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韓国検察総長、「判事査察」議論の文書を公開…判事の細かな個人的内容が記載

登録:2020-11-27 07:50 修正:2020-11-27 10:45
「判事査察」議論の文書を公開 
出身・主要判決・世評項目に分かれる 
7ページの分量に判事37人の情報を記録 
世評に「検察が対応しやすい」 
「ウリ法研究会」政治的傾向の把握も
26日、ソウル瑞草区のソウル中央地検で昼食を取るために庁舎を出る検察関係者たち/聯合ニュース

 ユン・ソクヨル検察総長側は26日、裁判所に職務停止処分取消し請求訴訟を起こすと同時に、いわゆる「判事査察」議論を呼んでいる最高検察庁の捜査情報政策官室の文書を公開した。7ページの同文書には、13の裁判部を担当した37人の判事の情報が記されているが、特殊・公安事件の裁判部については、過去の判決をまとめ判事の政治的傾向を把握しようとする傾向が目立った。また、ウリ法研究会への加入や、「物議を醸した裁判官」に含まれているかなどが言及されていた。最高検察庁による「控訴維持のための参考用資料」という主張と、法務部による「判事の個人情報と傾向を収集した査察」という主張が激しくぶつかっている。この日、ユン総長側が文書を公開すると、法務部はただちにこの文書が判事に対する違法査察の根拠だとし、ユン総長を職権濫用の疑いで最高検察庁に捜査を依頼した。

 同文書には、主要な事件を担当している裁判部の裁判長と主審判事の情報が、出身・主要判決・世評の項目に分類され記録されている。査察疑惑が提起された部分は「世評」の項目だが、これについて、同文書を作成したソン・サンウク元最高検察庁捜査情報第2担当官は「公判検察官による評価を記録したもの」だと明らかにしている。特に、司法壟断捜査の際に入手した「物議を醸した裁判官」リストを活用したと法務部が疑う点も世評項目に出てくる。司法壟断事件を担当した裁判部のある陪席判事についての世評には、「裁判所事務総局(が作成した)2016年度の物議を醸した裁判官リストに含まれる」との記述の後に「2015休日当直前日に酒を飲み、翌日遅くに起き、当直裁判官として令状審問期日に欠席、メディアで報道」とカッコの中に書かれている。法務部はこの点を根拠に、最高検察庁が「物議を醸した裁判官」リストを直接・間接的に“確認”したものとみている。

 司法壟断事件を担当する裁判部は、「出身」項目で出身高校と大学以外に、最高裁判所(大法院)と裁判所事務総局の勤務の有無も合わせて把握されていた。ユン総長側は判事の氏名と担当事件の名前を分けていたが、公開された情報をもとにどの裁判部なのか特定できる。ヤン・スンテ元最高裁長官の司法壟断事件を担当しているソウル中央地裁35部のパク・ナムチョン部長判事について、「公判準備期間当時、断固とした争点整理など、強い姿勢を示したが、いざ被告人(ヤン元最高裁長官、パク・ビョンデ、コ・ヨンハン元最高裁判事)が出廷する正式な公判期日になると、慌てたような様子とともに、被告人側の無理で非常識な主張をすべて受け入れ、消極的な態度を示した」と書かれている。裁判の過程で被告人に有利な態度を示したという評価だった。ソウル中央地裁刑事36部のユン・ジョンソプ部長判事に対しては、「裁判長主宰の会で、司法行政権の濫用疑惑の関係者を厳しく処断しなければならないと述べたという記者からの情報提供がある」という被告人の裁判部忌避申立ての内容が記入されてもいた。

 政治的争点を扱う特殊・公安事件の裁判部については、過去の判決を通じて政治的傾向を把握しようとする傾向が明確だった。まず、チョ・グク前法務部長官の事件を担当しているソウル中央地裁刑事21部のキム・ミリ部長判事の「主要判決」項目には、全教組(全国教職員労働組合)の法外労組撤回を要求して警察と衝突したデモ隊に執行猶予判決(警察官に2~3週間の傷害を与えた事案、検察官は実刑を求刑)▽大学時代にデモ参加の前歴で軍務員採用から脱落した受験者の不合格取消しを認めた件などが挙げられていた。世評では「ウリ法研究会出身だが合理的だという評価」を付けた。「可能な限り検察官や弁護人の言葉をさえぎらず傾聴する。積極的には検察官や弁護人にああしろこうしろと言わないタイプ」とも書かれていた。「特異事項」では、検察幹部の妻の妹だという事実が明かされた。文書作成者であるソン・サンウク担当官はこれについて、「裁判長が検察官と親戚である場合、被告人や弁護人が公正性の問題を提起することがありうるという点を考慮し記載した」と説明している。

 東洋大学のチョン・ギョンシム教授の事件を担当しているソウル中央地裁刑事25部のキム・ソンヒ部長判事の「主要判決」項目には、金大中(キム・デジュン)元大統領など緊急措置の被害者の国家賠償事件での原告敗訴判決が記された。イム・ジョンヨブ部長判事については、セウォル号の船長と海洋警察の艇長に重刑判決、クォン・ソンス部長判事については、違法選挙運動を行った自由韓国党の所属区長に職位喪失と罰金刑を言い渡した判決が言及されていた。

 ファストトラック(迅速処理案件)で与野党政治家が衝突した事件を担当しているソウル南部地裁刑事11部のイ・ファンスン部長判事の「主要判決」項目には、民主労総委員長の執行猶予、野党政治家の賄賂に対する無罪(政治資金法違反は有罪)、江西(カンソ)インターネットカフェ殺人事件で懲役30年判決などが挙げられた。また、別の裁判部である刑事12部の裁判長のオ・サンヨン部長判事の「主要判決」には、民主労総委員長の拘束適否審で釈放、民青学連事件で国家賠償責任を認定、統合進歩党のイ・ソッキ元議員に対する選挙補填金返還請求訴訟の国側敗訴の判決が書かれていた。

 その他にも、「検察に敵対的ではない」「世論や周辺の雰囲気から影響を多く受ける」「几帳面に裁判を進めるが、検察が対応しやすい」「見せる用の進行を望む」など様々な世評が記載された。ある陪席判事に対しては、大学と一般人のアマチュアのバスケットボールリーグで活躍した点に言及し、「大学在職時からバスケットボールの実力で有名」だと記した。その他の事件に分類された裁判部の判事については、サムスン電子で証拠隠滅に加わった役員に実刑判決、国会を欠席した財閥に罰金刑判決、採用不正の銀行人事部長の拘束などが「主要判決」に書かれた。

 この文書を公開したユン総長側は、「ほとんどが『韓国法曹人大観』やメディアなどで公開された資料であり、一部の公判検察官に尋ねた内容が全て」だとし、「公判手続きに関与する検察官の指導のための業務参考用であり、作成した目的と公開された資料を収集した過程および対象に照らし、査察ではない」と主張した。

 しかし法務部は、「検察総長の指示により、判事の違法査察文書が作成され配布された」とし、ユン総長への捜査を依頼した。法務部は、文書で判事の世評を書いたり、「物議を醸した裁判官」の確認やウリ法研究会の出身かどうかを書いた事実を挙げ、政治的傾向を分析したものだと解釈される各判事の「主要判決」の分析など裁判に影響を及ぼす方向に悪用されかねない敏感な個人情報が含まれており▽実際に検察に不利な判決を下した判事がウリ法研究会出身だという理由で攻撃されたりするなど、悪用されたことが疑われる事例もあるとし、「極めて重大な犯罪だと判断」したと明らかにした。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/971745.html韓国語原文入力:2020-11-27 02:43
訳M.S

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