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専門家たちが提案する「行政首都移転」の成功の条件

登録:2020-07-28 07:05 修正:2020-07-28 08:34
雇用連携・地方分権化と並行推進へ 
行政首都移転へのタイムテーブル「大統領選まで待たない」 
与党「行政首都推進団」初会議 
キム・テニョン民主党院内代表「大統領選前に完成」を公式化
共に民主党のキム・テニョン院内代表(左から2人目)が今月27日午後、国会で開かれた「行政首都完成推進団1次会議」で、キム・ドゥグァン議員から「行政首都建設のための特別法」を受け取っている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 与党の共に民主党が27日「行政首都完成推進団」初会議を開き、行政首都移転のための準備を整えた。国土バランス発展という国家的議題の完成を掲げ、「第2期革新都市」の建設と「圏域別発展戦略」まで幅広く議論していく構えだ。専門家らは、行政首都で首都圏の過密化負担を減らし、全国のバランスの取れた発展を図るためには、雇用と連携した開発戦略と地方分権化が同時に推進されてこそ、成功を担保できると助言している。

 共に民主党のキム・テニョン院内代表は同日午後2時、国会で開かれた会議で「行政首都完成の最終目標は大韓民国全土のバランスの取れた発展」だとし、「大統領選挙まで時間を引き延ばさず、その前に完成できるよう、効率的かつ合理的な方案を用意しなければならない」と述べた。推進団長を務める共に民主党のウ・ウォンシク議員もこの席で「すでに(世宗市は)大統領府と国会の敷地を確保しており、基本設計も出ている」とし、「大統領選挙まで待たず、早いテンポで進める」方針を明らかにした。

 共に民主党が国会と大統領府移転という強力な処方に加え、「大統領選挙前」というタイムテーブルまで提示したのは、両機関の移転なしには行政中心複合都市の機能を実質的に果たせないという判断によるものとみられる。檀国大学のシン・ユホ教授(行政学)は「政策生産過程での非効率が発生していることだけは間違いない事実」だとしたうえで、「国会や大統領府など最高意思決定機関が移転すれば、こうした異常な都市機能を正すことができる」と指摘した。

■世宗を非首都圏開発の司令塔に

 世宗市(セジョンシ)が行政首都として完成しても、ソウルのように周辺を吸い込むもう一極の中央になるなら、その意味は縮小されざるを得ない。オ・セフン元ソウル市長が24日、自身のフェイスブックに「大統領府や国会まで移転すれば、世宗市は捕食者・ブラックホールとなり、周辺地方は崩壊と消滅の道を歩むだろう。世宗市を中心に1時間の距離にある忠清南・北道の中小都市に広域特別区域を構成し、行政機能を集積しよう」と主張したのも、こうした脈絡からだ。

 イ・ミンウォン元国家バランス発展委員長(光州大学教授)は「首都圏の住宅価格問題を解決するため首都を移転しようとしているという批判を避けるためには、世宗の不動産対策と公共機関の追加移転など国家バランス発展対策を共に提示しなければならない。世宗をソウルのようにしてはならない」と述べた。彼は「行政首都の成功のためには首都圏、忠清の共感だけでなく、慶尚道や全羅道などの支持と国家バランス発展の完成という名分も必要だ」とも指摘した。

 都市専門家である開かれた民主党のキム・ジネ議員も「もともと世宗市は行政の司令塔として役割を期待されていたが、行政機能の一部だけを移した“不完全体”となった」とし、「行政機能を完全に移し、周辺地域に関連サービス業種を連携すれば、世宗と物理的に距離の近い全羅北道圏や大邱(テグ)・慶尚北道圏とも共存しながら非首都圏地域の国土バランス発展の司令塔になれる」と述べた。

 このため、長期的には圏域別発展戦略が並行されなければならないという声もあがっている。拠点都市が地域を空洞化させる現象を防ぐため、圏域別の発展戦略を立てなければならないという指摘だ。キム・テニョン院内代表は同日、「首都圏1極体制ではなく多極体制に転換しなければならない。釜山(プサン)や蔚山(ウルサン)、慶尚南道東南圏のメガシティ・プロジェクト、大邱・慶尚北道の行政統合は圏域別多極体制に向けた新しいアプローチだ」と述べた。

■「分散より分権」

 中央集権的な行政システムが維持されては、行政首都移転の効果が制限されるという指摘もある。地方分権改憲国民行動のキム・ヒョンギ常任代表(慶北大学教授)は「分散より分権が重要だ」と指摘し、「大邱・慶北特別自治道、大田(テジョン)・忠南特別自治道といった形で地域を圏域別にまとめ、広域経済圏を形成できるよう、中央集権化された立法・財政・人事・組織の権限を段階的に地方政府に付与する分権化戦略が共に進められなければならない」と述べた。正義党のパク・ウォンソク政策委議長は「国土バランス発展のためには地方分権が前提になるべきだ」とし、「例えば特定用途にだけ使えるように限定して中央政府から下される予算構造などを変えなければならない」と説明した。

 しかし、分権のためにも分散を急がなければならないという意見もある。自治分権は分散の結果として達成されるべき目標だということだ。都市工学博士であるともに民主党のファン・ヒ議員は「地方に力ができてこそ中央政府の権限を分ける条件が整う。分権化の前に地方が活性化し、税収も増えなければならないが、それを成し遂げる手段が物理的分散だ」と述べた。

■「行政首都と革新都市の複合効果を生むためには」

 共に民主党は「行政首都移転」に加え「第2期革新都市」もバランス発展のツートラックとして挙げている。結局、重要な問題は雇用であるからだ。中央大学のマ・ガンレ教授(都市計画学)は「都市発展で最も重要なことは、そこで定住して経済活動を営める企業と雇用が供給されることだ」とし、「地域への機関分散を越えて地域内の雇用と民間企業と連携した産業政策をもとに推進されなければならない」と指摘した。バランス発展国民フォーラムのイ・ドゥヨン代表も「公共機関や国会、最高裁判所(大法院)、KBS(韓国放送)だけでなく、主要大学や大企業も地方に移転してこそ、バランス発展効果がきちんと生まれる」と述べた。

 第2次公共機関の移転がバランス発展の効果を生むためには、第1期革新都市の経験を綿密に分析しなければならない。専門家らは革新都市のうち成功例として全羅南道羅州(ナジュ)の「ピッカラム革新都市」を挙げる。韓国電力本社が移転したピッカラム革新都市には、約5年で430の連携企業が移転し、韓電工大の設立が確定するなど産学連携活動も実を結んでいる。全南大学など地域拠点国立大学との採用連携も活発だ。

 国土研究院国家バランス発展支援センターのキム・テファン所長は「世宗市と第1期革新都市が建設された2012~2017年、首都圏の人口が分散した効果は確かにあった」とし、「第2期革新都市が推進されれば、地域間の公平性のための公共機関の分散配置とともに、効率性を中心にした自生的な都市建設にも焦点を合わせなければならない」と述べた。

ノ・ヒョヌン、チョン・ファンボン、オ・ユンジュ、チェ・イェリン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/955443.html韓国語原文入力:2020-07-28 02:43
訳H.J

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