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ソウル科学高校の生徒、医学部に志願すると教育費140万円の返還求められる

登録:2019-12-03 07:24 修正:2019-12-03 09:44
教育費と奨学金の返金、校内の受賞実績も取り消すことに 
来年の新入生から適用…医学部志望の在学生は転校を勧告 
ソウル科学高校のホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 科学分野の英才を育てるための英才学校であるソウル科学高校が、来年の新入生から医学系列大学を志願する場合は教育費・奨学金の返金を求めると共に、校内の受賞実績を取り消すことにした。教育費強制返還条項の設置は、全国8つの英才学校のうち、釜山(プサン)韓国科学英才学校に続いて二番目で、とりわけ高い医学部への進学率を記録している学校の事情を反映した措置と見られる。

 ソウル市教育庁傘下のソウル科学高校は、市教育庁と協議を経て、このような内容が盛り込まれた「2021学年度ソウル科学高校選抜制度の改善及び理工系への進学指導の強化」案を2日に発表した。これによると、ソウル科学高校は来年の新入生から医学系列大学に支援するだけでも3年間1500万ウォン(約140万円)にのぼる教育費の返還を請求することにした。英才学校の生徒が納める学費は国公立一般高校と同じだが、韓国政府は英才教育振興法に基づき、博士級教員の採用や先端機材の運営、研究活動支援などのため、生徒1人当たり年間500万ウォン(約46万円)をこの学校に支援している。生徒が個人別に受け取った奨学金も同様に返金を求められる。これとともに、ソウル科学高校は理工系への進学指導を強化し、来年から在学生全体を対象に医学部を志望する場合は、一般高校への転校を勧告する予定だ。

 これまで教育界の内外では、英才学校の卒業生の多くが理工系ではなく医学系列の大学に進学するという問題が、持続的に指摘されてきた。正しい未来党のイ・チャンヨル議員が10月に公開した国政監査資料によると、2016~2019年の4年間、英才学校の卒業生の平均8.2%が医学系列に進学した。特に、ソウル科学高校は最近4年間で医学系列に進学した卒業生の割合が22.8%で最も高かった。2019年の卒業生130人の中では30人が医学系列に進学した。

 学校が手を拱いていたわけではない。ソウル市教育庁の説明を総合すると、これまでソウル科学高校は入学生に「理工系に進学し、医学部に進学した場合は不利益を甘受する」という覚書を書いてもらった。医学部志望の場合は教師が推薦書を書かなかったり、実際に進学する時は奨学金の返還を求めてきた。にもかかわらず、医学部進学率が下がらないことを受け、志願しただけでも教育費の返還を請求する措置を取ったのだ。

 ソウル科学高校は「地域人材優先選抜制度」も拡大する。全国の英才学校の2019学年度入学生834人のうち70.1%(585人)がソウル(38.2%)・京畿(31.9%)地域の中学校を卒業したという結果が出るなど、特定地域への偏り現象への懸念が高まったためだ。これに対し、ソウル科学高校は16市道、ソウル25自治区当たり1人以内だった優先選抜人員を2021学年度入学生からは2人まで増やす。このほか、先行学習の効果を減らし、私教育の影響を最小限にとどめるため、「論述問題」の出題を拡大し、毎年評価項目を学校のホームページに公開するなど、評価内容と方式も改善していく予定だ。

 今回の方策が、英才学校が本来の趣旨に立ち返る上で“良い刺激”になるという期待とともに、実効性に疑問を呈する意見もある。ク・ボンチャン「私教育の心配のない世界」政策局長は「学校レベルでできる最善の方針とみられる」としながらも、「高所得層の子女が大挙して英才学校に入学している現実を考えると、保護者は1500万ウォンを返金してでも、医学部進学率が高い英才学校を選ぶ可能性が高い」と指摘した。

イ・ユジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/919242.html韓国語原文入力:2019-12-03 02:31
訳H.J

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