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改憲、特別法、国民投票…「行政首都」の違憲問題を避ける妙手とは

登録:2020-07-28 07:06 修正:2020-07-28 08:09
「違憲」問題の解消のためには改憲が確実だが 
野党が協力するかがカギ 
特別法の再発議またはワンポイント国民投票の主張も 
「問題の解決が優先」、「できることから」意見分かれる
共に民主党の行政首都完成推進団のウ・ウォンシク団長(左から2人目)、キム・テニョン院内代表(中央)、パク・ボムゲ副団長(右から2人目)が今月27日午後、国会で開かれた「行政首都完成推進団」第1回会議の開始を控えて席についている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府の不動産政策失敗世論が高まっていた20日、突然出てきた与党の「国会も、大統領府も、世宗市(セジョンシ)に移すべき」という主張が政界で本格に取り上げられる兆しを見せている。野党の一部では行政首都移転をめぐる議論に乗り出さなければならないという声もある。27日、SBSがイプソスに依頼し、18歳以上の男女1200人を対象に「行政首都移転」に対する賛否調査を行ったところ、賛成が48.6%、反対が40.2%だった。

 しかし、行政首都の移転をめぐっては法律的・政策的に複雑な争点に囲まれている。まずは16年前に下された違憲決定をいかに解消するかがカギとなる。移転の方式と対象をめぐっても意見が分かれる。

■「違憲」問題の解決…改憲?特別法の制定? 国民投票?

 2004年、憲法裁判所は「ソウルが首都であることは不文の慣習憲法」だとし「新行政首都の建設のための特別措置法」は違憲だと決定した。世宗市が国会や大統領府を含む行政首都ではなく、政府省庁・機関中心の行政中心複合都市として建設されたのもそのためだ。法曹界でさえなじみのない慣習憲法に基づいた憲法裁の決定は、多くの批判を浴びたが、違憲決定の効力は依然として続いている。

 最も確実な方法は改憲だ。イ・ヘチャン共に民主党代表は24日、世宗市での特別講演で、「改憲の際『首都は世宗』という文言を入れれば違憲問題が解決される。成文憲法が作られれば、不文憲法(慣習憲法)は実効性を失うことになる」と述べた。しかし改憲には国会在籍議員(300人)3分の2以上の賛成が必要だが、野党が協力するかは不透明だ。未来統合党の議席数は103席で、改憲阻止線を確保している。これに先立ち、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も2018年に「首都に関する事項は法律で定める」という内容などを入れた改憲案を発議したが、成立しなかった。

 共に民主党のキム・ドゥグァン議員らは、特別法の再審議を進めている。チョン・ジョンスン議員(共に民主党・忠清北道清州上堂)は、「時代が変わったから、憲法裁の決定も変わり得る。与野党の合意で関連法案を作り、行政首都を完成させる案もある」と述べた。憲法裁の構成上、再び違憲決定が下される可能性が低いだけに、ひとまず法を作って推進しようという意見だ。憲法裁憲法研究官出身のノ・ヒボム弁護士も「再び特別法を作れば、再び憲法訴願を提起できる。憲法裁で『慣習憲法』に関する理論的な根拠を廃棄し、合憲決定を下せれば、早いテンポで進められるだろう」と話した。しかし、100パーセント合憲決定が下されると断言できる根拠はない。

 行政首都=世宗市をめぐり、国民の意思を問う「ワンポイント国民投票案」も取りざたされている。忠南大学のチョン・ジュベク教授(憲法学)は「ソウルは首都という慣習憲法は国民投票を通じて崩すことができる。また、世論調査を通じて国民の法意識が変わったことを示すことでも、慣習憲法はなくなる」と述べた。しかし、当時、憲法裁は国民投票による推進は不可能と釘を刺したという分析もある。慣習憲法は成文憲法と違って国民投票だけでも改正できるという主張もあるが、学界の定説ではない。

■一気に直進?段階的な迂回?

 行政首都の推進方法も「問題の解決を優先」する側と「とりあえずできることから進めるべき」という側に分かれる。

 2003年当時の新行政首都建設推進支援団長で、行政首都を企画した実務責任者だったイ・チュンヒ世宗市長は、国会世宗議事堂、大統領世宗執務室の設置など、とりあえず今できることから進めていこうと主張する。「改憲による国会や大統領府などの移転が最良かつ確実な方法だが、現実的には困難だ。手をこまぬいているわけにはいかないのではないか」という説明だ。

 実際、世宗市はすでに国会の世宗議事堂の敷地を設け、政府も予算に国会設計費として20億ウォン(約1億8千万円)を反映した。国会事務処も昨年8月、国会世宗分院の研究を発注した。2021年に完工する政府世宗新庁舎に大統領執務室を設置する案も進められている。今年4月の総選挙で世宗市から出馬したキム・ビョンジュン元自由韓国党非常対策委員長も24日、自身のフェイスブックに「大統領が9月からでも世宗庁舎に足を運び、週に数日間でも勤務してほしい」と表明した。

 しかし、忠北大学のイ・マンヒョン教授(都市工学)は「急がば回れ」と述べ、「改憲、国民投票などで国民的合意を引き出してから、国会や大統領府などを一気に移転する方が効率的」だと述べた。地方分権全国連帯のパク・ジェユル代表も「国民的合意によって全体移転に対するロードマップ(下図)を発表した後、段階的に移転するならともかく、臨時方便式の段階的移転は首都移転を台無しにするものだ」と指摘した。

オ・ユンジュ、ソン・インゴル、チェ・イェリン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/area/chungcheong/955463.html韓国語原文入力:2020-07-28 04:59
訳H.J

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