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「チョ元法相の娘vsシム検察総長の娘」の報道数、23倍差の秘密【コラム】=韓国

登録:2025-04-14 06:42 修正:2025-04-14 08:36
//ハンギョレ新聞社

 5757対255。

 チョ・グク元法務部長官の娘の入試不正疑惑とシム・ウジョン検察総長の娘の就職特恵疑惑を報道した記事を9日間集計した数字だ。それぞれ報道急増のきっかけとなった、自由韓国党のクァク・サンド議員(当時)と共に民主党のハン・ジョンエ議員が疑惑を提起したことを基点とし、民主言論市民連合が調査した。1日平均では640対28。チョ元長官の娘関連の報道件数は、シム検察総長の約23倍だった。

 違うのは報道の量だけではない。同期間中、チョ元長官の娘の実名を報道した記事は20件だったが、シム総長の娘の実名を明かした記事は全くなかった。疑惑対象事件の発生時点からすると、報道における不公正性はさらに際立つ。チョ元長官の娘の表彰状や奨学金などの問題は、チョ元長官がソウル大学教授として在職していた朴槿恵(パク・クネ)政権時代のことである一方、シム総長の娘が国立外交院と外交部に就職したのは、シム総長が尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の法務部次官と検察総長として在職した時期に起きたことだ。チョ元長官は汎野党圏の人物であり、シム総長は当時も今も政権の要人だ。マスコミが報道価値を判断する基準である事案の重大性や権力型不正の可能性からみても、シム総長の娘関連の報道がもっと多ければならない。ところが、結果は正反対だった。

 一見、似ているように見える権力者の「ご令嬢」の疑惑報道だが、量と質のいずれの面でも圧倒的な差が出る理由は何だろうか。よくマスコミの偏向性が理由に挙げられているが、それは表面的な指摘だ。マスコミが偏向性を帯びるようになった原因を示していないからだ。

 秘密は検察にある。検察が捜査に着手して新しいファクトを供給すれば、報道機関の報道競争が激しくなり、自主取材も増える。マスコミは本質的に「バンドワゴン」に便乗する傾向がある。イシューがイシューを生み、報道量が爆発的に増加する。マスコミの偏向性以前に検察の偏向性が存在するわけだ。

 検察権力の核心は捜査権と起訴権だが、検察が今日の社会的地位を築き上げるまで最も重要な役割を果たしたのは、マスコミを利用した世論操作と統制の能力だ。一般人がアプローチできない内密なファクトを捜し出す捜査権をもとに、マスコミのバンドワゴンに燃料を供給することで、検察は国全体を牛耳る力を手に入れた。なかでも、マスコミを最も巧みに活用したのが、尹錫悦前大統領とハン・ドンフン前国民の力党代表だ。検察改革が実現すれば、マスコミ改革も半分は実現するわけだ。

イ・ジェソン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1192125.html韓国語原文入力: 2025-04-14 01:08
訳H.J

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