国家人権委員会(人権委)は、韓国とニュージーランドで問題になっている、韓国外交官K氏による駐ニュージーランド韓国大使館現地職員へのセクハラ事件と関連し、セクハラの事実を認め、被害者である職員に一定金額を支給するよう勧告した。
外交部が人権委から送付を受けた決定文によると、2017年11月ごろK氏が現地職員に対して身体接触を行ったことをセクハラと認めたと、3日に伝えられた。人権委はK氏にセクハラに対する補償措置として金額を特定し、被害職員に支給するよう求めたが、勧告した具体的な金額は確認されなかった。今回の勧告は、被害者である現地職員が2018年11月に人権委に申し立てた陳情に対する決定文で、被害者と被陳情人である外交官のK氏、また別の被陳情人である外交部にそれぞれ発送された。
人権委は外交部に関する陳情については、問題の事件を処理する過程で「手続き上の問題があったとは認められないが、不備があった」として改善を要求した。具体的には、在外公館内のセクハラ調査および処理手続きを定めたマニュアルがない点や、事件を認知した後に被害者と加害者間の分離措置が不十分だった点、在外公館人事委の構成問題などを挙げた。在外公館内でセクハラが発生した場合、調査および被害者救済過程で公正性が保たれるマニュアル作りなど、システムの補強を求めたのだ。
人権委が、外交部の当問題を処理する過程自体を問題視しなかったのは、2017年末、被害者である職員がニュージーランド公館のセクハラ問題担当者に問題を提起してから、処理過程やその後の監査を経て、外交部懲戒委員会でK氏に対する懲戒決定を下すなど、適法な手続きに則って事件が処理されたためとみられる。これに対し、問題は手続き上の正当性よりは懲戒の内容だという指摘もある。外交部は昨年、K氏に減給1カ月の軽い懲戒処分を下したが、「身内をかばっている」という批判を受けた。
一部では当事件に対する再調査を求める声も上がっているが、人権委は事件の再調査は勧告はしなかったという。キム・インチョル外交部報道官は同日の定例ブリーフィングで、「ニュージーランド関連事案に対して決定文を受け付けた」とし、「決定文を綿密に検討して必要な措置を取っていく」と述べた。外交部は90日以内に勧告文に関してどのような措置を取るかを人権委に通知する予定だ。
現地職員は人権委への陳情のほかにも、2019年10月、ニュージーランド警察にK氏によるセクハラ行為について通報したが、2018年2月に任期を終えて出国した上、大使館に対する調査方式をめぐる両国間の隔たりが大きく、事実上きちんとした調査は行われなかった。