韓国の一般の私立大学で学生1人にかける費用を原価の概念で計算すると、最大で1242万ウォン(約110万円)だと推定された。これを経済協力開発機構(OECD)の1人当たりの教育費の水準に引き上げるには、2030年まで毎年19兆~24兆ウォン(約1兆7000億~約2兆1500億円)ほどの投資が必要だ。
韓国教育開発院が発行した報告書「高等教育の政府財政確保の手法研究」(2019)によると、2009~2017年に全大学の会計資料を集め、人件費・校費会計・産学協力団会計(産団会計)・図書購入費・機械器具購入費など、費目別に標準原価を推定した結果、私立の一般大学の1人当たりの教育費は、最大で1242万ウォンだと算出された。これまでの大学の情報公示には、大学の全体費用を在校生数で割る方式の「1人当たりの教育費」項目はあったが、系列・学科ごとに異なって投入される詳細費用を調べるなど、原価の概念で1人当たりの教育費を算出した事例はなかった。大学の情報公示では、2019年の私立の一般大学の1人当たりの教育費は1523万ウォン(約140万円)だ。
原価の概念は、高等教育に対する現在の投資水準をさらに正確に示し、適正な投資規模を決める根拠に使うことができる。例えば、1人当たりの教育費を現在推定された原価の1242万ウォンからOECD平均の1873万ウォン(約170万円)に引き上げれば、OECD平均水準で高等教育に投資していると評価できる。これまでは適正な高等教育の財政規模について、「国内総生産(GDP)比1.1%」などの漠然とした根拠だけが用いられていた。
今後10年間の適正な高等教育の財政規模を計算すると、1人当たりの教育費をOECD平均に引き上げ、1人当たりの授業料を2030年までに30%に下げるには、2020年の25兆4000億ウォン(約2兆1500億円)から2030年の26兆6000億ウォン(約2兆3000億円)規模の投資が必要なことが明らかになった。一方、1人当たりの教育費を現在の推定原価である1242万ウォンで維持し、授業料も下げないのであれば、2020年の9兆7000億ウォン(約8000億円)から2030年の7兆9000億ウォン(約6300億円)規模の投資が必要となる。内国税の一部を高等教育の財政交付金に割り当てる政策を導入する場合、OECD平均水準の1人当たりの教育費を達成するには、税率は8%で適用しなければならない。一方、1人当たりの教育費を推定された原価通りに維持するならば、半分の水準である約4%だけを適用すれば良いことが明らかになった。