テジョン)地検は同日、産業部長官室をはじめ、エネルギー政策と関連した産業部と韓国水力原子力など全部署と前職・現職関連者を対象に全面的な強制捜索を行った。また、月城1号機の閉鎖が決まった2018年、当時のペク・ウンギュ産業部長官やチェ・ヒボン大統領府産業政策秘書官(現韓国ガス公社社長)などの自宅や事務室なども家宅捜索した。文書削除の過程で、誰がどのように関与したかを知るためには、捜査対象を拡大する必要がある。しかし、今回の強制捜索の対象は、監査院が問題視した文書の削除時期より1年前まで遡る。

 さらに検察の今回の捜査の対象は、先月22日に野党の「国民の力」が「原発経済性評価の不正と早期閉鎖決定の責任を問うべきだ」として告発した内容とも一致している。政策決定に対する捜査という心証に加え、政治的な捜査という疑念まで抱かせる。ただでさえ最近、“政治的動き”を見せているとして物議を醸しているユン・ソクヨル検察総長が、新任部長検事に「生きた権力への捜査を、顔色をみて躊躇することがないように」というメッセージを投げかけた2日後、大々的な強制捜査が行われた。単なる偶然であることを願いたい。

 与野党の政治的妥協で始まった監査院の監査が、1年余りの紆余曲折の末、わずか半月前に終わった。検察が再び政治的論議を巻き起こし、自ら炎の真ん中に飛び込んだら、誰よりも検察自身にとっても不幸なことになるだろう。エネルギー転換は韓国だけでなく、すべての人類に与えられた時代的課題だ。検察は、政府のエネルギー転換政策にまで刃を向ける愚を犯してはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/968756.html韓国語原文入力:2020-11-06 02:44
訳H.J

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