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[記者手帳]ユン・ソクヨル検察総長は大統領になれるだろうか

登録:2020-11-07 06:13 修正:2020-11-07 08:38
[土曜版] 来週の質問
ユン・ソクヨル検察総長が昨年11月11日昼、ソウル瑞草洞の最高検察庁で側近らとともに散歩をしている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 2日、リアルメーターの調査結果が発表され、政界は揺れた。「オーマイニュース」の依頼で先月26日から30日まで全国18歳以上の2576人を対象に次期大統領候補の支持率を調査(信頼水準95%、標本誤差±1.9ポイント)した結果、ユン・ソクヨル検察総長は17.2%で、同率首位の共に民主党のイ・ナギョン代表とイ・ジェミョン京畿道知事(21.5%)を4.3ポイント差で追う3位に上ったからだ。

 同日、噂も流れた。「ユン総長の実際の支持率はさらに高かったが、世論調査会社が加重値を適用し下げた」という内容だった。“ユン・ソクヨル3位”という世論調査の発表値に劇的要素を加味したこの噂は真実だろうか。わからない。しかし、世論調査の公表時に適用される加重値が、中央選挙世論調査審議委員会の厳格な事後管理を受けるという点などを考慮すれば、説得力に欠けるとみられる。

 噂が加味したものは虚構だとしても、今回の結果は十分に興味深い。“上昇の勢い”と“15%”のためだ。ユン総長の支持率は、先月の同機関による調査の時より6.7ポイントも上がった。このレベルの急上昇は、ユン総長をめぐる政治的脈絡が変わったことを意味する。“支持率15%”が独自の政治勢力化の可能性を打診できる尺度だという点からも、関心を集める。政界には「支持率15%ならば、自らの意思で政治をやめることはできない」という俗説がある。

 今回の世論調査は、先月22日の最高検察庁の国政監査の時から予想された結果だった。肯定的な意味でも否定的な意味でも、この日の国政監査は、与野党の双方から「ユン・ソクヨル総長の戴冠式」だという評価を受けた。この日を契機に、ユン・ソクヨル総長は「検察総長」から「政治家」に位置付けられた。 本人も「退任したら、韓国社会と国民のためにどう奉仕するか、そのような方法をゆっくり考えてみる」と述べ、「政治をするという意味なのか」という野党「国民の力」のキム・ドウプ議員の質問に「それは私が申し上げるのは難しい」と答えた。意欲を隠さなかった。

 ユン総長は次期大統領になれるだろうか。ユン総長とよく会うというある要人は最近、私的な席でこのように述べた。「最近の数カ月でユン総長が変わった。政界から強い圧力を受け、『政治をしなければならない』という方向に急速に傾いた印象だ。心配になる」

 「政治に急速に傾く心」がユン総長の本心なら、“15%”という支持率は、政界が彼を引き寄せる動力になりうる。しかし、“そこまで”だというのが民主党側の関係者の大半の評価だ。

 「ユン・ソクヨル総長の大統領選挙候補としての支持率が高く出るのは、むしろ歓迎することだ。最も弱い候補だからだ。ユン総長が『基本所得』や『全国民雇用保険』などを口にする場面を想像してみればいい。似合っているか。長く訓練された政治家も、大統領選挙というリングに上がると倒れる。国民の具体的な生活について深く考えていなければ、記者団との数回の問答で本性があらわになる」(党執行部関係者)

 さらに、野党「国民の力」の関係者も、ユン総長の政界行きに否定的だ。チュ・ホヨン院内代表は4日、「政治も訓練が必要で、突然政界に入ってくること自体には賛成しない立場」だと述べた。「国民の力」の議員のなかには、まだユン総長への怒りが鎮まらない人は少なくない。

 民主党の心配は別のところにある。5カ月しか残っていないソウル市長補欠選挙を“ユン・ソクヨル変数”が揺さぶる可能性だ。ユン総長が事実上の政治宣言をしたのに、「辞めよ」と公に圧力をかけることができないのは、このような内部事情がある。党指導部所属のある議員は「ユン総長が大統領選挙の候補になる可能性はない。しかし、辞任を要求し補欠選挙の前にユン総長が退くならば、反文在寅(ムン・ジェイン)勢力が結集する材料になりうる。そのような点を懸念し、ユン総長の問題を静かに管理しようというのが党内の全体的な流れだ」と述べた。チュ・ミエ法務部長官に対する不満も、そのような背景から出ている。「ユン総長は植物総長なのだから、(チュ長官が)しょっちゅう叩いて政治的な話題を作ってほしくない」という点だ。

 ユン総長は次期大統領になれるだろうか。未来はわからない。しかし、政治家として検証されたことがない人が、瞬間的な人気で政界に身を投じて成功した前例はめったにないという点は、“政治家ユン・ソクヨル”には負担だ。ファン・ギョアン元自由韓国党代表は、1年前の同機関の調査で、大統領候補の支持率20%となり、当時のイ・ナギョン首相に続く2位を記録した。 しかし、今の彼は政界復帰さえ打診するのが難しい状況に置かれている。

//ハンギョレ新聞社

キム・ウォンチョル政治部記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/968891.html韓国語原文入力:2020-11-07 02:36
訳M.S

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