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韓国検察による裁判部査察疑惑に判事らの反発高まる

登録:2020-11-26 06:46 修正:2020-11-26 08:20
現職の判事、内部掲示板に批判の書き込み 
判事と検事の対立に飛び火の兆しも
ユン・ソクヨル検察総長の職務排除初日の今月25日午後、ソウル瑞草区の最高検察庁に職員が入っていく/聯合ニュース

 25日、韓国の現職の部長判事が、最高検察庁の「裁判部査察」疑惑文書に対する釈明を批判する書き込みを裁判所内部の掲示板に掲載した。同判事は、裁判所事務総局に「(裁判部の傾向調査に活用された)判事に対する身辺調査の内容と経緯を確認してほしい」と要求した。検察が重要事件を担当する裁判部の傾向調査を正当な業務と主張したことに対し、判事たちの批判が高まっている。

 済州地裁のチャン・チャングク部長判事は同日午前、裁判所内部の掲示板に「誰かは問題を提起しなければならないと思い、勇気を出した」と書き込んだ。チュ・ミエ法務部長官が前日、ユン・ソクヨル検察総長の職務停止を命じる際、不正容疑の一つに挙げた「裁判部査察」に関するものだ。最高検察庁が、裁判部の傾向に関する調査を違法な査察ではなく、正当な業務という趣旨で説明したことに対する反論といえる。

 チャン部長判事は「最高検察庁の捜査情報政策官室が、蔚山(ウルサン)市長選挙の介入事件とチョ・グク前法務部長官事件の判事の個人情報と傾向に関する資料が含まれた報告書を提出したことを受け、ユン総長がこれを反腐敗強力部に渡すよう指示したという法務部長官の発表があった」とし、「これに対するユン総長の釈明にはあきれる」と指摘した。さらに「裁判部の身辺調査資料を破り捨てて作成者を問責するのではなく、公訴維持、すなわち有罪判決を引き出すための参考資料として使うよう渡した」とし、「検事が証拠の提示よりも裁判部の傾向を利用して有罪判決を引き出そうとするのは、裁判部の上に立とうということに他ならない」と批判した。チャン部長判事は「裁判所事務総局に求める」とし、「判事に対する身辺調査がいかなる内容で、いかに作成されたのか確認してほしい。そして責任者の問責を要求し、必要ならば告発も行うべきだ。検察が信用できなければ、公捜処でも良い」と強調した。さらに「裁判を自分に有利に導こうとする試みは、いかなる場合でも容認できないことを明確に宣言してほしい」と付け加えた。

 チャン部長判事の書き込みには「検察は問題の深刻さをまだ分かっていない」などの支持コメントが寄せられた。ある判事はコメントで「『最高検察庁』が主体となり、常に重要事件の裁判を担当する裁判部判事の情報、それも裁判スタイルとは何の関係もない情報まで収集して総長に報告してきた」とし、「最高検察庁が今後も情報を収集し、必要ならば検察内部的に情報を共有するものと予想される」とし、懸念を示した。

 首都圏の裁判所のある判事は、ハンギョレの電話インタビューで、「『司法壟断』問題があった頃に裁判所が(物議を醸した裁判官)リストを作成したのと似たような状況が検察で起きた」とし、「査察関連資料がどこから出てきたのか、その意図が何かを明らかにすることが重要だ」と指摘した。「いかなる形であれ、検察が判事に関する情報を収集し、文書化した情報として保管していたということだが、国家機関が判事の情報を収集、保管、報告することが適法かどうかは別として、正当かどうかについて懸念せざるを得ない」と述べた。一部の判事らは捜査と裁判で「客観義務」を果たさなければならない検察が、有罪判決のために裁判部の傾向まで調べるのは、深刻な問題だと批判した。ソウル地方裁判所のある部長判事は「判事たちが今回の事件を深刻に捉えている。裁判所レベルの公式立場を表明すべきだという声もあがっている」と伝えた。

チョ・ユニョン、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/971519.html韓国語原文入力:2020-11-26 02:44
訳H.J

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