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全面に出た文大統領…「真相究明への協力」で突破口を模索

登録:2020-09-28 00:39 修正:2020-09-30 11:19
南北共同調査要請の背景 
行方不明の公務員の死亡から4日後に 
緊急安保長官会議を主宰 
 
悪化した世論を考慮した「政治的賭け」 
大統領府「北朝鮮が拒否する理由はないと思う」 
共同調査団の構成は要求せず
ソ・ジュソク大統領府国家安保室1次長が今月27日午後、大統領主宰の緊急安保関係長官会議関連のブリーフィングのため、大統領府春秋館大ブリーフィングルームに入場している/聯合ニュース

 ついに文在寅(ムン・ジェイン)大統領が前面に乗り出した。大統領府は27日、漁業指導員の銃撃死亡事件に対する共同調査を北朝鮮に公式要請すると共に、このような決定が下された会議の主宰者が文在寅大統領であることを明らかにした。野党が事件直後、大統領府の状況判断と意思決定の過程を執拗に問題視し、「大統領も行方不明」とまで言及したことを受け、これ以上舞台裏にとどまるわけにはいかないと判断したもようだ。大統領府は、大統領まで直接乗り出した共同調査の要求を北朝鮮が簡単には拒否できないと見ている。

 文大統領は同日午後3時から4時30分まで、ソ・ウク国防部長官やパク・チウォン国家情報院長らが出席した緊急安保関係長官会議を招集した。同会議は行方不明の公務員が北朝鮮海域で銃撃を受けて死亡してから4日後に行われた。文大統領主宰の会議後に出されたメッセージは、今月25日に北朝鮮統一戦線部を通じて出された金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のメッセージに対する返信の性格が強い。ソ・ジュソク国家安保室1次長(国家安全保障会議事務処長)はブリーフィングで、「北朝鮮の迅速な謝罪と再発防止の約束を肯定的に評価する」と述べた。金正恩委員長の謝罪発言が含まれた統一戦線部の通知文に対する大統領府の最初の公式反応と言える。

 メッセージの主な要求事項は「共同調査」だ。大統領府と韓国政府に対する不信感の高まりと悪化した対北朝鮮感情を考慮した決定だ。その一方、「共同調査団の設置」を求めるなど、調査そのものを催促するような要求はしなかった。南北がそれぞれの水域で遺体の捜索を行い、捜索状況と調査結果については軍通信線を復旧して情報を交換しようと提案したのだ。

 文大統領は同日の会議でも野党と保守陣営が「大統領の対応」を問題視したことについてもどかしさを訴えたという。実際、23日午前1時に行方不明の公務員と関連し緊急関係長官会議を開いたのに、文大統領には翌日午前8時30分に対面報告したことが物議をかもした。これをめぐり野党と保守陣営は、2014年のセウォル号惨事事件直後、朴槿恵(パク・クネ)大統領の“空白の7時間”になぞらえ、文大統領を攻撃した。

 結果的に大統領府は同日、“政治的賭け”に出た格好だ。最高統治者が北朝鮮に共同調査とそのための軍事通信線の復旧を要請したので、北朝鮮がこれを拒否した場合、政治的打撃が少なくないからだ。北朝鮮との事前の合意はなくとも、独自の検討の結果、北朝鮮がこれを受け入れる可能性が高いと判断した可能性もある。大統領府の関係者は「金委員長が直接申し訳ないと公式謝罪したのに、真相究明のための共同調査の要請を受け入れない理由はないだろう」と楽観的な見通しを示した。しかし、共同調査が行われても、各自が調査した内容を書面や通信でやり取りする程度に止まることも考えられる。

 これに先立ち、金委員長は大統領府あてに送った労働党中央委員会統一戦線部名義の通知文で、「文在寅大統領と南の同胞たちに大きな失望感を与えたことについて、非常に申し訳なく思う」としたうえで、「このような不祥事が再発しないよう海上警戒監視と勤務を強化し、取り締まりの過程に些細なミスや大きな誤解を招くようなことがないよう、今後、海上での取締りの取扱全過程を収録する体系を立てるよう指示した」ことを明らかにした。

ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/963841.html?_fr=st1韓国語原文入力:2020-09-27 21:43
訳H.J

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