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「ソウル市に助けを求めても『市長はそんな人ではない』と取り合わず」

登録:2020-07-14 02:44 修正:2020-07-14 09:06
[被害者側の主張を聞いてみると]

「執務室、寝室で主に被害」 
「自撮り時の身体の密着など」 
「テレグラム秘密チャットルームに招待してわいせつメッセージ」 
 
「被害状況を何度も訴えたのに…」 
「『秘書は精神的補佐役』という反応に 
もはや被害を口にすることもできず 
友人、同僚、記者に伝えたことも」 
 
女性団体「事件の実態を解明することが 
被害者の人権回復の第一歩」 
ソウル市、政府、国会に真相究明を求める

ソウル市のパク・ウォンスン市長を強制わいせつ容疑などで告訴した被害女性の代理人キム・ジェリョン弁護士(前列左から2番目)と韓国女性の電話、韓国性暴力相談所の関係者たちが、13日午後に開いた記者会見で、資料が配布される間に意見を交わしている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル市のパク・ウォンスン市長の葬儀が終わった13日、同氏を強制わいせつ容疑で告訴した被害者側と複数の女性団体が「事件の真相を正確に明らかにしなければならない」とし、パク市長の強制わいせつ容疑の一部を公開した。女性団体は、パク市長が被害者をテレグラムの秘密チャットルームに招待した写真など、具体的な物証も提示した。パク市長の死亡により強制わいせつ告訴事件は「公訴権なし」で終結したが、女性団体は捜査ではない方式を通じてでも真相究明に取り組むことを求めた。パク市長の死についての被害者に対する非難が蔓延している中、この事件の実体を正確に明らかにすることだけが「被害者の人権回復の第一歩」ということだ。

■「夜中の下着写真など4年あまり強制わいせつ、セクハラ」

 女性団体は「この事件は典型的な職場内強制わいせつ事件であり、高位公職者による権力型性犯罪」と口をそろえた。

 この日の記者会見で被害女性の法律代理人キム・ジェリョン弁護士は「8日午後4時30分に、ソウル地方警察庁に通信媒体を用いたわいせつ、業務上の威力などによる強制わいせつ(性暴力犯罪の処罰などに関する特例法違反)、刑法上の強制わいせつなどの疑いでパク市長を告訴した」と述べた。キム弁護士と被害者は翌日の午前2時30分までに1回目の供述調査を終えたという。

 キム弁護士は「被害者は2017年にソウル市長秘書室での勤務を始めてからの4年間、持続的に強制わいせつ被害に遭い、その後、他の部署へ移動してからも被害を受けていた」と主張した。被害者は今年5月12日にキム弁護士を訪れて相談し、それ以降も法律支援を受けてきた。

 キム弁護士の説明によると、被害者は主に市長執務室や執務室内の寝室などで被害にあった。被害者の2次被害が懸念されることから、キム弁護士は「詳しい方法は明らかにできない」とし、「『自撮り』する時に身体を密着させたり、執務室内の寝室に呼んで身体的接触をした」と話した。また、キム弁護士は「(パク市長が)テレグラム秘密チャットルームに招待し、被害者に対し持続的にわいせつなメッセージや下着姿の写真を送るなど、性的嫌がらせをした」と主張した。キム弁護士は、「パク市長とのテレグラムの秘密チャットルームをキャプチャーした画面と被害者のテレグラムをフォレンジック(証拠分析)した結果を、警察の調査時に証拠として提出した」と述べた。

 韓国性暴力相談所のイ・ミギョン所長は「徐々に加害の水位は深刻になってゆき、部署変更が行われた後も個人的連絡が続いた。人口1千万人の大都市であるソウル市の長が持つものすごい威力の下、いかなるかたちの拒否も問題提起もできない典型的な威力による性暴力の特徴を示している」と述べた。

■市内部では「もみ消し」や「矮小化」疑惑

 被害者は、このような被害状況を周囲の人々に何度も訴えてきたという。しかしソウル市役所内では、このような状況をもみ消したり矮小化したりしてきたというのが女性団体の主張だ。また、「告訴当日、被告訴人のパク市長側に何らかの経路を通じて捜査状況が伝わっていた」と批判した。

 イ・ミギョン所長は「被害者はソウル市役所内部に助けを求めたが、『市長はそんなことをする人ではない』として、市長の単純なミスと受け取るよう指示したり、「秘書の業務は市長を精神的に補佐するのが役割であり労働」と言ったり、被害を些細なこととするなどの反応が続いたという。もはや被害が出ているという話さえできない状況だった」と述べた。キム弁護士も「被害者が友人、同僚公務員、知り合いの記者などに被害事実を伝えたことがある。性的嫌がらせについて被害者は、秘書官に部署を移してくれるよう頼んでもいる」と語った。

■「ソウル市、国会は真相究明すべき」

 パク市長の葬儀が終わったこの日に女性団体が記者会見を行ったのは、迅速な真相究明こそ被害者を保護する道だという判断からだ。女性団体は「2次加害によって被害者は一人でシベリアの原野に立っているような感じ」と訴えた。

 被告訴人のパク市長が死亡したため、この事件は「公訴権なし」意見付きで送検される。このため女性団体は「警察は告訴人調査と一部参考人調査を通じて事件の実体を把握したと聞いている。現在までの調査内容を基に、事件に対する立場を明らかにしてほしい」と述べた。しかし、被告訴人が死亡した状況において、告訴の内容を明らかにすることは不可能と見られる。女性団体は「ソウル市は調査団を組織して真相を明らかにし、政府と国会は人間であることを望んだ被害者の訴えに背を向けることなく、責任ある行動のための計画を明らかにしてほしい」と述べた。

 女性団体は来週から真相究明のための行動を開始する計画だ。韓国女性の電話のコ・ミギョン常任代表は「来週、この事件の解決を求める人々とともに記者会見を開催するなど、真実が明らかになるよう様々な活動を展開する」と述べた。キム弁護士はこの日、被害者に加えられている2次加害についても、警察に告訴状を提出したことを明らかにした。

オム・ジウォン、カン・ジェグ、チェ・ユンテ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/953499.html韓国語原文入力:2020-07-13 19:36
訳D.K

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