韓国政府が堕胎罪の違憲性を認めた憲法裁判所の決定趣旨に反し、「堕胎罪」を維持しつつ、「妊娠14週以内」に限って中絶を認めることを前向きに検討していることが明らかとなり、女性界は強く反発している。昨年の憲法裁による堕胎罪憲法不合致決定以降、1年半以上にわたって代替立法を先送りにしてきた政府が、堕胎罪を廃止せず、小細工を弄しているという批判が出ている。
24日、女性の党は声明を発表し「妊娠女性の安全のような理由で堕胎罪を存続させることは、女性の再生産権と妊娠、出産に対する自己決定権の侵害」だとし「(妊娠14週を堕胎罪の処罰基準とすれば)堕胎罪の非犯罪化ではなく、一種の折衷案となるため、憲裁の決定と合わない」と批判した。昨年4月の憲法裁の堕胎罪憲法不合致決定を受け、政府と国会は代替立法に取り組まなければならないが、17カ月にわたり沈黙してきた。第21代国会の成立以降、堕胎罪関連法案は一つも発議されていない。ようやく最近になって、女性家族部や法務部などの関連省庁が、「妊娠14週以内の人工妊娠中絶」のみを限定的に認めることを論議しているという。
先に23日にも、韓国女性民友会などの20あまりの女性団体が立ち上げた「みんなのための堕胎罪廃止共同行動」が声明で「堕胎罪維持は、何とかして女性を処罰する条項を法に残そうというもの」とし「政府と国会は、またしても女性に責任を転嫁するのではなく、安全な妊娠中絶を公共医療体系によって保障しなければならない」と述べている。
特に女性団体は、妊娠週数によって制約すれば、かえって社会経済的弱者ほど悪い影響が及ぶことになると見ている。適切な医療サービスを適切な時期に受けることができない人々が、時期を逸して堕胎罪の処罰対象となる可能性が高くなるというのだ。産婦人科専門医で人道主義実践医師協議会の理事を務めるコ・ギョンシムさんは「妊娠14週は、自分が妊娠したことを普通の女性が認知するには短すぎる。精神遅滞障害があったり医療脆弱地域に住んでいたりする場合は、処罰対象となってしまう可能性がより高くなる」と懸念を示した。妊娠14週を超えた妊娠中絶は危険なため制裁すべきだという主張に対しても「医療技術の発達によって週数による危険度はかなり低くなった。より安全な妊娠中止を提供すれば済むこと」と説明した。
堕胎罪条項を維持し、妊娠週数を処罰基準とすることは、今年8月に法務部の諮問機関「両性平等政策委員会」が出した勧告とも食い違う。両性平等委は「画一的な妊娠週数を基準として刑罰を免除および科すことは明確性に反しており、妥当でない」とし、堕胎罪廃止の意見を明らかにしている。
政府は堕胎罪について、処罰の是非と範囲に注目するだけで、肝心の女性の健康権のための後続措置には手をつけていないという指摘もある。性的権利と再生産正義のためのセンター「シェア」のナ・ヨン代表は「妊娠中絶の容認に先駆け、政府は流産誘導制の導入、医療保険の拡大、性教育の改善など、幅広い対策を立てるべき。しかし、立法期限を3カ月後に控えた今も、まったく論議が進んでいない」と述べた。