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ソウル市、ようやく究明に乗り出したが… 捜査権のない調査団には限界あり

登録:2020-07-16 08:59 修正:2020-07-16 14:08
被害職員をサポートする女性団体とコンタクト 
人権・法律の外部専門家も含む
10日午前、ソウル市庁6階の市長室前に故パク・ウォンスン・ソウル市長の等身大の看板が立っている=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル市のパク・ウォンスン市長が性暴力の疑いで訴えられてから1週間たった15日、ソウル市が「官民合同調査団を構成する」と明らかにしたのは、女性界や政界の真相究明に対する要求や世論の激しい圧力などが影響を与えたものと見られる。しかし、強制わいせつ疑惑全般に対する調査とともに、パク市長に告訴事件の報告が行われた経緯、被害者による事前の被害の訴えを黙殺したかどうかなどを究明するためには、退職した公務員なども調査しなければならないが、ソウル市の調査団が果たしてやり遂げることができるのか懐疑的な見方もある。

 ソウル市はこの日、官民合同調査団に「女性団体、人権専門家、法律専門家など外部の専門家を含める」と明らかにした。被害職員が同僚の職員などに性暴力の被害を訴え、部署の移動を要請したが黙殺されたという疑惑はソウル市の内部に向けられているものであるため、外部者との共同調査で客観性を担保するという趣旨だ。市関係者は「今後の調査過程で、ほんの小さな疑問も生じるようなことがないようにするという意志の表れ」と語った。

 ソウル市は、調査団の規模や構成員などは「協議していかなければならない」とし、「この部分をあらかじめ明らかにするのは、公正性と客観性を最優先にすべき市の調査基調にかかわるものであるため、十分に女性団体、人権団体などと協議し、互いに納得する水準の範囲と幅を決める」と述べた。

 ソウル市は、官民合同調査団に被害職員をサポートする女性団体も含めるためコンタクトしていると明らかにした。市関係者は「その女性団体と法律専門家も共同で合意して決めるなど、手続きが必要とみられる」とし、「関係のない団体だけを呼んでやっては誰も調査結果を信じない」と述べた。市は真相調査とともに「2次加害遮断を最優先に考える」とし「被害を訴えた職員が日常に復帰できるよう、実効的かつ十分な支援を惜しまない」と付け加えた。

 真相究明に対するソウル市の意志とは別に、捜査権がない上に強力なリーダーシップが支えるのが難しい官民合同調査団が、どれほど真実を明らかにできるかについては、懐疑的な見方もある。特に事案の特性上、パク市長の周辺にいた政務ラインに対する調査が必須だが、ほとんどが地方別定職であるため、パク市長の死亡と同時に自動的に免職された。コ・ハンソク秘書室長ら27人がこうして辞めたが、捜査機関でないソウル市官民合同調査団の調査には強制性がなく、当事者が拒否すればほかに方法がない。調査団の捜査権不在などの懸念に対し、ファン・インシク報道官は「外部の専門家は調査に関する十分な経験、知識、方法を多く持った方たちなので、克服可能だと思う」と答えた。調査内容による告訴・告発などの可能性については、「調査団が判断して様々な十分な措置を取れるだろう」との回答を示した。

 ファン報道官はこの日のブリーフィングで、性暴力被害者を一貫して「被害を訴えた職員」と呼んだ。ファン報道官は被害職員を被害者と呼ばなかった理由を問う質問に対し、「ソウル市に公式にこの方が(被害を)申立てたことがないため」と答えた。これに先立ち、4月にパク市長の秘書室の男性職員が女性職員に性暴力をふるったという疑惑が持ち上がった際には、ソウル市はブリーフィングなどで被害職員を「被害者」と呼んでいる。

ソン・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/953846.html韓国語原文入力:2020-07-16 02:43
訳C.M

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