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首都移転は違憲? 憲法裁裁判官の構成が変わり、前向きな判断の可能性も

登録:2020-07-24 06:03 修正:2020-07-24 10:44
16年前の憲法裁「慣習憲法の要件は 
反復・継続・恒常・明瞭・国民的合意」 
現在、国会「世宗市移転」の声 
「首都はソウルという国民的合意に亀裂」
憲法裁判所=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 不動産問題の解決策の一つとして与党が打ち出した行政首都移転計画に賛成の声が高まる中、16年前に首都移転を頓挫させた“憲法的問題”が解消されるかに注目が集まっている。

 憲法裁判所は2004年10月21日、首都移転の法的根拠である「新行政首都建設のための特別措置法」に対する憲法訴願事件で、「首都がソウルであることは韓国憲法上慣習憲法であるため、これを廃止するためには、必ず憲法改正の手続きを踏まなければならない」とし、裁判官8対1の意見で違憲決定を下した。憲法に「首都はソウル」と明示されているわけではないが、国民が慣行上、ソウルを大韓民国の首都と認識しているため、憲法と同じレベルの慣習憲法と見なさなければならず、これを変えるためには国民投票を行うべきという判断だった。大韓民国は厳然たる成文憲法国であるにもかかわらず、慣習憲法が存在するとし、「首都ソウル」を死守しなければならないという論理だったため、当時の憲法学界でも批判が多かった。唯一反対意見を出したチョン・ヒョスク元裁判官は「慣習憲法は成文憲法の補完的効力を持つだけで、成文憲法と同じ効力が認められると見る根拠がない。首都移転のような慣習憲法の変更を制限する憲法規定がないため、国会の立法でも(首都移転が)可能だ」と反論した。憲法裁の違憲決定で盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府は、大統領府と国会を除いた政府の一部省庁だけを移転する方向で計画の修正を余儀なくされ、2012年7月、行政中心複合都市「世宗(セジョン)特別自治市」が発足した。

 盧武鉉政府時代と同じ内容の行政首都移転の立法が再び推進され、憲法訴願の請求が認められるためには、裁判官6人以上が「合憲」の意見を出さなければならない。「法律の解釈に関する従来の憲法裁の意見を変更」する場合に該当するからだ。現在の裁判官のうち、ユ・ナムソク所長とイ・ミソン裁判官、ムン・ヒョンベ裁判官は文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、イ・ウネ裁判官とイ・ソクテ裁判官はキム・ミョンス最高裁長官が指名し、キム・ギヨン裁判官は共に民主党の推薦を受けた。政府与党関連の指名・推薦を受けた裁判官は9人中6人だ。盧武鉉元前大統領が指名した裁判官が1人もいなかった2004年の憲法裁に比べると、行政首都移転問題に前向きな判断を下す可能性が比較的高い状況だ。

 2004年の憲法裁の多数意見をはじめ、唯一反対意見を出したチョン・ヒョスク元裁判官の意見まで総合すれば、難なく違憲論理を突破できるという分析もある。当時の多数意見は、慣習憲法として認められる要件として、反復性、継続性、恒常性、明瞭性、国民的合意を挙げたが、国民を代表して新たに構成された国会が、法律の改正で行政首都を移すとすれば、慣習憲法に対する「国民的合意」が崩れたと見なすべきということだ。

 憲法裁研究官出身のある弁護士は23日、ハンギョレとの電話インタビューで「慣習憲法理論は当時、政治的地形や見解にかかわらず、憲法学的にも法理的にも憲法裁誕生以来、最も多く批判された事例」だったとし、「当時の判断に対する研究報告書が多いため、2004年と似たような状況になれば、憲法裁で決定を下すのにそれほど時間はかからないだろう」と述べた。

チャン・ピルス、キム・ジョンピル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/955023.html韓国語原文入力:2020-07-24 05:02
訳H.J

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