共に民主党のキム・テニョン院内代表は20日、ソウル・首都圏の過密と不動産問題を解決する方策として、国会、大統領府、政府省庁の全面的な世宗市(セジョンシ)への移転を提案した。2004年の憲法裁判所による違憲決定を受け、政府省庁の一部のみを移す方式で縮小執行されてきた行政首都移転を、完全な形で実行しようという主張だ。
キム院内代表は、国会での交渉団体代表演説で「国家バランス発展のため、行政首都を完成させなければならない」とし「国会は丸ごと世宗市に移転しなければならない。また大統領府と政府省庁もすべて移転しなければならない」と述べた。そして「そうすればソウル・首都圏の過密と不動産問題を緩和できる」と強調した。
キム院内代表の提案はまだ原則論の段階だ。にもかかわらず、違憲決定後、中途半端な履行にとどまっている行政首都移転を、176議席の絶対多数を占める与党の院内代表が公式に提案したものであり、重みが感じられる。特に「行政首都完成」を国家バランス発展とともに不動産問題の解決策として提示したことは、時宜にかなっていると思われる。昨年12月に首都圏の人口が史上初めて全人口の50%を超えるなど、首都圏への集中と地方衰退はますます顕著になっている。また、ソウルをはじめとする首都圏の住宅価格の暴騰は、他地域の住民の相対的な剥奪感を煽り、民意の離反を招いている。このような重なり合った問題を解く創造的解決策がいつになく切実に求められているということに異論を唱える人は多くないだろう。
それだけに、与野党はキム院内代表の提案を真剣に検討し、具体的な推進策を見いだしてほしい。未来統合党も他人事と思うべきではない。キム院内代表の演説後、統合党のキム・ジョンイン非常対策委員長が「今さら憲法裁の判決を覆すことはできないのではないか」と一蹴したことは、責任ある姿勢ではないと思う。
キム院内代表も議題を投げかけただけに止まってはならない。政府、与党、大統領府間の緊密な協議を通じて、推進の方向性と実行計画を確立する必要がある。違憲問題をどのように突破するかなど、予想される争点についても先制的に対応策を準備すべきだ。何よりも、今回は必ず目に見える結果を出すという覚悟で臨んでほしい。かつての国会でも、国会分院や大統領府執務室などの世宗市への設置が論議されたが、実現しなかった。民主党が4・15総選挙で公約した公共機関の第2次地方移転も遅々として進まない。まず実行に移せる約束を早急に履行することで、本気を示してほしい。