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韓国検察総長に新たな容疑…チョ・グク前法相事件を担当した判事の指向を裏調査

登録:2020-11-25 09:46 修正:2020-11-25 10:03
チョ・グク前長官、大統領府の下命捜査を担当した判事の 
世評・家族関係・趣味など報告を受け 
ヤン・スンテ元最高裁長官の司法府で使用した 
「物議を醸した裁判官」リストで指向を調査し 
反腐敗部に渡すよう指示した疑いを初めて公開
ユン・ソクヨル検察総長が18日、ソウル瑞草区の最高検察庁に出勤している/聯合ニュース

 チュ・ミエ法務部長官が24日、憲政史上初めて現職の検察総長を職務排除するとして挙げた不正の疑いは、大きく5つある。報道機関の社主たちとの会合、検察・メディア癒着疑惑の監察妨害などはすでに多く知られているが、チョ・グク前法務部長官事件の裁判部査察疑惑は今回初めて公開された内容だ。

 チュ長官は、今年2月に最高検察庁の捜査情報政策官室がチョ・グク前法務部長官事件および大統領府の下命捜査疑惑事件の裁判を担当している判事の、主な政治的事件の判決内容▽ウリ法研究会に加入しているかどうか▽家族関係▽世評▽個人の趣味▽物議を醸した裁判官に該当するかどうかなどを調査し、ユン・ソクヨル検察総長に報告したと明らかにした。

 二つの事件とも、ソウル中央地裁刑事21部(キム・ミリ裁判長)が審理中だ。監察もみ消しの疑いなどで起訴されたチョ前長官と、2018年の地方選挙を控えて文在寅(ムン・ジェイン)大統領と親しいソン・チョルホ弁護士の蔚山(ウルサン)市長当選のために大統領府がライバル候補の捜査を下命したという疑いで起訴された与党の主要な関係者らが、被告人として裁判を受ける事件だ。

 以前は犯罪情報企画官室だった捜査情報政策官室がこれらの事件を審理する判事の個人情報を含む文書を報告すると、ユン総長がこれを反腐敗強力部に渡すよう指示したことにより、「捜査情報政策官室では収集できない判事の個人情報や指向に関する資料を収集し活用するなど、職務上の義務に違反した」というのが法務部の調査結果だ。

 「物議を醸した裁判官」は、ヤン・スンテ最高裁長官時代に裁判所事務総局が「ヤン・スンテ最高裁」に批判的な判事らの指向を分析し、人事に不利益を与える根拠として活用した内部文書だ。ある現職の判事は「『物議を醸した裁判官』リストは、ヤン・スンテ(が在任した時代の)司法府で裁判官を弾圧した代表的な物証だ。それなのに、司法壟断を捜査した検察が、特定の事件を担当している裁判官が『物議を醸した裁判官』に該当するかどうかを調査したというのは非常に衝撃的だ」と話した。

 ユン総長と報道機関の社主の不適切な会合は、最初の不正容疑として取り上げられた。「2018年11月、(ユン総長が)ソウル中央地検長として在職中にソウル鍾路区所在の居酒屋で、事件の関係者であるJTBCの実質的な社主のホン・ソクヒョン氏に会い、公正性を損ねる不適切な交流を行い、検事倫理綱領に違反した」ということだ。

 ユン総長と保守メディアの社主との会合は、約1年前の昨年9月に報道機関のコラムを通じて初めて知られ、今年7~8月に具体的な会合が報じられており、先月の最高検察庁の国政監査で与党議員の質疑により公式化した。

 ユン総長がソウル中央地検長時代に朝鮮日報のパン・サンフン会長、中央日報のホン・ソクヒョン前会長と会ったという疑惑であり、これに対してユン総長は会ったかどうかについて即答を避けたため、この事案は法務部監察官室の対面監察調査の名分になった。

 この日の職務排除の決定で、チュ長官はパン会長ではなくホン前会長との会談を問題視した。これに先立ち、ソウル中央地検は2018年5月、JTBCの「タブレットPCの報道は捏造だ」と主張したピョン・ヒジェ氏を、JTBC関係者の名誉毀損の疑いで逮捕した。当時、ピョン氏の裁判の一審が進行中であり検察の求刑を控えた状況で、ソウル中央地のユン・ソクヨル地検長(当時)が同事件の被害者であるホン・ソクヒョン氏(JTBCの実質社主、中央日報前会長)と会合したのは不適切だったというのが法務部の結論だ。

 このほか、検察とメディアの癒着疑惑にかかわったハン・ドンフン検事長に対する監察妨害、ハン・ミョンスク元首相の捜査に対する監察妨害も、職務排除の事由に挙げられた。今年4月、ハン・ドンス最高検察庁監察部長がハン・ドンフン検事長に対する監察開始を報告すると、ユン総長が「正当な理由なしに最高検察庁監察部長に監察を中断」させ、これは「著しく不当であったり、職務範囲を超えた場合でなければ、監察開始を中断させてはならない」という最高検察庁監察本部の運営規定違反だということだ。

 チュ長官は、ハン・ドンフン検事長の監察問題をめぐり、ユン総長がハン・ドンス監察部長との対立をメディアに流したことも問題視した。「最高検察庁の監察部長が口頭報告もなくハン・ドンフン氏に対して監察すると一方的にショートメールで通知した」という内容を外部に流出したのは「職務上の義務違反」だと、チュ長官は判断した。

 ハン・ミョンスク元首相の捜査過程の監察指示をユン総長がソウル中央地検に移管したのも、検察総長の権限濫用だとチュ長官は指摘した。「検察総長が私の命令に逆らった」とチュ長官が表現した、その事件だ。

 ユン総長が法務部監察官室の対面監察調査を拒否したことも、職務排除の事由に追加された。チュ長官は最後に「検察総長として政治的中立に関する威厳と信望を傷つけた」とし、ユン総長の政治的行動も懲戒事由に挙げた。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/971357.html韓国語原文入力:2020-11-25 02:45
訳C.M

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