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MeToo以降も「ジェンダー」問題は進歩陣営の中核イシューにならなかった

登録:2020-07-13 10:19 修正:2020-07-13 12:08
パク・ウォンスン市長の死、食い違う反応 
 
「追悼が先」vs「被害告訴者と連帯」二分 
オンライン焼香所に100万人献花 
「ソウル特別市葬」で行う葬儀に反対、55万人 
「哀悼に集中」「2次加害するな」広がるギャップ 
 
進歩陣営、質的な成長過程での「痛み」 
性平等含めた多様な価値が 
中核問題に位置づけられず 
「誰にも暴力的でなく 
細やかに配慮する追悼をすべき」
故パク・ウォンスン・ソウル市長の死を追悼する過程で葬儀の在り方などの意見が分かれている。左はソウル市が用意したパク市長のオンライン焼香所、右は「パク市長の葬儀をソウル特別市葬で行うことに反対する」という大統領府の国民請願の画面=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル市のパク・ウォンスン市長を追悼する過程で、強制わいせつ行為で提訴されたという事実と葬儀の進め方をめぐり、進歩陣営内でも性別、世代別に異なる反応が出ている。市民団体のうち、被害を訴えた人に対する連帯の声明を出したところは、韓国性暴力相談所と韓国女性民友会など一部の女性団体に限られる。その背景には、性犯罪を見つめる認識のギャップがある。根本的にジェンダー問題が、既存の民主化世代、進歩陣営の中核の議題として存在していなかったことによるものだという指摘も出ている。

 パク市長に対する追悼と被害を訴えた人との連帯の間で、市民社会は二分されたような形になった。ソウル市のホームページに設けられたオンライン焼香所には、12日夜9時40分現在100万人が献花した。市民社会運動の土台を築いた点、ソウル市長として様々な改革を追求してきた点などを称えるためだ。同じ時刻、「パク・ウォンスン市長の葬儀をソウル特別市葬で行うことに反対する」という大統領府の国民請願には55万人余りが同意した。この請願には、強制わいせつ行為疑惑を究明せず命を絶った有力政治家に対する批判と、2次加害に反対するという趣旨が込められているが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)ではこれをめぐり「それでも追悼が先」という立場から「死者に対する礼儀ではない」「哀悼に集中せよ」という非難まで続いた。

 このような分けられた世論は、汎進歩陣営内でも同様だった。被害を訴えた人を支持し「弔問しない」と明らかにした正義党の議員に向かっては批判と応援が分かれ、進歩陣営支持を自任するオンラインコミュニティではむしろ被害を訴えた人を探し出そうとする2次加害の動きが発生して問題になった。共に民主党のイ・ヘチャン代表は10日、「故人に対する疑惑があるが、党次元で対応するのか」という記者の質問に対し「それは礼儀でない」と腹を立てた。民主党がソウルのいたるところに掲げた「あなたの意志を忘れません」という垂れ幕をめぐっても、「2次加害」を誘発する恐れがあるとして撤去を求める声が上がった。

 このように論争が激化することをめぐり、文化評論家のイ・テククァン慶煕大学教授(グローバルコミュニケーション学部)は、「これまで進歩陣営でジェンダー問題が中心に置かれてこなかったという事実を確認させる契機となった」とし、「民主化運動が性平等を含めた多様な価値中心の質的な跳躍がなされなければならないが、そのような運動に拡張されなかった過程で現れる成長痛と思われる」と診断した。特にイ教授は、強制わいせつ疑惑を問う記者の質問を黙殺したイ・ヘチャン民主党代表の振る舞いについて「事件の中心に置かれなければならない被害告訴者に関するイシューは後回しにし、パク・ウォンスン市長の空白とそれによる政治的な悪影響をまず考慮した態度」だと批判した。

 20~30代の女性たちは、各自が経験した「職場内性暴力」の経験を共有し、被害を訴えた人に対する言及なくパク市長の功績だけを称える政治家の対応に怒りを伝えた。フェミニスト文化企画者グループ「ボッシュ」のソ・ハンナ代表は「女性たちは一生にわたって受ける(性犯罪に対する)苦痛を語っているのに、自称・進歩的人物に分類される政治家たちが加害者の死を悼むのが、私たちには脅威的に感じられた」と話した。さらに「ソウル市のチョ・ヒヨン教育監が10日、フェイスブックで『人生を放棄するほど自分に対して苛酷で厳格な君が恨めしいばかりだ』と故人をかばったが、『スクールMeToo』で闘っている生徒たちに影響を及ぼしうる人物の発言という点で不適切だ」と批判した。自分が経験した職場内性暴力の経験をSNSに書き、被害者を支持した作家のキム・ウンファ氏は「加害者には輝く過去があっただけに前途有望な未来があるという論理がついてまわるが、性暴力被害を受けて会社を辞めた多くの女性たちの過去と未来はなぜ何でもないように思われるのか」と反問した。

 被害を訴えた人の告訴は公訴権なしで帰結されたが、再発を防ぐことができるように包括的な調査が必要だという声も上がっている。文化評論家のソン・ヒジョン氏は「パク市長の死により、困難ながらも築いていっている性暴力予防システムが再び不当な攻撃を受けることになった」とし、「このような責任を問うべき個人が去ったので、『ソウル市』というシステムが責任を取るべきだ」と話した。

 「何をどのように哀悼すべきか」に対する省察が必要だという指摘もある。政策研究者のユン・ヒョンジュン氏は「パク市長を真に哀悼するなら、彼が生前に追求した価値に符合する追悼をすべきだと思う」とし、「それは『誰にも暴力的でない追悼』『自分の哀悼が誰かにとっては暴力にならないか、細やかに配慮する追悼』だろう」と話した。ソン氏は「パク・ウォンスン個人よりパク・ウォンスンという個人が象徴していた価値の喪失を哀悼し、『その価値以降の価値』を作るため、私たちが政治的かつ倫理的に彼の死に対する哀悼をしばし留保することを『公的』に宣言することが必要だ」と明らかにした。

パク・ダヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/953366.html韓国語原文入力:2020-07-13 08:45
訳C.M

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