文在寅(ムン・ジェイン)大統領が10日に辞意を表明した大統領府の参謀陣のうちキム・ジョウォン民情首席を含めた3人をまず交代させ、第3期大統領府人事改編を始めた。ノ・ヨンミン秘書室長は同日の交代発表リストには含まれなかったものの、近く交代されるだろうというのが大方の予想だ。
文大統領は、江南(カンナム)の不動産処分問題で物議をかもしたキム・ジョウォン民情首席を交代させ、後任にキム・ジョンホ監査院事務総長を内定した。キム内定者はは、文在寅政府の初代民情首席室公職綱紀秘書官を務めた。キム・ジョウォン首席は同日の首席・補佐官会議に出席しなかった。政務首席には、当選4回のチェ・ジェソン元共に民主党議員を内定した。チェ氏は今年の総選挙の際、ソウル松坡区(ソンパグ)の選挙区に出馬したが、未来統合党のペ・ヒョンジン議員に敗れた。チェ内定者は強硬派として知られており、野党との疎通を懸念する声もある。当選4回の存在感から、室長級の首席になるという見通しもある。正義党議員出身のキム・ジェナム内定者は今年1月、電撃的に気候環境秘書官に抜擢され、7カ月後に市民社会首席秘書官に昇進した。
人事に慎重なことで知られる文大統領が7日、秘書室傘下の首席秘書官たちが集団で辞意を表明してから3日後に交代を行ったのは、不動産問題で怒った民心には逆らえないと判断したためだ。同日発表されたリアルメーター世論調査(3日から7日まで、全国18歳以上の有権者2520人対象。95%信頼水準で標本誤差は±2.0%ポイント)で、文大統領の国政遂行に対する支持率は43.9%で、支持しないという割合(52.4%)を10%ポイント近く下回った。文大統領は週末、別途の日程なしに大統領府の各秘書官室が報告した世論の動向と資料を見て、人事検証が終わった首席3人をまず交代することで結論を下したという。特に、江南のマンションを相場より高い価格で売り出し、世論の批判を買ったキム・ジョウォン首席秘書官は、最初の交代対象に含まれた。
注目を集めたノ・ヨンミン秘書室長は交代対象に含まれなかったが、大統領府内部では、ノ室長は残りの首席たちの入れ替え作業を終え次第交代されるだろうと見ている。複数の大統領府関係者は「直ちにではないが、期間はともかく交代は時間の問題」だとし、「期限付き留任」だと述べた。多住宅を保有した参謀陣の不動産処分をめぐる論争の口実を提供したノ室長が辞任しなければ、「集団辞任」の意味が色あせてしまうからだ。大統領府はすでに後任の秘書室長の検証に入った状態だという。ヤン・ジョンチョル元民主研究院長やユ・ウンヘ社会副首相、ウ・ユングン元駐ロシア大使らの名前が挙がっている。
ユン・ドハン国民疎通首席の後任も、候補者検証作業が行われている。イ・グンヒョン元民主党戦略企画委員長やパク・スヒョン元大統領府報道官など、ジャーナリスト出身ではない人物が有力な候補に上がっている。キム・ウェスク人事首席秘書官も人事実務作業が終わり次第、交代される見通しだ。
一部では、大統領府改編の影響が、キム・サンジョ政策室長を含むイ・ホスン経済首席ら政策室所属の首席たちに及ぶ可能性もあると見ている。大統領府では「改編の幅が広がるだろう」という見通しと「政策室までではない」という見通しに分かれている。